佐藤幹夫のレビュー一覧
-
ネタバレ
超面白くて為になる応答集!
「明日戦争がはじまる」で世間を騒然とさせた詩人の宮尾節子さんと津久井やまゆり事件を総括する決定版をあらわしたジャーナリストの佐藤幹夫さんによる往復書簡、ならぬ往復メールによる対話本をいっきに読みました。
対話編ときけばあの有名なプラトンが聞き書きした「ソクラテスの対話編」を思い出すけれど、ああいう誰かが誰かにものを教えるというような高尚な対話ではない。私はなぜか1982年のウィンブルドン男子決勝戦で実際に見たジミー・コナーズとジョン・マッケンローの、手に汗握る対戦を思い出しました。
宮尾マッケンローが超高速の直球サーブを見舞うと、ラインぎりぎりまで後退した佐藤コナーズがこれをやわらかに受 -
Posted by ブクログ
これから到来する超高齢社会は、大量に高齢者が死んでいく社会である。
それに直面するのは、70歳や80歳の高齢者ではなく、現在40歳代、50歳代、そして65歳前後の団塊の世代である。
著者は次のような危機感を抱く。
施設や病院から非人道的な扱いを受けた家族の無念の言葉。「なぜ、人生の最後になって、こんなひどい目に合わなくてはならないのか」(p10)
「普通に老いて、普通に死ぬ、…そんなことができるのはむしろ一握りの恵まれた、幸せな高齢者」(p10)ではないか。
10年前にそう考えたが、現在、ますます情況はひどくなっているのではないか。
そして今後ますますそうなっていくのではないか。
本書 -
Posted by ブクログ
日本文学史に続く闘いの歴史の中で、現在もその闘いを続けている村上春樹という視点の本。
漱石、鷗外、志賀、太宰、三島と闘いの歴史が語られたのち、村上春樹の三島由紀夫に対する闘いを描いている。ちょっと無理があるのでは?は思える部分が多々あったが、村上春樹の小説読むにあたってまた新しい視点で読めそうでなかなか楽しい本だった。
「羊をめぐる冒険」と「夏子の冒険」は有名だが、「ノルウェイの森」と「春の雪」はなかなか意外な組み合わせだったけど、少し納得出来る部分もあった。
「ダンスダンスダンス」と「奔馬」はちょっと無理がある気がしたけど、全体的に村上春樹の小説の奥深さを実感できたので、改めて「風の歌を聴け -
Posted by ブクログ
志賀、太宰、三島の系譜は昔々の講義を思い出さされ、かなり楽しく読めた。
連綿と続く日本文学の延長に村上春樹をのせて進める話は、面白いものの少々無理も感じた。
ただ小説を読みかたという点では、勉強になった。
とはいえ、こんな読み方ちょっとできないけれど。
80年代村上春樹の小説はよく読んだが、その後たまに読んでもいまひとつピンとこない。 一番怖かったのはノルウェイの森。 あれほど皆が良いというので読んだものの、さっぱり、、、 これはおかしいとすぐに再読してもやっぱり、、、 感受性がなくなったのかなぁ。
これを機会に村上春樹を再読しようか。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ[ 内容 ]
「作家の発言は多かれ少なかれみんな嘘だと思っています」。
そう語る本人が25年間ついてきた“嘘”?
「日本の小説はほとんど読まなかった」。
作品にちりばめられた周到な仕掛けに気づいたとき、村上春樹の壮大な自己演出が見えてきた。
しかしそれは読者を煙に巻くためだけではない。
暗闘の末に彼が「完璧な文章と完璧な絶望」を叩き込まれ、ひそかに挑んできた相手はだれか?
夏目漱石、志賀直哉、太宰治、三島由紀夫…。
「騙る」ことを宿命づけられた小説家たちの「闘いの文学史」が、新発見とともに明らかになる。
[ 目次 ]
序となる文章 「巨大な事物の真実は現われにくい」(村上春樹)
第1部 闘い -
Posted by ブクログ
20年近くになるハルキストとしては、無視できないタイトルに、
思わず衝動買い。
現在のわが国において圧倒的な人気と実力を誇る村上春樹。
現代作家でありながら、既にその作品は時代を超え、
『名作』の域に達している。
文壇に入ることを嫌い、外国文化の影響を大いに受けていると
自他共に認めている一方で、国内の文学の影響を殆ど語らず、
むしろ否定しさえしていると思われる彼だが、
実は、彼の念頭に最もあったのは、三島由紀夫だったという話。
著者は、これを世紀の大発見を語るかのように、
「なぜかこのことは、これまでほとんど語られてきませんでした」と
書いているのだが、私に言わせれば、この著者は本