めちゃくちゃ面白かった。
うん、確かにということの連続。
人間って不合理なんだなぁと実感。
ひとまずは統計学、確率論に非常に興味がわいた。
2章 誤った印象
「手近な情報による誤謬(ごびゅう)」
ハロー効果、デビル効果
教訓
1.たとえどんなに衝撃的なケースであっても、ただ一つの事例で、物事を判断したり決定したりしないこと
2.ある人物(または物)を評価する際には、その特徴をリストアップして、それぞれについて評価を下した上で、全体の評価を決めること。目立った長所(または短所)に引きずられて、他の特徴まで好意的に(または否定的に)評価しないこと。とくに採用面接や病気の診断など、評価が重大な影響を及ぼす場合にはなおさら慎重を期すべきだ
3.関連性のある事柄が続くときは、最後の事柄が提示されるまで、判断を控えること。また、最後に提示された事柄も最初に提示された事柄と同様に重視すること
4.判断にバイアスがかかるような情報をシャットアウトする。たとえば、論文なり原稿を出版するかどうかを判断する場合は、中身を読んで評価するまで、著者名を見ないようにする
3章 服従
教訓
1.命令に従う前によく考えること
2.命令が正当かどうか自分の胸に問うこと
4章 同調
教訓
1.人前で誓いを立てる前に、よく考えた方がいい。公言すれば、引っ込みがつかなくなる
2.絶対にやり遂げたいことは、できるだけ多くの人に宣言すること
3.「みんながそうするから、自分もそうする」という心理が働いていないか、行動を起こす前に自分の胸によく聞いてみよう。他人に追随するなら、それが本当に自分のためになることかどうかよく考えること
4.尊敬する人物や憧れの人であっても、その人の専門分野以外の助言を求めないこと。専門分野の助言であっても、鵜呑みにしないほうがいい。専門家も間違えることがある
5.周囲につられて、冷静なときには決してしないような愚行に走らないこと
6.周りに人がいようといまいと、困っている人がいたら手を差し伸べること
7.キップリングの詩句を肝に銘じよう。「おまえが群衆と語らいながら、美徳を守られるなら…息子よ、お前は一人前の男だ」
5章 内集団と外集団
教訓
1.何らかの委員会であれ、趣味のクラブであれ、グループに所属する場合、そのグループ内で支配的な考え方に無批判に染まらないこと。自分の頭で考えて、異なる意見も出してみよう
2.委員会を設置するなら、さまざまな考え方をもつ人をメンバーに入れること
3.組織のトップになったら、周囲の媚びへつらいに乗せられないよう気を引き締めてかかること
4.ステレオタイプにらとらわれないこと。紋切り型のイメージを疑ってみよう
5.制服を着る必要があるなら、看護師の制服を着ること
6章 組織の不合理性
投資アドバイザーを頼るのは金をどぶに捨てるようなもの
7章 間違った首尾一貫性
教訓
1. 自分の選択の結果−−とりわけ多大な時間や労力や金銭を要した選択の結果を過大評価しないこと
2.当初はあまり気乗りがしなくても、少しずつ慣らされていくうちに、深みにはまることがあるので要注意
3.どれだけ多くの時間と予算を投じた事業でも、それ以上の投資が無益だとわかれば、すぐに中止して損失の拡大を防ぐこと
4.ある行動や物の価値は、過去とは関係なく、現時点での自分にとっての価値で判断すること
5.不愉快なことをするよう説得されたとき、自分の行動を正当化するために、その不愉快さを過小評価しないこと
6.保険のセールスマンは決して家に入れないこと
8章 効果のない「アメとムチ」
教訓
1.誰かに仕事を楽しいと感じさせ、よい仕事をしてもらうためには、物質的な報酬で釣らないほうがよい
2.あなたが経営者なら、従業員をできるかぎり決定プロセスに参加させ、従業員と対等に接すること
3.子供に何らかの行為をやめさせたいなら、罰をちらつかせて脅すよりも、言葉で説得すること(相手が大人でも同じ)
4.とくに医療と教育の場では、できるかぎり本人の意思を尊重すること
9章 衝動と情動
教訓
1.ストレスや強い感情があるときに、重要な決断をしないこと
2.あなたが教師なら、生徒に選択式の問題を出さないこと。現象の背後にある一般的な法則を考えさせるようにしよう
3.何かの衝動を一度抑えれば、次にその衝動が起きたときにも抑えやすくなる
4.退屈しても、軽はずみに刺激を求めないこと。とくにあなたがパイロットなら
5.ジョギングと低脂肪ヨーグルトが、その苦行に耐えるほどメリットのあるものか、よく考えてみること
10章 証拠の無視
教訓
1.自分の仮説が正しいかどうかを確かめるには反証を試みること
2.相反する二つの仮説を立てる試みは有効である
3.自分の考えと異なる意見に耳を傾け、自分の考えに反する事実に目を向けよう
4.常に間違っている人はいても、常に正しい人はいない
11章 証拠の歪曲
教訓
1.新しい証拠をねじ曲げて解釈しないこと。その証拠が自分の考えを支持するものではなく、自分の考えが誤っていることをしさするものではないか、慎重に検討すること
2.記憶の落とし穴に気をつけよう。あなたは自分の今の考えに合う事柄だけ、記憶の中から拾い上げていないだろうか
3.新しい証拠を前にして、考えを改めることは、弱さではなく、強さの証だと肝に銘じよう
4.自分でつくり上げた物語や説明に縛られていないか、よく考えよう
12章 相関関係の誤り
事象Aと事象Bの相関を確かめるには、以下の四つの場合をすべて検討しなければならない
・事象Aがあり、事象Bもある場合
・事象Aがあり、事象Bがない場合
・事象Aがなく、事象Bがある場合
・事象Aも事象Bもない場合
この四つの場合の頻度を手っ取り早く比較するには、2×2の表をつくればいい
教訓
1.ある事象と別の事象に相関があるかどうかを判断するときには、二つの事象が同時に起きたときのことを記憶しておくだけでは不十分だ。165・166ページに示したように四つの可能性を表にして、それぞれの回数を記録すること
2.事象Aがないときよりも、あるときに、事象Bが起きる確率が高い場合に初めて、事象Aと事象Bを関連づけることができる
3.ネガティヴケースに目を向けること
4.ただの予測や期待で、また例外的なもの同士だからという理由で、物事を関連づけていないか、胸に手を当ててよく考えてみよう
13章 医療における錯誤相関
教訓
1.あなたが医者なら、初歩の確率論を学ぶこと
2.あなたが患者なら、かかりつけの医者が初歩の確率論を知っているかどうかをテストすること
14章 因果関係の誤り
教訓
1.何らかの類似性があるというだけで、二つの事柄を関連づけ、そこに因果関係を見る説は、たとえ権威のある人が言うことでも疑ってかかるべし
2.××は健康によい/悪いといった説は、信頼できる証拠がないかぎり信用しないこと
3.ある出来事の原因を考えるときには、最初に思いついたもので満足せず、それ以外の可能性も考慮すること
4.二つの事柄の因果関係を考えるとき、あなたが原因と思ったものが結果である可能性も検証してみること
5.事象Aが事象Bを引き起こすプロセスが理論的に説明されないかぎり、AとBの因果関係を信用しないこと
6.ほとんどの状況で、結果から原因を推測することは、原因から結果を予想することと同様に合理的である
7.ある人の行為と、その結果の重大さとは切り離して考えること
8.ある人の行為については、同じ状況で他の人たちがどうするかを考えた上で評価を下すこと
9.他人が自分と同じように考えると思わないこと
10.食べたいものを食べよう
15章 証拠の誤った解釈
教訓
1.見掛けの特徴に惑わされないこと。あるものがYではなくXのように見えても、XよりもYがはるかに多いなら、Yである確率が高い
2.要素が増えるほど不確実性は増す。一つの事柄を伝える話よりも、二つ以上の事柄を伝える話の方が信憑性は低い
3.誰かの言っていることの一部が説得力があるからといって、すべてを鵜呑みにしないこと
4.基準率を考慮に入れること
5.サンプル数が多いほど、データの信頼性は高まる
6.サンプルの偏りに注意すること
7.消費者雑誌の商品テストを信用しないこと
16章 一貫性のない決断、勝ち目のない賭け
教訓
1.賭けに乗る前に、必ず期待値を計算すること
2.賭けに乗る前に、自分が何を求めているかを考えること。高い期待値か、確率が低くても大きな見返りがあることか、僅かでも確実に稼ぐことか、ギャンブルの興奮か(これは通常、代償を伴う)
3.家を買うのであれ、ラジオを買うのであれ、五ポンドの値引きなら、五ポンド節約できる
4.何かの数字を予測するときに、最初に提示された数字に引きずられないこと
5.個々の確率は低くても、それらが積み重なることで非常に大きな確率になる場合がある
6.いくつかの事柄が同時に起きる確率は、個々の確率よりもはるかに低い
17章 過信
教訓
1.過去から現在を予測できると主張する人間を信じないこと
2.未来を予測できると主張する投資アドバイザーには(あるいは他の誰でも)注意せよ
3.失望を味わいたくなければ、自分自身の過信を制御するように努力すること。自己の信念に反する証拠や議論に目を向けよう
18章 リスク
教訓
1.エンジニアは現場作業員の人間的限界と、一般大衆のプロジェクトに対する反応を考慮するべし
2.経営者は最終的な責任を自分が負うという点を自覚せよ。現場のスタッフは自分の頭で考えるより、経営者の指示に従って行動する可能性が高い
3.目立たない危険は派手な事故よりも多くの命を奪う場合がある
4.新しい装置や機械を評価するときに重要なのは、新しいかどうかではなく、未知の危険をはらんでいるかどうかだ
19章 誤った推理
教訓
1.良くも悪くも極端な結果が出た場合、次に同様の出来事が起きるとしたら、純粋に統計学的理由から、結果はずっと「普通」に近いものになる公算が大きい。この「平均への回帰」の原理を肝に銘ずべし
2.不十分な判断材料に基づいて予測するときは、予測因子の数値よりも平均に近い数値を選ぶこと
3.二つの判断材料の結果が常に一致するときは、予測の参考にするのは一つだけでいい
4.とくに専門職に就いている人は、統計学と確率論の基礎を学ぶこと。入門編だけなら、マスターするのに二〜三日もかからない
5.「ギャンブラーの錯誤」に引っ掛かると、賭けに勝てない。ただし、必ず負けるというわけでもない
20章 直感の誤り
教訓
1.自分は直感が優れていると主張する人間を疑ってかかること
2.数学的モデルが人間の判断よりも優れていると示されている場合、数学的モデルを使って判断するのをためらってはならない
3.人材募集に応募して面接がなかった場合は、そのことに腹を立てるのでなく、その組織が時代に先んじているのだと考えること
4.ヘッドハンターは、愚かな発言をしないように気をつけること
21章 効用
教訓
1.ある判断を下すのに時間を十分かける価値があると思うなら、効用理論を活用すること
2.重要な判断をする前に、全体目標は何なのかをはっきりさせておこう。目標を最大限に達成することなのか、損失を避けることなのか、それとも自分の地位を少しでも向上させることなのか
3.何でも金銭に換算して価値を決めるのは止めよう(ただし、あなたが会計士の場合は除く)
22章 超常現象
あらゆる物理法則を無視している
「手近な情報による誤謬」の影響は大きい
同調の産物ともいえる
人間は「錯誤相関」を信じたがる傾向も強い
偶然の一致の確率計算が苦手
超常現象の「科学的証拠」は結果を捏造したものが圧倒的多数を占めている
23章 合理的な思考は必要か
人間の不合理性、五つの要因
1.進化に根差した要因
2.脳の構造
3.知的怠慢
4.初歩的な確率論と初歩的な統計学、およびそれがもたらした概念が利用されていない
5.自分の利益を第一に考える利己的バイアス(自己奉仕バイアス)
合理的に考えるために
先入観にとらわれないようにすること
サンクコストは無視すべきことや、事象Aと事象Bの相関性は、それに関連した四つのケースのデータをとらなければ確認できないことなどを知るだけでも、不合理な誤りをかなり減らせる
重要な決断をする時には、その方針のメリットとデメリットを書き出してみることも有効
合理的であることは本当に望ましいことか
専門家が決定を下す場合は、合理性が望ましいことは疑いない
個人の決定では、不合理な思考パターンの影響はそれほど深刻でなはい
私たちの個人的な能力では、重要な決断はきわめて限られている。おおむね次の四つだけだ。
(1)どの地域に住み、どんな家を買うか、(2)どの職業に就き、どんな就労形態を選ぶか、(3)(誰かと暮らすとすれば)誰と一緒に暮らし、いつ共同生活を解消するか、(4)子供をつくるかどうか(つくるにせよつくらないにせよ、意思とかかわりなくそうなってしまう場合が多い)。これらの選択には、不確定要因が多くつきまとうため、合理的に考えて決断しても、満足のいく結果になる確率はほんの少し上がる程度
人は習慣の動物であり、私たちは自分の性格を自分で形づくる
よりより自分になりたいと思うなら、努力が必要で、その必要性を認めて、努力すること。それこそまさに合理的な態度というものではないか