山口智美のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
リベラル左派の人たちはしばしば「ネット右翼はきっとこんな人間だろう」と語るが、それは多くの場合、色眼鏡を通した思い込みにすぎない。
また、ネット右翼とオンライン排外主義は混同されがちだが、実際には両者の間に微妙な違いがあり、その区別を曖昧にしたままでは現状を正確に把握することはできない。
本書は、平成以降の政治や社会の動きを背景に、ネット右翼がどのように生まれ、どのような人々が共鳴し、どのように影響力を増してきたのかを丁寧にまとめている。
私自身、これまでネット右翼の人々についてぼんやりとした印象しか持っていなかったが、この本を読むことで、彼らがどのような理屈や背景から右翼的な思想へ傾いていくのかを知ることができた。
日頃から偏見で人を判断しないように意識している者として、この本は読む価値のある一冊だったと思う。
ネット右翼の主張に賛同するわけではないし、立場としては相容れないものも多い。
それでも、彼らを少しでも理解しようとすることで、以前よりもフラットな視点を持てるようになったと感じている。
なお、本書は2019年に刊行されたものである。
それから6年が経った2025年の現在、世界各地で極右的な動きが強まり、日本でも参政党がTikTokを活用し、排外主義的な言説を入り口として幅広い世代を取り込みつつある。
もはや、2019年当時とは状況が大きく変化していると言ってよい。
だからこそ今、TikTokと参政党の登場が世論形成にどのような影響を及ぼしたのかを、改めて1冊の本としてまとめてほしいと感じる。 -
Posted by ブクログ
先日読んだ「反中絶の極右たち」は世界中で展開された反中絶・反ジェンダー・反LGBTQの運動について記録しているが、本書は安倍政権前後の日本での動きについて記録している。体系だった報道がない中でこのようにわかりやすく流れをまとめてくれた筆者には頭が下がる。
いわゆる「右派」はすべてつながっていて、戦時下の日本軍の加害の歴史から、ジェンダー平等(男女共同参画)、LGBTQの権利、そして性教育や中絶の権利までを否定する。そこには、自助・自己責任の名の下、女性を家事労働と再生産のみに押し込める家父長制の思想が強く現れている。
そういった動きにある意味足をすくわれ、フェミニストであるのにトランス差別を展開する人々についても、その根本要因として各団体や個人がシングルイシューのみ関心を持って取り組み、基盤となる人権や、インターセクショナリティの概念が欠如していたことを本書は指摘する。
自分自身、日本のジェンダー平等を推進したいと思っていまの仕事をしているがその組織がバックラッシュに(主体でないにしろ間接的に)加担しているような歴史を改めて認識しじゃあどうしたらいいの…と暗い気持ちにもなるが、イシューをこえたインターセクショナルな連帯は必須なのと、宗教団体とべったりの右派議員を落としていくしかないだろう。 -
Posted by ブクログ
少しジェンダーを齧った気でいたが、ポリタスTVの視聴者同様、知らないことばかりの内容で衝撃だった。怒りを感じながら読まずにはいられなかった。
しっかり勉強して、情報をキャッチアップして、その情報を精査して、かつ「報道されない」事実にも心を向けないと、一部の人だけが進めたいとんでもない方向に、この国が進んでいることに気づけない。
伝統的な家族・家父長制礼賛、夫婦別姓を選択する」ことさえ叶わない、頓珍漢な少子化対策…。
未来の子どもたちに「あの令和の時代に生まれなくて良かった」と言ってもらえるように変えていかないといけないのでは、と感じる。 -
Posted by ブクログ
ようやく読んだけど、今まで宗教右派がやってきたことがあまりにもひどいというか、女性のことは子どもを産む肉袋としか思ってないんだろうし、性的マイノリティの人たちのことはとことん透明化してこの社会に存在することを無視しようとしているということだけがひたすらに伝わったし、先の戦争に関する歴史を都合よく修正して海外に触れてまわっていたりと、本当になんてことをしていたんだ…と具合が悪くなった
日本国籍の成人男性以外を人間として扱う気がまるでない
文章自体は淡々と事実を述べているけど、それだけにひどさが際立つ。ここ30年弱で日本の男女平等や子どもたちへの教育が後退していったかを流れも含めて知ることができる -
Posted by ブクログ
独身未婚中年男性の自分が読んでみました。
非常に優れた内容だと思いました。
一方で、タイトルがややミスリードな印象でした。「宗教右派」の話があまり前面に出ていなかったような気がするので、もう少し宗教団体にフォーカスした話も読んでみたいです。
どちらかというと、「伝統的家族観」を信奉する宗教団体が自らの団体を票田として右派政治勢力に食い込んできた、政治とジェンダー政策状況の日本戦後史(現在までを含む)、という感じでした。
以下、ちょっと思ったことを。
p61 ジェンダーフリーになると売春が肯定されてしまうからよろしくない、という主張について。もし、ジェンダーフリーになると売春を肯定するというのであれば、「男社会」での買春も当然批判されるべきなのですが、その点は宗教右派や保守政党はどう考えているのかな、なんて思いました。
p75 「日本文化を伝える」云々について。結局、今の日本の若者に、「日本の文化」が良いものだと思ってもらえていないことが問題のような気がしました。だいたいそういう文脈でお偉いさん方は「じゃあ愛国心教育をしよう」とか短絡的な発想をするんですが、それで押しつけたら余計逃げるに決まってるって・・・。今の日本って、国が若者を駒と思っているのに、一方的に若者に国を愛すことを求めるなんて、ジョークが過ぎます。
どんな人も、幸せに過ごせる日本社会になってほしいものです。
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