あらすじ
人間にとって不可欠の習慣は、いつごろ、どのようにしてつくられるのか。もちろん年齢によって習慣は変わるが、基本となる習慣は、「もの心」つくころから形成されるといえよう。本書は、さまざまな具体的な事例を通して、子供時代につくられた「心の習慣」が、その後の人生に決定的な影響を与えたことを考察したものである。歴史に偉業をなしとげた人びとは、いずれも子供時代に「よい習慣」を身につけていた。例えば、リンカーンはつねに本を読みふけっていた、J・F・ケネディは食事のたびに議論をしていた、ジョン・レノンは「不思議の国のアリス」を暗誦していた、といった具合である。それでは、そうした「よい習慣」はどこから生まれるのか。それは、親の態度にかかっていると著者は説く。現在、子育てにかかわっている人、子育てに関心のある人に、ぜひ読んでいただきたい1冊。
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Posted by ブクログ
・家庭は習慣の学校(体と心の習慣)
子どもを出来るだけ外で遊ばせ、家事を分担させる
・子どもの頃の遊びがその人のライフワークになる
幼い頃の興味、関心が、その人の人生を左右する大きな要因
・勉強する親を見て子どもも勉強するようになる
(勉強、ゴルフ、絵、芸しかり)
Posted by ブクログ
人間生活の主導者であり、心身に大きな影響をおよぼす習慣は、若い頃に始まる場合にもっとも完全であるから、この頃によい習慣を身につけることを、教育と呼ぶのである。
「しつける」「しつづける」から来た「躾」は、何度も同じことを繰り返すことによって、立居振舞や言葉遣い、ものの考え方が、人間の心と体にセットされることである。
家庭は習慣の学校であり、父母は習慣の教師である。
ものを考える力と議論する力を子供たちに身につけさせたいと思ったケネディの母親は、子供の目につく場所に置いた掲示板に、新聞や雑誌の切り抜きを貼っておき、食事の時に話題にできるようにし、また食事中は質問を出したり論評したりして、巧みに会話をリードした。
「意地わる」などマイナスのイメージがつきまといがちな「意地」という言葉だが、英語ではbackboneと訳され、ある辞書では「精神的な実行力。自分の考えを押し通そうとする心」と定義されるように、本来はむしろプラスイメージの言葉であり、ダーウィンなどはまさにこの「意地」を通すことで、進化論を提言するに至った。
有名な「人民の、人民による、人民のための政治」という名言も、実はたまたま目にしたある牧師の演説集の言葉を言い換えたものであったように、リンカーンの演説は彼の旺盛な読書によって支えられていた。
逆境にあったがために、幼いころから努力して、いつか名を挙げようと、そのことばかり考えていた伊能忠敬だから、はじめて日本全土を測量して地図を作るという大事業を成し遂げることができた。
関心の度合いと動員されるエネルギーは比例するから、教育内容が生徒の関心に訴え、生徒の欲求に対応しさせすれば、その生徒は無限により良い成績を得るにいたるであろう。
生まれて初めて羅針盤を目にしたアインシュタイン少年が、その針の動きに心を奪われたように、驚きを感じる心の作用が子供にとってもっとも大切であり、さらに肝腎なのはそこでその原因を考えることである。他人から教えられたことはすぐ忘れるが、自分で考えたことは、場合によっては、生涯、忘れることがないのだから、このような時に、親は子供から訊かれるまでけっして何も教えてはいけない。
「自分自身の誤りは凸レンズをつけて見、そして、他人のそれは凹レンズをつけて見よ」(ガンジー)
最後は大好きな戦国武将二人の言葉で。これはしびれる。
「子の善悪邪正は、親の仕付けに寄る事なり。三歳以後は言語を教え、五歳以上は起居動静を指南し、七歳より手習いを勧め、八歳より読書させ、十歳に至りては、自他の応対送迎の礼式を合点さすべし。貴賤ともに、性は善なるものなれば、成長以後の行跡は、くわしき幼年の教導による事なり。」(武田信玄)
「堪忍の事、身を守る第一に候。何事の芸術も、堪忍なくしては、いたし覚え候事もならぬものにて候。天道に叶う身の、我儘を致さぬ堪忍、天地の理に叶いて、先祖よりの一群一城を失い申さぬ堪忍、人和を得ても、我が気随をいたさぬ堪忍、その外身体悉く堪忍を用うる事に候。」(徳川家康)