木原武一のレビュー一覧
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選ばれている名著もバランスがよく、幅広い分野から選ばれており、納得のいくものである。
1冊において、著者、作品紹介、内容の概略、著書からの抜粋、著書の判型案内と、コンパクトに3ページで各書、納められている。
ブックガイドによっては、内容の説明はあるが、抜粋がないため、一体、どのような感じで書かれているかが、わからないものがあるが、その点、本書は、紹介されている書のトーンがわかり、有り難い。
また、書評、本の紹介において、要約が肝心であるが、上手くまとめられている。
そのため、3ページという短い紹介であるが、本の内容を把握することは、十分可能である。
新入学の季節であるが、無理して、必読書という硬い本にチャレンジするよりも、この本に紹介されている本を読み、自分の血肉とするのも、お勧めする。 -
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木原武一(1941年~)氏は、東大独文科卒の翻訳家、著述家。古今東西の偉人・著名人を紹介した人生論、読書案内などの著書多数。
本書は、2005年に単行本で出版され、2014年に文庫化された。
構成は、各作品について、著者と作品紹介、要約、読みどころと名言、編者からひとこと、文献案内、が6頁ほどでまとめられており、大変読み易い。(但し、「要約」は、あらすじというより、ポイントとなるパラグラフの引用に近い)
紹介されている50冊は以下である。
<自分を知るために> アラン『幸福論』、フロイト『夢判断』、ソロー『森の生活』、エマソン『自己信頼』、スタンダール『赤と黒』、デカルト『方法序説』、シェイクスピア『ハムレット』、モンテーニュ『エセー』、プラトン『ソクラテスの弁明』、孔子『論語』
<人間を知るために> フロム『自由からの逃走』、ホイジンガ『ホモ・ルーデンス』、ヘレン・ケラー『わたしの生涯』、ニーチェ『ツァラトゥストラかく語りき』、トルストイ『戦争と平和』、ドストエフスキー『罪と罰』、ゲーテ『ファウスト』、ショーペンハウアー『意志と表象としての世界』、フランクリン『自伝』、パスカル『パンセ』
<社会を知るために> アーサー・ミラー『セールスマンの死』、アレン『オンリー・イエスタデイ』、リップマン『世論』、カフカ『審判』、ヴェブレン『有閑階級の理論』、テンニエス『ゲマインシャフトとゲゼルシャフト』、ルソー『社会契約論』、デフォー『ロビンソン・クルーソー』、トマス・モア『ユートピア』、マキアヴェッリ『君主論』
<歴史を知るために> ヘイエンダール『コン・ティキ号探検記』、フランクル『夜と霧』、ツヴァイク『ジョゼフ・フーシェ』、マックス・ヴェーバー『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』、ブルクハルト『イタリア・ルネサンスの文化』、コロンブス『航海記』、羅貫中『三国志演義』、ヘロドトス『歴史』、ホメロス『イリアス』、『聖書』
<自然を知るために> ワトソン『二重らせん』、カーソン『沈黙の春』、クーン『科学革命の構造』、ハッブル『銀河の世界』、キャノン『からだの知恵』、ファーブル『昆虫記』、ダーウィン『種の起源』、バルザック『「絶対」の探求』、レオナルド・ダ・ヴィンチ『手記』、ヒポクラテス『古い医術について』
古今東西の幅広い、著名な作品が取り上げられており、できることなら全て読みたいところだが(私がこれまでに読んだのは、抄訳も含めて16冊ほど)、中には大部のものもあり、悩ましい限りである。
そうした意味でも、エッセンスがコンパクトにまとまった本書は、大いに価値ある一冊といえる。 -
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木原武一(1941年~)氏は、東大独文科卒の翻訳家、著述家。古今東西の偉人・著名人を紹介した人生論、読書案内などの著書多数。
本書は、2007年に単行本で出版され、2014年に文庫化された。
構成は、各作品について、著者と作品紹介、要約、読みどころと名言、編者からひとこと、文献案内、が6頁ほどでまとめられており、大変読み易い。(但し、「要約」は、あらすじというより、ポイントとなるパラグラフの引用に近い)
紹介されている50冊は以下である。
<自分を知るために> 土居健郎『「甘え」の構造』、鈴木大拙『日本的霊性』、芥川龍之介『鼻・芋粥』、夏目漱石『こころ』、西田幾多郎『善の研究』、正岡子規『病牀六尺』、吉田兼好『徒然草』、親鸞『歎異抄』、道元『正法眼蔵』、鴨長明『方丈記』
<人間を知るために> 宮本常一『忘れられた日本人』、深沢七郎『楢山節考』、九鬼周造『「いき」の構造』、尾崎紅葉『金色夜叉』、新渡戸稲造『武士道』、福沢諭吉『福翁自伝』、上田秋成『雨月物語』、近松門左衛門『冥途の飛脚』、井原西鶴『好色一代男』、紫式部『源氏物語』
<社会を知るために> 梅棹忠夫『文明の生態史観』、中根千枝『タテ社会の人間関係』、安部公房『砂の女』、丸山眞男『現代政治の思想と行動』、長谷川如是閑『ある心の自叙伝』、細井和喜蔵『女工哀史』、荒畑寒村『谷中村滅亡史』、篠田鉱造『幕末百話』、朝日重章『鸚鵡籠中記』、紀貫之『土佐日記』
<歴史を知るために> 江上波夫『騎馬民族国家』、井伏鱒二『黒い雨』、柳田国男『海上の道』、永井荷風『断腸亭日乗』、高橋是清『高橋是清自伝』、島崎藤村『夜明け前』、折口信夫『古代研究』、曲亭馬琴『南総里見八犬伝』、『平家物語』、『古事記』
<自然を知るために> 宮地伝三郎『アユの話』、湯川秀樹『旅人』、星新一『おーい でてこーい』、今西錦司『生物の世界』、中谷宇吉郎『雪』、徳富蘆花『自然と人生』、鈴木牧之『北越雪譜』、杉田玄白『蘭学事始』、松尾芭蕉『おくのほそ道』、清少納言『枕草子』
古今の幅広い作品が取り上げられており、本書を読んで初めて知ったものも少なくないが(私がこれまでに読んだのは15冊ほど)、全篇を読むには二の足を踏むものもあり、もう少し新しいところで、山本七平、網野善彦、石牟礼道子、志村ふくみ、石原吉郎、神谷美恵子、岡潔、野口晴哉、遠藤周作なども入ってくると、もう少し馴染みやすい作品が並んだのかも知れない。
ただ、(実際に作品を読むかは別として)名著といわれる作品を知っておくという意味では、一読の価値ある一冊といえる。 -
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人間生活の主導者であり、心身に大きな影響をおよぼす習慣は、若い頃に始まる場合にもっとも完全であるから、この頃によい習慣を身につけることを、教育と呼ぶのである。
「しつける」「しつづける」から来た「躾」は、何度も同じことを繰り返すことによって、立居振舞や言葉遣い、ものの考え方が、人間の心と体にセットされることである。
家庭は習慣の学校であり、父母は習慣の教師である。
ものを考える力と議論する力を子供たちに身につけさせたいと思ったケネディの母親は、子供の目につく場所に置いた掲示板に、新聞や雑誌の切り抜きを貼っておき、食事の時に話題にできるようにし、また食事中は質問を出したり論評したりして、巧みに会話をリードした。
「意地わる」などマイナスのイメージがつきまといがちな「意地」という言葉だが、英語ではbackboneと訳され、ある辞書では「精神的な実行力。自分の考えを押し通そうとする心」と定義されるように、本来はむしろプラスイメージの言葉であり、ダーウィンなどはまさにこの「意地」を通すことで、進化論を提言するに至った。
有名な「人民の、人民による、人民のための政治」という名言も、実はたまたま目にしたある牧師の演説集の言葉を言い換えたものであったように、リンカーンの演説は彼の旺盛な読書によって支えられていた。
逆境にあったがために、幼いころから努力して、いつか名を挙げようと、そのことばかり考えていた伊能忠敬だから、はじめて日本全土を測量して地図を作るという大事業を成し遂げることができた。
関心の度合いと動員されるエネルギーは比例するから、教育内容が生徒の関心に訴え、生徒の欲求に対応しさせすれば、その生徒は無限により良い成績を得るにいたるであろう。
生まれて初めて羅針盤を目にしたアインシュタイン少年が、その針の動きに心を奪われたように、驚きを感じる心の作用が子供にとってもっとも大切であり、さらに肝腎なのはそこでその原因を考えることである。他人から教えられたことはすぐ忘れるが、自分で考えたことは、場合によっては、生涯、忘れることがないのだから、このような時に、親は子供から訊かれるまでけっして何も教えてはいけない。
「自分自身の誤りは凸レンズをつけて見、そして、他人のそれは凹レンズをつけて見よ」(ガンジー)
最後は大好きな戦国武将二人の言葉で。これはしびれる。
「子の善悪邪正は、親の仕付けに寄る事なり。三歳以後は言語を教え、五歳以上は起居動静を指南し、七歳より手習いを勧め、八歳より読書させ、十歳に至りては、自他の応対送迎の礼式を合点さすべし。貴賤ともに、性は善なるものなれば、成長以後の行跡は、くわしき幼年の教導による事なり。」(武田信玄)
「堪忍の事、身を守る第一に候。何事の芸術も、堪忍なくしては、いたし覚え候事もならぬものにて候。天道に叶う身の、我儘を致さぬ堪忍、天地の理に叶いて、先祖よりの一群一城を失い申さぬ堪忍、人和を得ても、我が気随をいたさぬ堪忍、その外身体悉く堪忍を用うる事に候。」(徳川家康) -
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ネタバレ突然古典を読みたくなって、その為のガイドとして購入。初っぱなのアランの幸福論からして面白そう。で、原著翻訳の方も平行して読んでみることに(ほどなく挫折・・・)。
ともあれ、以下に示すように<自分を知るために><人間を知るために><社会を知るために><歴史を知るために><自然を知るために>と区分けして、古典が列挙されている。選書の参考にしたい。
<自分を知るために>
1.「幸福論」アラン(エミール・シャルティエ;1868-1951)
2.「夢判断」フロイト(1856-1939)
3.「森の生活ーウォールデン」ソロー(1817-62)
19世紀アメリカ文学の代表的古典。自然派、エコライフ、孤独を楽しむ。
4.「自己信頼」エマソン(1803-82)
19世紀アメリカの思想家エマソンのもっとも有名な論文。詩人のホイットマン、哲学者のニーチェに影響を与える。
5.「赤と黒」スタンダール(1783-1842)
恋愛の駆け引きもの。
6.「方法序説」デカルト(1596-1650)
「我思う、故に我あり」。う~ん・・・
7.「ハムレット」シェイクスピア(1564-1616)
シェイクスピア4大悲劇のひとつ。「生きるべきか死ぬべきか、それが問題だ」。
8.「エセー」モンテーニュ(1533-92)
読書三昧の日々に記したエッセイ。博学の無知。
9.「ソクラテスの弁明」プラトン(前427-前347)
ソクラテス(前470-前399)の裁判における弁明を弟子のプラトンが記録。無知を知れ。
10.「論語」孔子(前551-前479)
四書(論語、大学、中庸、孟子)の筆頭。今でも使える人生の指針。
<人間を知るために>
11.「自由からの逃走」フロム(1900-1980)
自由=孤独と不安からナチズムなどへの依存が起こる。
12.「ホモ・ルーデンス」ヨハン・ホイジンガ(1872-1945)
ナチスに抵抗。遊ぶ人。
13.「わたしの生涯」ヘレン・ケラー(1880-1968)
サリバン先生との奇跡の物語。
14.「ツァラトゥストラかく語りき」ニーチェ(1844-1900)。
15.「戦争と平和」トルストイ(1828-1910)
16.「罪と罰」ドストエフスキー(1821-1881)
『貧しき人びと』とか『虐げられた人びと』とか『賭博者』
17.「ファウスト」ゲーテ(1749-1832)
18.「意志と表象としての世界」ショーペンハウアー(1788-1860)
19.「自伝」フランクリン(1706-1790)
代表的アメリカ人、アメリカ最初の外交官といわれたフランクリンの波瀾万丈、紆余曲折の半生が描かれる。鶴見俊輔の訳が面白そう。
20.「パンセ」パスカル(1623-1662)
天才数学者+キリスト教のセールスマン
<社会を知るために>
21.「セールスマンの死」アーサー・ミラー(1915-2005)マリリンの元夫。
22.「オンリー・イエスタデイ」アレン(1890-1954)1929年の大恐慌の描写。
23.「世論」リップマン(1889-1974)20世紀最高のジャーナリスト。
24.「審判」カフカ(1883-1924)不条理の世界を描く。
25.「有閑階級の理論」ヴェブレン(1857-1929)
26.「ゲマインシャフトとゲゼルシャフト」テンニエス(1855-1936)
社会学の創始者のひとり。地縁血縁からなるゲマインシャフト、観念的機械的な形成物であるゲゼルシャフト。
27.「社会契約論」ルソー(1712-1778)当時、発禁処分を受ける。
自伝「告白」あり。
28.「ロビンソン・クルーソー」デフォー(1660-1731)
29.「ユートピア」トマス・モア(1478-1535)
30.「君主論」マキアヴェッリ(1469-1527)君主は清濁併せ呑むべし。政治の現実論。
<歴史を知るために>
31.「コン・ティキ号探検記」ヘイエルダール(1914-2002)
32.「夜と霧」フランクル(1905-1997):アウシュビッツの悪夢
33.「ジョゼフ・フーシェ」ツヴァイク(1881-1942):日和見主義者の末路
ツヴァイクは伝記作家として名高い。
34.「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」マックス・ヴェーバー(1864-1920)
35.「イタリア・ルネサンスの文化」ブルクハルト(1818-1897)文化史/美術史の創始者。
36.「航海誌」コロンブス(1451-1506)
37.「三国志演義」羅貫中(14世紀中頃):2世紀末~3世紀末の3国時代
38.「歴史」ヘロドトス(前490頃-前425頃):ペルシアのギリシャ遠征話など
39.「イリアス」ホメロス(前8世紀頃)
40.「聖書」:紀元前1000年~紀元後百数十年
<自然を知るために>
41.「二重らせん」ワトソン(1928-)
42.「沈黙の春」カーソン(1907-1964)
43.「科学革命の構造」クーン(1922-1996):パラダイムによる分析
44.「銀河の世界」ハップル(1889-1953):膨張する宇宙の観測
45.「からだの知恵」キャノン(1871-1945):ホメオスタシス概念の提唱
46.「昆虫記」ファーブル(1823-1915):文学者の一面も。
47.「種の起源」ダーウィン(1809-1882):自然選択概念の提起
48.「『絶対』の探求」パルザック(1799-1850):人間喜劇
49.「手記」レオナルド・ダ・ヴィンチ(1452-1519)
50.「古い医術について」ヒポクラテス(前460頃-前375頃):医学の父