岩城宏之のレビュー一覧
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恥ずかしながら、音楽に疎く、また世代の違いもあって、岩城宏之さんも山本直純さんもよく知らなかった。お二人ともすでに亡くなられている。お顔をネットでみて、ああこの方か、とうっすら思い出した。岩城さんはクシャッとした笑顔が印象的だった。山本さんに至っては、その名は知らなくても、彼の作った「8時だヨ!全員集合」のテーマ、寅さんの「男はつらいよ」、一年生になったら、などなどの名曲を知らない者はいない。
これは、後に日本を代表する指揮者となる著者の岩城さんと、ナオズミこと山本直純さんの青春記である。ハチャメチャ、ドタバタと表現していいだろう。昭和20年代の東京藝大に、こんな愉快な(迷惑な)学生が二人い -
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N響の指揮者を務めていた岩城さんが、名前のアルファベット順に、自身の関りある音楽家・音楽関係者を紹介したエッセイ。紹介されている音楽家たちの個性が生き生きと伝わってきた。美しく完璧な演奏をする人ほど実は普通の人よりもずっとそれぞれに人間臭いものを持っている。音楽に深く関わり職業にまでしてしまう人達が持つ、独特の自由さや個性は魅力的であるなと感じた。そして同時に語り手である岩城さんもとても個性的で面白い人だとも伝わってきた。無料でN響のコンサートに忍び込んだり、徹夜で大曲の指揮をマスターしようとして実際達成してしまったり、巨匠ルービンシュタインを引き込む魅力があったり。
今ラヴェルのCDを聞い -
Posted by ブクログ
オーケストラを指揮したい、その思いで一杯の著者、岩城宏之と、藝大同窓の山本直純との、ハチャメチャな、でも音楽には真摯な大学時代を描いた青春記。
高度成長前のまだ混沌としていた時期とは言え、著者たちのぶっ飛んだ言動には驚いてしまう。藝大には天才と奇人、変人が棲息していると現代でも言われているくらいだから、この時代であれば尚更だったのだろう。
音楽の素養がないので、本編で触れられている指揮法やその凄さについては良く分からなかったが、著者たちの熱い想いは良く伝わった。
タイトルでもある、本編ラストを飾るショスタコーヴィッチの『森の歌』の上演場面、作品の的確な解説とともに、指揮をするナオズ