天野祐吉のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
去年の10月に亡くなったCMコラムニストの天野祐吉さんの最後の著作である。刊行がなくなった日のちょうど一ヶ月後なので、さぞかし悲愴な決意の遺作かと思いきや、闘病のあとは一切見せない、天野さんらしい、わかりやすい言葉で鋭く世相と世界を切り取り、方向性を示した好著になっていました。
ブロローグで「世界は歪んでいる」と言って以下の事を例に出しています。
マスク人間の増殖、原発再稼働、テレビショッピングの横行、福袋のブーム、利点よりも失われるモノが多いリニア新幹線。
この「おかしさはみんな、いまの世の中の入れ物自体の歪みからきているんじゃないか」と著者は言うのです。
その入れ物は、大量消費社会とい -
Posted by ブクログ
先日、亡くなった天野祐吉氏が、戦後から311後に至るまでの世の中の変化をCMと言う窓を通じて語っています。
CMと言うのは本当に歴史なんだなと、思いました。戦後の高度成長期やバブルには、物欲を煽るCMが 多く、経済低成長時代には、生活やエコをアピールしたり。そういえば、以前あれだけ世の中を賑わせていた原発推進の広告やCMは3.11を境に何事もないかのようになくなりましたが、推進反対のCMは出てきませんよね。
「ほしいものがほしい」と言う言葉、かって、スティーブジョブズが、消費者は自分たちが欲しいものが何か分からないから、それを示す必要があると言った。それに通じるものを感じました。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ先日亡くなった天野祐吉さんの(おそらく)最後の著作。
戦前戦後から高度経済成長、そして大震災までを生きた天野さん自身の人生史でもあり、その中でメディアや広告が果たした役割の変遷が並行して描かれる。
そんな中で、大衆社会の「いま」と切実な関係を保ちながら、人々の暮らしに対する想像力を切り開いてきた広告が、その本来的な意味を失い、大量生産・大量消費を謳う資本主義の道具と変質していく時代に対抗すべく、「広告批評」を創刊するに至ったという背景はとてもリアルだ。30年後に「使命を終えて」廃刊となった同雑誌のコンセプトは、初期も僕が読んでいた末期も変わっていなかったように思う。
翻って、ネットで誰も