武澤秀一のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
神社やお寺には行くが、よくわからずすごいなーとしか思っていなかった自分にとって、とても新鮮な本だった。
まず著者のリサーチ範囲がすごい。
日本の代表的な建築をおさえているのはもちろんのこと、海外の建築レビューも非常に細やかで、実際にその地を見たかのような臨場感を感じた。
解説部分も、まず建築物の注目点を写真付きの説明するところから入る。それが宗教的にどのような意味を持つのかを順々に説明してくれるおかげで、いわゆる教科書的なものよりも直感的に理解することができた。
原爆ドームの例は特に面白かった(不謹慎かもしれないが)。そこに祈る対象がいなくても、犠牲者の悼みや平和への祈りを向ける儀礼的中心としての原爆ドーム。
これが、神が世界中に遍在しているとしていながら、その信仰の向きをメッカ一ヶ所に集めているという意味で、イスラム教の建築思想と似通っている。
著者は例を絞ったと書いてあったが、それでも様々な宗教や、その土地の人々が大事にしているものを多く知れて、これから神社などに行く時の見方が大きく変わりそうである。
そして最後の「幻の建築物」。それには世界に様々な形で存在している信仰の形が体現され、著者の人生をかけて構想したのだなと感動した。
実現しなかったのが本当に惜しいが、私は今や、そのエッセンスを数多くの宗教建築から感じ取ることができる。非常に実りのある読書体験だった。 -
Posted by ブクログ
最初は少々だるいのだけど、後半はぐいぐい惹き付けられる。なぜ伊勢なのか、何故外来神のタカミムスヒを祭っていた伊勢がアマテラスを祭るようになったのか、なぜイザナギ・イザナミという親がありながら、アマテラスが皇祖になったのか(親があるならその親が皇祖のはず)、そして皇祖神としてのアマテラスがなぜ伊勢にまつられているのか、なぜ一度途絶えた斎宮が天武・持統で再開されるのか、古事記・日本書紀の記載になぜ齟齬があるのか、平易な文で丁寧に検証しながら仮説を展開していく。すっ飛んでてもう少し説明がほしいところもあるが読み物としても面白い。天智、壬申の乱、天武・持統の時代に興味があるひとにもオススメ。天智・天武が同父母兄弟という記載に以前から唱えられていた異論に関連もある。明治維新の廃仏毀釈に通じるところも。神も仏も政治に利用してきた人間のたくましさよ。
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Posted by ブクログ
建築の使命が、世界観を体感させることなら、宗教建築ほど適したものはない
現代主流のモダニズム建築は、装飾を削ぎ落とて構造と機能を剥き出しにしたたもので、世界観の体感を目指してはいない。
だが、宗教建築はその空間を通して世界観を伝え、礼拝を規定する。世界観-宗教建築-礼拝は切り離しがたく結びついていて、建築が似ている宗教は世界観も似ているのだ。
そして古来より宗教建築は文字が読めない人にも宗教の世界観を伝える役割をしていた巨大な書物とも言える。文字の読めない海外へ行ったときこそ、体験したいのが宗教建築である。
建築というフレームで宗教を切り取る、独自性の高い一冊。