伊藤和子のレビュー一覧
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国内外を問わない企業活動で、人を人とも思わないやり方で搾取し、蹂躙する社会が蔓延っている。企業は国際人権基準を尊重する責任を負い、国家には人権を保護する義務があり、人権侵害には救済が求められる。私たち1人1人が国連の「指導原則」に則った「ビジネスと人権」をどれくらい理解できているだろうか。本書は、正直難しい、しかし通読することでビジネスと人権の課題が環境や自然環境保護の課題も含めて広範に広がっていることが理解できる。
1948年の国連総会で「世界人権宣言」として採択された。世界人権宣言は、第1条で「全ての人間は、生まれながらにして自由であり、かつ、尊厳と権利とについて平等である」、第2条も -
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企業も人権を意識した活動をしなければならない時代になりました。
この本には、日本の有名企業が人権をないがしろにしていた事例が多く記述されています。
男女の賃金格差、外国人研修実習生の問題、性的ハラスメントなど多くの解決しなければならない問題がたくさんありますが、少しずつ改善していくしかないと思いました。
企業が人権を尊重した活動をするためのコストと、人権を無視して活動し、何のお咎めもなかった場合のベネフィットを考えると、現状はベネフィットのほうが上回っているのかなと思いました。
法的に義務付け、違反した場合には巨額の罰金を課すなどの措置が必要かなとも思いました。
私たち一人ひとりが人権について -
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めちゃくちゃ面白かった。
うん、確かにということの連続。
人間って不合理なんだなぁと実感。
ひとまずは統計学、確率論に非常に興味がわいた。
2章 誤った印象
「手近な情報による誤謬(ごびゅう)」
ハロー効果、デビル効果
教訓
1.たとえどんなに衝撃的なケースであっても、ただ一つの事例で、物事を判断したり決定したりしないこと
2.ある人物(または物)を評価する際には、その特徴をリストアップして、それぞれについて評価を下した上で、全体の評価を決めること。目立った長所(または短所)に引きずられて、他の特徴まで好意的に(または否定的に)評価しないこと。とくに採用面接や病気の診断など、評価が重大な影響 -
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めちゃくちゃ大事なことが書かれた新書。
雇用する人と雇用される人は勿論、すべての人に読んでもらいたい。
日本社会で私たちが感じる生きづらさは、実は私たち一人一人が当然に保障されるべき人権が守られていないことにある。
過労死、職場のハラスメント、非正規雇用に対する劣悪な待遇、女性やマイノリティなどの社会的弱者への差別や偏見、ヘイトスピーチを煽るような本の出版、ネット上の誹謗中傷を放置しているプラットフォーム事業者──等々、私たちの人権に対する負の影響に企業は深く関わっている。
日本にはこうした様々な人権課題があるが、実はそれがそもそも「人権」の問題だと認識されていない。
人権とは「特別なこと」 -
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いかに日本の性犯罪に対する態度が緩いのか。法律が如何に甘いのかを改めて認識させられた。
実の父親が娘に性行為をして訴えられても無罪になる社会はどう考えても異常だ。
男性は女性が意に反する性行為をされた時に感ずる気持ちが分からないのではないか。どれほど傷つくことなのかを理解しないまま成長する男がほとんどだと思う。
真剣に教えなければ変わらない。行為の結果、相手が苦しむことを想像できるように教育することが大切と思う。
著者の言う通り、性についてアダルトビデオやらエロ雑誌から学んだ男どもの何と多いことか(私もその1人)。
これでは誤った認識しかないままの社会は変わらない。もっと大々的に誤解のない -
Posted by ブクログ
私たちが働いて手に入れるものは、どこの誰が作り、どれだけの犠牲の上に成り立っているのかを人権という視点からうかがい知れる書である。
理想としていること
企業や国が国際人権基準を守り、不平等や搾取をなくすことで「人を大切にする社会」を実現しようと謳う。
本著は国連「ビジネスと人権」指導原則を参照し、「人権尊重」を前提として企業活動や国家の政策を設計すべきだと強調している。そして、「弱い立場の人が置き去りにされない」ことや、「人権侵害がビジネス利益のために正当化されない」ことを強く問題視し国や社会と個人へ問いを投げかけている。
実際の社会・ビジネスにおいては「経済合理性」と「人権尊重」のバランスが -
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企業がレピュテーションリスクを気にし始め、それまでのサプライチェーンリスクに輪をかけて、原料調達先の調査に躍起になっている。但し、ノウハウに関する内容だから、回答不可の場合も多く、不完全を許容せざるを得ないため「基本的にポーズ」である。
更に言うなら、そもそもトップが正義感や哲学を持って実行しているのではなく「事なかれ主義」でやっている事に対し、興醒めする。そんな会社ばかりではないと思いたいが、企業は常に利益を求めるもの。最近になってこうした動きが出てくるのは、哲学がない事の証左でもある。
しかし、一方では、そうした「評判に敏感」で、たとえ建前だとしても企業行動が変わっていく事は資本主義の -
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何というか……、本当にタイトル通りの本だなあ、という感じです。実際の性行為に暴力や脅迫、証言などがあっても有罪どころか起訴にすら至らない性犯罪が、野放図にあるという事実は、ただただ衝撃です。
2019年の3月、自分の娘に数年間にわたり性的虐待を繰り返した父親に、無罪判決が下されたというニュースがありました。詳しい起訴の内容はこの本を読むまで知らなかったのですが、親という立場を利用し、あざができるほどの暴力を娘が小学生の頃から振るい、中学二年からの5~6年間は性行為まで強いるという、鬼畜なものでした。
さらに衝撃的なのが、そうした起訴内容を裁判では事実として認定しながらも、判決は「娘は著しく