実吉捷郎のレビュー一覧

  • 車輪の下

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    ハンスが希望を持って神学校に入学したのに、その後の挫折は現実社会でありがちなこと。優秀な人間は、いくらだっていて、その中で挫折せずに成長できるのはほんのわずか。挫折を糧にして前へ進んで欲しいのは願望。
    私にはハンスも父親の気持ちもよく分かった気持ちになった。

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    2025年12月02日
  • 車輪の下

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    青春期の心のなかのあれやこれが、あまりにも高い解像度で描かれていた。この本を読んでいるとまるで禁忌を犯しているような、甘美な背徳感を感じた。なんというか「エロ本」を読んでいるのに近い感覚なのかもしれない。

    僕はハンスであり、ハイルナアである。自分とちがったものの見方をする人に惹かれるし、独自の思想と言葉を持っている人に惹かれる。そして、いわれのないすこしきどったようなゆううつの発作になやんでいる。ハンスの、ハイルナアへの甘い耽溺。(これがブロマンスってやつですか?)ふと私があの時期に感じていた友人への「好意」を思い返した。今となれば恥ずかしいことだが、あのときは真剣だった。「ふつうの恋愛なん

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    2025年04月25日
  • 車輪の下

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    あらすじ
    秀才のハンスは周囲の期待に応えようと、ひたすら勉強に打ち込み、難解な試験に合格して神学校に入学するが次第に押しつぶさていく…。

    休暇も勉強に費され、大好きなものまで取り上げられてしまう。
    ハンスは真面目で良い子過ぎるがゆえに、嫌なことも言えず、好きなことをやりたいとも言えず、周りの期待に応えようと頑張ってしまう。
    大人達はハンスのために「良かれ」と思ってやっている。

    ・得意で好きだった勉強が、どのようにして辛くなっていったのか。
    ・大人達のどのような言動がハンスの心を潰していったのか。
    その時々のハンスの心理描写がとても詳細にわかりやすく書かれている。

    私は親なので、自分がハン

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    2024年09月08日
  • 車輪の下

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    自然や風景の描写や心情表現がとても美しくて、魅力的だった。車輪はギリシア神話(?)の、運命を象徴するもののことで、心身ともに健康で美しい思い出に溢れた時代と、知識。おとなからの押し付けでからだも心も壊していく神学校時代のことを車輪の下にしているのかなと思ったが違った。
    何度か読み返したくなる本。

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    2022年04月27日
  • 車輪の下

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    ネタバレ

    教育とは敷かれたレールの上を歩かせるだけのものなのか。一人の貴重な人間の将来が奪われてしまったことに悲しみを覚えた。
    最後の酔っぱらった中での溺死は事故なのか、故意なのか描かれていなかったが私は自ら川に入ったのだと思う。
    救われない少年の話

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    2021年09月25日
  • 車輪の下

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    ネタバレ

    教育とは何なのかを考えさせられる
    良いとされる人生のレールに子供を乗せる親や教師、そして自分の周りの狭い世界の中では成功しそのレールに乗ることを望んでいる子供は自分の運命がわかっていない
    何も考えずにレールを進む子供もいれば、多感な時期を過ごす中でそのレールから外れてしまう子供もいる
    そして死んでしまったハンス。その死因は語られない。
    そのことがむしろ、読み終わった後に、彼の周囲の彼への期待や強制を自分と照らし合わせて内省に向かわせる。


    以下、あるサイトからのコピペ

    +++

    主人公ハンスは、他の子供たちと同様に自然や動物を愛する素朴な少年。

    唯一違うのは、彼は学問に優れた天才であるこ

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    2021年07月05日
  • 車輪の下

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    この若造の甘ったれ感が嫌いな人もいると思うけど、自分は好き。何せ、年を食った今でも甘ったれなので。

    子供の人生が周りの大人の都合で決まってしまうってことはよくあることだと思うんだけど、よくあるってことが実は怖い。アシストしてるように見せかけて、実は目隠しした少年を自分の都合の良いように歩かせてるんだと思うと怖い。

    それにしても情景の描き方がキレイ。どんどん引き込まれていく。目の前にその世界があるかのように。ここでその形容詞か?!って思うこともあるけど、まあ時代が違うし。言葉は生き物。

    結局はみんな自分中心なんだから、自分中心に生きないと損。そう言われてる気がする。そうしないと戦車にひかれ

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    2021年02月01日
  • 車輪の下

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    ネタバレ

    あまりにも言葉が、文章が、美しく、若者の繊細な感情を表すヘルマン・ヘッセ。自伝的とも言われる物語には、時代を越え国境を越え言語を越え、人々に普遍的な青春時代の脆さ・儚さを彷彿とさせる力がある。
    翻訳は1958年の出版なので古めかしい部分もあるが、それも含めて味わい深い作品。

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    2020年05月08日
  • 車輪の下

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    自分の心の動きと向き合い続け、人の心も痛いほどわかる思春期の少年の話。

    あぁ、学校にいた彼はこう思っていたんだなぁとか、リアリティをもって読める。

    こんなに自覚があることは羨ましいと思いつつ、苦しいだろうとも思う。

    ある意味最後はハッピーエンドだったのかもしれない。

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    2014年09月05日
  • 車輪の下

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    ヘルマン・ヘッセの代表作で、世界的名作文学作品。
    あまりにも切ない青春小説だった。とにかく、情景描写が美しく様々な場面が映像として目に浮かぶ。
    天才少年であるがゆえの孤独や挫折が描かれており、現代の社会に置きかえてもそのまま通じる内容。
    少年の繊細な精神や、寄宿学校で描かれる恋愛にも似た友情や、初恋の切ない思い出など、世代を超えた青春の苦悩がみずみずしくも、切ない文書で描かれている傑作でした。

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    2013年12月28日
  • 車輪の下

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    『新潮文庫の100冊』より。

    子供への期待から生じる大人の無理解と利己主義に抑圧されながらも、自己を取り戻そうと必死にもがく青年ハンスの物語。

    ドイツののどかな田舎の情景と、少年期から青年期に移り変わる多感な心情の対比が痛々しいほど美しい。

    本書に登場する大人の無遠慮な期待と過度な干渉は、子供のいる自分にとって身をつまされる思いだった。
    これから成長していく子供を車輪で押し潰すことがないよう気をつけなければ。
    若い時に読んでいたら今とは違う感想を抱けたかもしれないので、もっと早くに出会いたかった作品。

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    2025年12月05日
  • 車輪の下

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    ヘルマン・ヘッセの代表作。街一番の秀才・ハンス=ギーベンラート(14)は、難関試験に2番の成績で合格するほどの実力者だった。周囲の期待に推され、親元を離れて勉強に励むが、 進学先で出会った友との交流、同級生の死などを通して、彼は徐々に少年から大人へと変化していく。特に、親友ハイルナーとの出会いは、彼の運命を大きく変えた。ハイルナーは詩が好きで自由奔放な少年であり、教員たちの間では問題児として有名であった。ハイルナーと交際する中で、ハンスは徐々に今までの勉強に興味を失っていく。ハイルナーの退学を機に、彼と親交の深かったハンスは教員たちから疎まれるようになる。そしてハンスは心身のバランスを崩し、故

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    2025年11月01日
  • 車輪の下

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    読むのにだいぶ時間がかかってしまって、そのせいもあってかハンスに結構な感情移入をしてしまったらしい。喪失感が物凄い。
    情景描写が綺麗で没入し易い
    海外文学なのもあってか知らない単語や地名も多く進みにくかったように感じる。
    あっけない
    18のうちに読めて良かった

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    2025年02月11日
  • 車輪の下

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    普通、ヘッセのこの本は、多感な思春期とかに読むべきもののはずですが、ちゃんと読んでなかったと記憶しているので、最近、買ってみました。
    こういう内容だったのか。。最後のほうが、今から考えると、私なりには、なんとも残念な気がしますが、自伝的作品ということなので、これは、悩み多き青春期を振り返って、著者なりに決別しようとしたのか。現実にはヘッセは生きてこの作品を執筆したので、ひとり流れ去らなかったことを後悔しているのか?

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    2024年03月31日
  • 車輪の下

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     セリフシーンは少ないが、風景描写や感情表現が緻密で、主人公ハンス・ギーベンラートの心情や風景が想像しやすかったです。ただ、近代特有の言葉も使われるため、理解を深めるのであれば調べる必要もありますが、普通に読むだけなら問題になりませんでした。
     ハンスへの車輪の轍をなぞるように仕向けられた教育への批判、ハンスに足りなかったもの、結末でのハンスの思いなど、現代にも通ずるような問題提起や考察の余地もあるため、読んだ後も記憶に残りやすい作品でした。
     ただ、作者の人生を擬えた作品のためか、個人的には物語の起伏が少なく、平坦に進む印象があったため、星4とさせていただきました。読んで損はない作品だと思い

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    2021年10月14日
  • 車輪の下

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    親のエゴを押し付けられた子供が、落ちていく姿を見るのが辛かった、大好きな作品
    自然の描写や主人公の繊細な感情表現が細かく読みやすかった。

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    2021年06月16日
  • 車輪の下

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     読書力読書、3冊目。

     学生のころ、どの先生だったか忘れましたが、この本の内容を「受験の話」だとおっしゃっていました。しかしとくに興味を惹かれることなく数十年経過、人生半ばまできてようやく読みました。

     シュワルツワルト地方の小さな町で唯一の秀才、ハンス・ギイベンラアトは、ほかの〈天分にめぐまれた少年たち〉と同様、州試験を通って神学校へ行き国のために働くというエリートコースを歩むべく、父親や町の人びとの期待を背負って州試験を受け、無事合格、マウルブロン神学校に入学します。友人もでき、勉学に励みますが、少年から青年へと成長するとともに、心身の調子を崩してゆきます。

     主人公ハンスの苦悩は

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    2021年05月13日
  • 車輪の下

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    ネタバレ

    前半は主人公に感情移入したけれど、故郷に戻ったあとからはあまり感情移入はできなかった。精神の成長を描いているのかと思って読んでいたけれど違うようだ。

    主人公は結局お受験エリートでしかなくて、結局人から与えられたものに時たま魅力は感じつつも、単に与えられたものとして物事に取り組む以外何もできなかったように見える。
    自分で何かを獲ることが「強気」になれる唯一の方法だと思うが、それが最後までできなかったのを見ると、なにがその段階への成長を遮ったのかなぁと疑問を感じてしまう。

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    2021年05月02日
  • 車輪の下

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    【始】仲買人、兼代理店主、ヨーゼフ・ギーベンラート氏は、同じ町の人にくらべて、目だつようなすぐれた点も変わったところも、べつに持っていなかった。

    【終】ギーベンラート氏は、このひとときの静寂と、異様に苦しい、かずかずの物思いとから離れて、ためらいながらとほうにくれたように、暮し慣れた生活の谷間へと向かって歩いた。

    神学校から帰ってきてからが好き。
    酩酊状態の描写は素晴らしい。

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    2020年11月03日
  • 車輪の下

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    ネタバレ

    優秀さ故に大人達から勝手に期待されて勝手に失望されて
    勉学と引き換えにせっかく築いたはずの友情は脆くも消え去り鬱状態になったあげく
    初恋の純情は弄ばれ
    仕事は二日目にして早くも苦痛で
    仕事仲間が一週間の楽しみにしているらしい酒盛りもそれほど楽しく感じられない
    そりゃ辛いよね…まして若くて繊細な子だもの…

    名作はどの時代にも通じることが描かれているから名作なのだと、改めて思った。

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    2017年07月05日