辺見じゅんのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
第二次世界大戦後、シベリアの強制収容所 ― 通称「ラーゲリ」へと抑留された日本兵捕虜たちの実話に基づく作品です。
極限状況下における過酷で非人道的な生活描写は、戦争を知らない世代にとって想像を超えるものであり、歴史の現実を確かに突き付けられます。
中心となる山本幡男さんの生き方は、まさに人間の尊厳そのもの。捕虜となっても失わない誇りと矜持。どんな状況でも「生きること」をあきらめず、仲間を励まし続ける強さ、そして必ずダモイ(帰国)できると信じる心。
絶望だらけの中でも希望を見失わない姿に、どれほど勇気づけられたことでしょう。
戦争が奪うものの大きさと残酷さを改めて痛感させられました。
今、 -
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Posted by ブクログ
ネタバレ実話をもとにしたシベリア抑留のお話。
いつ日本に帰れるかわからない。
雀の涙しか与えられない食事。
過酷な労働環境。
逃げ出そうものなら即射殺。
先の見えない壮絶な環境で、それでも希望を手放さず周りを鼓舞し続ける主人公の山本。
心が荒んだ兵士たちが山本の言葉や行動に突き動かされ、強くたくましくなっていくのが印象的。
日本で4人の幼い子供とともに山本の帰りを待ち続ける妻モジミも、希望を捨てず強かに生活している姿に胸打たれた。
最後、このたくましい夫婦に待ち受けるのは切ない別れ。
あまりに残酷だと涙せずにはいられなかったが、同時に戦争の恐ろしさをひしひしと感じた。 -
Posted by ブクログ
ネタバレソ連という国やソ連兵、自分を裏切った者を憎むでもなく、ひたすら家族と再会できることを信じて、人間らしく生きた山本幡夫さんに頭が下がる思いでした。
今の日本は、戦時中に命を落とした人達が願っていたような国になっているのか?自分は今の平和な生活を享受しているにもかかわらず、真っ当な人間として生きているのか?と色々なことが頭をよぎり、その度に考えさせられました。
残念ながら国家というものが存在する限り、国同士の戦争はなくならないと思う。
だけれども、人が人として在り続ける限り、他者への敬いを忘れず、また他者の生や自由を冒涜してはいけないと改めて思いました。 -
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Posted by ブクログ
ネタバレ第二次世界大戦中、主人公の山本幡男は妻と4人の子供と別れる。その時、「日本で落ち合おう」と約束した。戦争後は戦犯犯罪人としてシベリア強制収容所(ラーゲリ)で10年以上強制労働させられる。共に強制労働させられていた人たちは帰国できずに極寒のシベリアで死ぬと諦めていた。山本は必ず帰国できると信じて、周りの人に希望を与え続けた。山本の周りには原、新谷、松田、相沢という強制労働させられていた人達がでてくる。山本を中心に帰国を信じ、ささやかな楽しみである句会を楽しむ腹や新谷。厳しい環境でも諦めない山本に嫌悪を示す松田や相沢。帰国を信じていた山本だったが喉の癌になってしまう。衰弱していく山本に原たちは遺書
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匿名
ネタバレ 購入済みどんなに過酷な状況においても日本への帰国を諦めない主人公と、その様子に影響された周囲の人々の心情が細かくに記されており、これがノンフィクションであることに驚きました。
主人公が遺書を残すシーンと、この遺書をなんとしてもご遺族のもとへ届けようとする人々のシーンには大変感動しました。 -
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Posted by ブクログ
幸福とはなんだろう。
不幸とはなんだろう。
他者が他者の幸不幸を評するのもおこがましいとは思うが、その人の人生がどちらであるか、と見る時、その人生の締めくくり方を見て、この人は幸せなだったろうな、可哀想な人だったな、と思うことがある。
けれど、その人生の途中を見れば、その通りとも限らない。
何よりその人自身がどう感じているか。
幸不幸は他者が測るものではない。
それを踏まえて『山本さん』を思えば、どうだろう?
どう捉えても不幸としか見えないが、本人はそう感じていただろうか?
人は辛い時、苦しい時、自分のその闇の部分しか見えなくなる。
どうしたって周りを見る余裕などなくなる。
こ