日和聡子のレビュー一覧

  • 校舎の静脈

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    面白かったです。
    小川洋子さん選の短編集で気になった詩人の小説です。
    こちらの方が、以前読んだお話よりも柔らかい印象ですが、でもどこか不安定で不穏なところが好きでした。
    「湖畔情景」の人ではないものの世界も穏やかに受け入れられました。労りの一文が素敵だったので手帖に書き込みました。
    「校舎の静脈」は、とある学校の生徒たちが主人公となる連作短編みたいなお話だったのですが、ずっとちりちりした不安がありました。給食運搬用のリフトに乗り込んだ英祥太がどうなったのかとか、生徒が群がってた窓から見下ろしたら何があったのか(直前に何かが激しくぶつかる音がしていた)…はっきり書かれていないのが想像を掻き立てま

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    2019年09月23日
  • 校舎の静脈

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    『その合間に、犬をちらちら見たり、そのまわりにいる人たちを視線の端に入れつつも、絶えず誰からも目を逸らすようにして歩いた。先ほど少しだけ降った雨にかすかに湿る地面をゆく足の運びに合わせて、じゃ、じゃ、じゃ、じゃ……、と音が鳴り、その音を立てる靴裏の感触が、ふくらはぎに伝わって、背中にはりつくようにして後ろからついてきた』ー『兎』

    言葉の響かせる音は時に字義通りの意味とは別に何かに成りかけのものを連想させる。うっかりしていると頭の中はそんな中途半端な出来損ないの未成熟の言葉で埋め尽くされ息苦しくなる。詩人と呼ばれる人の頭の中はさぞやそんな風に次から次に浮かび上がる意味を掴みかけたもので埋め尽く

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    2016年08月01日
  • 御命授天纏佐左目谷行

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    日和さん2冊目、火の旅とは打って変わりのっけからPOPな擬古文炸裂!読みにくい筈がどんどんページが進み面白くて仕方なし…全くもってえらい人が出て来たものである。
    三つのお話の繋がりは冥府か?書くことを赦された作家のみが奏でられるリズムがなんとも心地よい。
    夜見闇君のお使いを微笑ましくも全うする猫君は我が道を進んだ、影に誘われた少女は闇に堕ちた、そして魍魎の如きに摘まれた草双紙売りは全弾装填ロシアンルーレット状態の八方塞がりに顔色を無くす。
    曖昧な日本語を縦横無尽に操りこんなシュールな紡ぐ作家を紹介してくれた小川洋子さんに感謝です

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    2014年08月22日
  • 御命授天纏佐左目谷行

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    表紙に惹かれて読む。あわいの話ではなく全部ちょっと向こう側、彼岸の話のような印象。どこかふわふわと捉えどころがないところが良い

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    2023年10月10日
  • 御命授天纏佐左目谷行

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    独特の文体で、その紡がれる言葉の流れで、まず別世界に連れていかれ、ところどころ鮮明に描かれる積層するイメージをくぐるごとに、いつのまにやらまったくの異世界の中を登場人物たちと一緒に歩いているような錯覚の中をさまよっている。御命授天纏佐左目谷行、行方、かげろう草紙の3編。たまには異世界をさまよいたい方に。

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    2022年06月04日
  • 御命授天纏佐左目谷行

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    あちら側に行ったきり戻ってこられない。心細いのに、やみつきになる。一寸先は闇。でも、闇に飲まれた後にも、物語はつづいてゆく。

    ヒグチユウコさんの挿絵もとてもよい。隅々まで堪能した。ちょっと「食べて」しまったかもしれない。

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    2021年12月22日
  • 御命授天纏佐左目谷行

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    3つの短編からなる1冊。古文調が多用され、どれも奇想天外な物語。

    現実味がない展開にわくわくする。
    異世界にトリップした気分になれる。

    装画はヒグチユウコによるものである。装画のシュールレアリスムと内容の世界観が合致していて、この本にしてこの装画といった感じ。

    これまで読書に実利的な意義を求めていたが、そうでない本にはそれなりの魅力があると、この本を読んで思った。

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    2020年06月20日
  • 校舎の静脈

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    詩人というとやたらレトリックを駆使したり奇をてらった言葉の術で煙に巻いたりが昨今の流行り?なのであるが日和さんの小説はそれが少なく直球勝負が多いように思う。
    だからこそその飾りのない剥き出しの言葉の破壊力は凄まじく例えばそれがスーパーのチラシや給食の献立表の羅列からでも易々とドラマを産み出すことが出来るのだ。
    そしてその感性が学校という日常を切り取るとき校舎に生命を与え子供たちの他愛ないことばや行動が赤い血となって流れ出す。
    当然動の対には静があり青く流れる血がこの作品の主題となるのだが…踏み込んで心の臓は何かを探すのも一興かも知れない

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    2016年05月04日
  • 絵草紙 波風露草玉手箱

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    ネタバレ

    浦へ漁に出たまま忽然と消えた兄を想う妹が磯部で見つけた甕を覗くとーー「うらしま」
    即氏が、宮の周りをそぞろ歩いて出逢うもの、夜の宮に現れるものーー「蓬莱記」

    「高野聖」「夜叉ヶ池」を思い出しつつ読む。
    海、甕、雨、露、夜、ひんやりとした空気の物語。
    暗闇で目を凝らして誰に遭ったのか探るような気持ちになる。
    ヒグチユウコさんの人物画をこんなに見るのは初めてで、とても新鮮。
    闇からこちらをジッとみているような彼女たちの静かさがじんわりと怖い。
    感想を言葉にするのがとても難しい。

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    2023年06月15日
  • 御命授天纏佐左目谷行

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    ネタバレ

    ヒグチユウコさんの絵が先か物語が先か。
    あまりに絵とお話が合いすぎて、不気味な不思議世界にどっぷりとつかる。
    とくに表題の佐左目谷行の彼が畳に身を任せ、擦りつける様子がたまらない。。。
    不穏なのにユーモラスで、まくしたてる台詞は滑稽なのに闇を感じる、そんな3篇。

    宿なしで居所も定まらない「私」を御屋敷に招き入れてくれた夜見闇君。
    お座敷で恋文などをしたためたりとごろごろと過ごしていたら、繭君の日終(ひねもす)君を友人の佐左目谷君のところまでお連れしてほしいと頼まれて。

    影を追って海辺の小屋へたどり着いた彼女。
    小屋には娘のこと綴った黄色い表紙の本があり。

    境内の夜店で自分の草紙を売る男が

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    2022年09月23日
  • 校舎の静脈

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    少年少女たちを主人公にした、裏日本の鬱陶しい天候のようなパッとしない4つの短編から構成されている。面白くもなく、徒然なるままに幻想世界を書いているような作品。

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    2015年11月12日
  • 御命授天纏佐左目谷行

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    2.5。表紙勝ち。詩人だけあって言葉は綺麗で味あるし、雰囲気も悪くないが、三話読むとそれにも飽きてしまう。

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    2015年04月08日
  • 御命授天纏佐左目谷行

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    文体が面白いので読んじゃった。お話は、えっ?と思う位あっけなく終わり。それこそ、竹林で道案内を見失ない、クラクラする気分が味わえる。

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    2014年09月14日
  • 御命授天纏佐左目谷行

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    結論があいまいで、う~ん・・・と、なんだか鬱憤がたまるが、独特の世界が面白かった。あと、1文が長いのにすらすら読めるのが不思議

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    2014年06月04日
  • 御命授天纏佐左目谷行

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    んー…わからん。。。
    語り口調は好きなんだけど、結局なんだったのか。
    摩訶不思議というか、不思議の正体すら判明しないような、もやっとした霧に包まれて終わってしまった。
    タイトルは面白い雰囲気なんだけどな。

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    2014年06月03日