【感想・ネタバレ】ルポ 高齢者ケア ――都市の戦略、地方の再生のレビュー

あらすじ

「高齢者ケア」は、いま正念場を迎えている。超高齢社会となった現在、大都市圏では独居高齢者や生活困窮高齢者の増加、地方では人口減と市街地の限界集落化などの深刻な問題を抱えている。そのような切迫した事態に対応し、利用者にとって最善のケアとは何か。本書は、各地で奮闘した先進的な取り組みを進めている人びとを取材し、その答を追い求めていく。また、東日本大震災の被災地では、困難な状況下で、新しい取り組みが果敢に進められている。その取材を通して、地域医療、生活困難者支援の未来を考える。

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ


地方や都市の具体的な事例を踏まえ、日本の高齢化の諸問題にどう行政が包括的に課題解決するかのヒントが得られる本でした。

0
2024年09月10日

Posted by ブクログ

高齢者ケアの今後を考えるルポである。抑えた筆致で様々な地域の特徴について述べている。地域にはそれぞれの事情があるので、モデルにはならないが参考にはなる。都市部郊外の例である柏プロジェクト。孤独死を防ぐ新宿区の取り組み。路上生活者と山谷の高齢問題。認知症に対する熊本モデル。群馬県上野村の過疎再生モデル。石巻の状況。それぞれの地域事情に合わせて工夫している所にヒントがあると思われた。

0
2014年07月23日

Posted by ブクログ

これから到来する超高齢社会は、大量に高齢者が死んでいく社会である。
それに直面するのは、70歳や80歳の高齢者ではなく、現在40歳代、50歳代、そして65歳前後の団塊の世代である。

著者は次のような危機感を抱く。

施設や病院から非人道的な扱いを受けた家族の無念の言葉。「なぜ、人生の最後になって、こんなひどい目に合わなくてはならないのか」(p10)

「普通に老いて、普通に死ぬ、…そんなことができるのはむしろ一握りの恵まれた、幸せな高齢者」(p10)ではないか。
10年前にそう考えたが、現在、ますます情況はひどくなっているのではないか。
そして今後ますますそうなっていくのではないか。

本書は、この危機感とともに都市と農村部での超高齢化対応の実践例を報告しながら、二つメッセージを伝えようとしている。

「高齢者を地域で支えようにも、地域自体が活力を失っているときにどう支えることができるのか。地域包括支援システムとはいっても、それを駆動させる地域の力が枯渇しているならば、絵に描いた餅に過ぎなくなる。地域づくりとは端的に地域の再活性化だと言い換えてもいいが、高齢者へのケア(システム)の充実は、地域の活性化と両輪である」(p15)

「活力ある地域のケアは、活力と受容性の溢れた良質なものになる」(p15)

「医療・介護一体改革法案」(地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律案)が5月15日に衆議院を通過し、これから高齢者の医療と介護の仕組みが大きく変わっていくわけだが、その影響をもっとも受けるはずの団塊の世代の人々や、40歳代以上の人々が、それぞれの将来を考えるための格好の読物となっている。

0
2020年05月08日

「社会・政治」ランキング