明るく、元気に、さわやかに。一時の低迷から復活した2010年代以降に復活したNHK朝ドラ。エキレビというサイトでレビューを連載する筆者が考察する時代の鏡としての朝ドラ。
2010年代、ちょうど2010年代に放送時間が8時からに代わってから朝ドラの視聴率は回復傾向。ネットでの話題も含めると2014年
...続きを読む「あまちゃん」が筆頭だろう。
本書はエキレビで毎日朝ドラについて分析した記事を掲載する筆者の作品。
1 マッサン 国際結婚とつかこうへいイズム
2 ごちそうさん 食らうことは生きること
3 あさが来た 妾と女中と正妻と
4 花子とアン 純愛と道ならぬ恋
5 とと姉ちゃん 生涯独身ヒロイン、あらわる
6 私の青空 シングルマザーの現実と誇り
7 べっぴんさん 産めよ育てよ働けよ
8 おしん 辛抱だけじゃなかった
9 まれ 人生なめ過ぎな主人公
10 カーネーション 朝ドラを超えた朝ドラ
11 あまちゃん 影武者に光を
筆者は現代の視点から「おしん」を再評価している。
明治から戦後にかけての女性の生き方が「おしん」で存分に描かれたからこそ、それに代わる新しい女性の生き方を描いたドラマが生まれているともいえる。
夫に尽くすホームドラマから女性の生き方の変化、それが「私の青空」、「とと姉ちゃん」につながっている。
カーネーションの登場によって、朝の15分間を時計代わりに消費するドラマから。じっくり観て語るドラマへ語る下地が醸成されたのは確かだ。「カーネーション」があったからこそ、「あまちゃん」でも多くの論客が現れ、関連本も出版されたといえるだろう。
筆者は「カーネーション」を高く評価している。朝ドラ史上最高に男らしいヒロインとして。不倫つまりは性のタブーにも果敢に挑戦している。
「あまちゃん」については、母の春子がゴーストシンガー、娘のアキもGMTでシャドウそして北鉄のユイちゃんは、上京したアキと対照的に母の失踪、震災から地元アイドルの道を歩む、”影武者”の物語と評している。
「ひよっこ」の脚本家岡田恵和インタビュー。「幼なじみが恋人に」「フラれるライバル」「長い間お世話になりました」が朝ドラの鉄則だとか。「ちゅらさん」「おひさま」に次ぐ氏の作品。
録画してでもついつい見てしまう朝ドラ。自分には生活、人生の一部になっている。番組はもちろん放送翌日に更新される筆者のエキレビのタイムリーな批評も楽しませてもらっている。
今後も半年1クルーで続くであろうNHKの朝ドラ、2010年代という時代を早めに総括した批評として高品質な作品でした。