高畑勲のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
2015年6月29日、岡山市戦没者追悼式・平和講演会での講演記録を収録したもの。60ページほどの本で、すぐ読み終わります。
9歳のとき岡山で焼夷弾の空襲を経験した高畑勲による、平和への提言。大変真面目で、まっすぐで、わかりやすい言葉でした。重みがあります。
高畑勲は、いままで戦争の体験を語ってこなかったという。その理由は簡単で、悲惨な戦争を語り継いだところで、
①「あんな悲惨な戦争を繰り返さないために、武器を捨て平和憲法を守ろう」
②「あんな悲惨な戦争を繰り返さないために、武器を持ち戦える準備をしよう」
これら両方の意見が出てくるからだと。とくに為政者は②を支持するだろうと。なるほど確かにそ -
Posted by ブクログ
『火垂るの墓』『かぐや姫の物語』で知られる高畑勲が自身の戦争体験の経験や、昨今の憲法改正に向かおうとする日本への危機感が語られている。
日本は戦後70、80年足らずで、もう以前の戦争でどれだけ悲惨なことが行われたのか忘れられようとしている。
広島、長崎で原子爆弾が落とされ、亡くなった日本人の魂に黙祷が毎年の行事として行われようと、戦争の傷跡をもう忘れてしまったようだ。
その証拠に2023年の日本は軍事費を増やし、自民党主導による憲法改正(しかもその憲法に緊急事態条項まで追加しようとしている)への道を諦めてはいない。
本著で指摘される「ずるずる体質」「責任を取らない体質」も、この10年でどん -
Posted by ブクログ
「パクさんの教養は圧倒的だった」と、博識の宮崎駿に言わしめた高畑勲の最後のエッセイ集。昨年の「高畑勲岡山展」の時に購入していたが、未だに完読できない。あの圧倒的な「岡山展」の内容をふた回り三回り理論化したような内容で、まとまり切らないからである。高畑勲はアニメの周辺を語っているのだけだけれども、その範囲だけでも古代から現代まで、日本から遠く世界の芸術まで語っていて、しかもかなり専門的で濃い。私の手には負えないかもしれない。しかし、日本の文化を考える上で重要な指摘が多く含まれていて、とても大切な書物です。とりあえず私の関心あるトピックだけピックアップしたい。
「加藤周一『日本 その心とかたち』 -
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私は、サッカーやフィギュアスケート、テニスをテレビで観るのが好きだ。サッカなどチームプレーは、選手は日本代表で日の丸背負っているのだろうと思う。観客が大きな日の丸を掲げるのも理解出来る。でも、フィギュアスケートやテニスの個人競技の時にも大きな日の丸を掲げるのは、違和感を覚える。昔はあんなにしていなかったと思うが。
こんな気持ちを持っている人は、他にも多いのかもしれないと、本書を読んで感じた。
自分の国を誇りに思う事は大事だ。でも、自分の国だけ良ければという考え方は、時に悪い方向に政治を向かわせる。
一度、戦争を始めてしまったら、戦争に反対していた人たちも、家族を失わないように勝つ方向に進んで -
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おもひでぽろぽろのシネマコミック。
監督が宮崎駿さんじゃなく高畑勲さんということで、
ジブリの中でもかなり雰囲気の違う作品だと思う。
時代の流れやいつになっても変わらぬ大局を踏襲しているし、なによりジブリならではの作品から漂う懐かしさがもっともにじみ出ている作品だと感じていたので、
読んでみて映画のその感じが思い起こされてよかった。
現在の話と5年生の頃の話、台詞と心の声や語りの声を
コマ割りの枠線や台詞の枠線でわかりやすく示されていて映画のときの進行の仕方が感じられた。
読んで、また映画が見たくなって見ると、
思い出との対話という部分が描かれているすばらしい作品だと改めて気付かされた。
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Posted by ブクログ
戦後もうすぐ80年にならなんとしている。その間日本は憲法9条に護られ市民の戦死者を一人として出すことなく過ごすことが出来た。ありがたいことである。高畑さんの本でもこのことは書かれている。憲法9条を護持し外交を研ぎ澄ますこと。それはその通りであると思うが、今のこの情勢の中でそれだけで日本が戦争を遠ざけることが可能だろうか?その答えは誰も知らない。現在に生きる我々が考えていくべきことだと思う。日本は元来、多民族が作ってきた国家である(このことはゲノム分析で近年明らかになってきた)。これが人さますなわち世間との同調性が強い特殊な民族性と関係があるように思える。したがって、高畑氏の唱える欧米的な声のあ