ニコラス・ウェイドのレビュー一覧

  • 背信の科学者たち 論文捏造はなぜ繰り返されるのか?
    研究不正の例を並べるだけでなく、科学の構造的問題を指摘。それのみならず、根本的な認識問題まで踏み込む。

    すなわち、betrayer of the truth とは現実とかけはなれた幻想の科学・科学者観を持つすべての人を指している。科学・科学者に対する認識がそもそも事実と違う。このことにより、科学内...続きを読む
  • 背信の科学者たち 論文捏造はなぜ繰り返されるのか?
    「科学とはどのようなものであるかについて充分な理解を得るためには、哲学者、社会学者、歴史学者による厳密な抽象化は、型にはまった観念のような全体像としてではなく、多面的な物体のある一面として認識されねばならない。科学はまず第一に社会的なものだ。…第二に、科学は歴史的なものであり、時間と共に前進する文明...続きを読む
  • 背信の科学者たち 論文捏造はなぜ繰り返されるのか?
    原著は1988年に翻訳・出版されてます。しかし、2014年のSTAP細胞論文の捏造事件を経て再出版されただけのことはあり、内容は決して古びておらず、むしろここ数年のデータ捏造や製薬企業などの改竄事件を鑑みると、この本で取り上げられているテーマはまったく変わっていないことが分かります。

    本書では、人...続きを読む
  • 背信の科学者たち 論文捏造はなぜ繰り返されるのか?
    STAP細胞事件は、最近の論文捏造事件として大きく取り上げらている。しかし、科学の歴史を振り返ってみると論文捏造はある一定の割り合いで起きている普通の事件として捉えることができる。

    しかも原著は1982年に出版されているにもかかわらず、「生物学や医学は、欺瞞が人びとの幸福に直接影響を及ぼしやすい分...続きを読む
  • 背信の科学者たち 論文捏造はなぜ繰り返されるのか?
    STAP細胞の事件が起こって、ばれるのに何故ミスコンダクトを行うのかが、気になっていたので読むことにした。
    「追試は科学の進歩の原動力とはならないため、滅多に実施されることはない」とあって驚いた。
    それなのに、科学者たちは「科学の自己修正機構」があると信じていることに矛盾を感じた。
    ミスコンダクトを...続きを読む
  • 背信の科学者たち 論文捏造はなぜ繰り返されるのか?
    スタップ細胞で話題になった論文捏造事件。これは科学界では日常的に行なわれていた行為であった。筆者はガリレオやニュートンも実験結果をごまかして捏造していたと指摘する。今回問題になった理化学研究所も、2004年にデータの改造が発覚して、2005年に「科学研究上の不正行為の基本的対応方針」を制定している。...続きを読む
  • 背信の科学者たち 論文捏造はなぜ繰り返されるのか?
    購入。

    客観性のため、ミスや捏造がすぐに発覚すると考えられている科学の世界でもかなり主観が入り込んでいてミスや捏造が看過されることがある、ということを多数の事例を紹介しながら解説している。

    第4章のキナーゼ・カスケード説で起きたことを読むとSTAP細胞の事件と同じような印象を受ける。STAP細胞...続きを読む
  • 人類のやっかいな遺産
    人種が違えば遺伝子も違い、遺伝子の違いは文化の違いを生じる、という主張。

    人種による差異に切り込んでいった、という点では評価できますが、根拠がまだまだ希薄な印象。
    著者の主張の正しさ(誤り)がはっきりするのは、これからの研究の進展次第、ですかね。

    全体的にくどくて、若干読みにくい文章でした...続きを読む
  • 人類のやっかいな遺産
    まあ話半分に。人口集団のあいだの遺伝的なちがいについてどれくらいのことがわかっているかとかか確認したり、フクヤマ先生やグレゴリークラーク先生の本に何が書いてあったか復習する、みたいな価値はある。っていうかそういう本を読んでのウェイド先生のいろんな想像の話。