木原武一(1941年~)氏は、東大独文科卒の翻訳家、著述家。古今東西の偉人・著名人を紹介した人生論、読書案内などの著書多数。
本書は、2005年に単行本で出版され、2014年に文庫化された。
構成は、各作品について、著者と作品紹介、要約、読みどころと名言、編者からひとこと、文献案内、が6頁ほどでまと
...続きを読むめられており、大変読み易い。(但し、「要約」は、あらすじというより、ポイントとなるパラグラフの引用に近い)
紹介されている50冊は以下である。
<自分を知るために> アラン『幸福論』、フロイト『夢判断』、ソロー『森の生活』、エマソン『自己信頼』、スタンダール『赤と黒』、デカルト『方法序説』、シェイクスピア『ハムレット』、モンテーニュ『エセー』、プラトン『ソクラテスの弁明』、孔子『論語』
<人間を知るために> フロム『自由からの逃走』、ホイジンガ『ホモ・ルーデンス』、ヘレン・ケラー『わたしの生涯』、ニーチェ『ツァラトゥストラかく語りき』、トルストイ『戦争と平和』、ドストエフスキー『罪と罰』、ゲーテ『ファウスト』、ショーペンハウアー『意志と表象としての世界』、フランクリン『自伝』、パスカル『パンセ』
<社会を知るために> アーサー・ミラー『セールスマンの死』、アレン『オンリー・イエスタデイ』、リップマン『世論』、カフカ『審判』、ヴェブレン『有閑階級の理論』、テンニエス『ゲマインシャフトとゲゼルシャフト』、ルソー『社会契約論』、デフォー『ロビンソン・クルーソー』、トマス・モア『ユートピア』、マキアヴェッリ『君主論』
<歴史を知るために> ヘイエンダール『コン・ティキ号探検記』、フランクル『夜と霧』、ツヴァイク『ジョゼフ・フーシェ』、マックス・ヴェーバー『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』、ブルクハルト『イタリア・ルネサンスの文化』、コロンブス『航海記』、羅貫中『三国志演義』、ヘロドトス『歴史』、ホメロス『イリアス』、『聖書』
<自然を知るために> ワトソン『二重らせん』、カーソン『沈黙の春』、クーン『科学革命の構造』、ハッブル『銀河の世界』、キャノン『からだの知恵』、ファーブル『昆虫記』、ダーウィン『種の起源』、バルザック『「絶対」の探求』、レオナルド・ダ・ヴィンチ『手記』、ヒポクラテス『古い医術について』
古今東西の幅広い、著名な作品が取り上げられており、できることなら全て読みたいところだが(私がこれまでに読んだのは、抄訳も含めて16冊ほど)、中には大部のものもあり、悩ましい限りである。
そうした意味でも、エッセンスがコンパクトにまとまった本書は、大いに価値ある一冊といえる。