菅直人のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
[総理の言]未曾有の被害を引き起こした東日本大震災とそれに伴う福島原発問題の対応に当たった元首相が、当時の動きを回想した一冊です。また、脱原発を始めとする原子力、エネルギー政策に対する見解についても筆が及んでいます。著者は、第94代内閣総理大臣の菅直人。
福島原発問題の対応に当たって、当時の総理の問題意識が那辺にあったのかがわかり興味深い。いわゆる「理系総理」ならではの着眼点があったことを本書により知るだけでも、事故対応の際に管氏が首相の座にあったというのは、それだけで何かしらを意味するものであると再認識させられます。原子力政策に関する管氏の主張は既に多く出回っていますが、本書を読むとどのようにしてその主張に至ったかを知ることができ、その点も興味深かったです。
とある福島原発事故関連の書籍の中で、管首相は対応を平時モードから有事モードにしたという指摘があったのですが、管氏がまさに震災及び事故の発生時点から有事モードに入っていたことがわかります。また、その有事モードの中で、下記のように首相権限について無制限とも言える考え方を有していたというのは、いわゆる管氏が「市民政治家」と呼ばれていたことを思うと正直驚かされました。
〜異例ではあるが、国の危機とも言うべき緊急事態が発生した時には、総理大臣はあらゆる権限を行使し、危機回避に全力を挙げるべき責任を負っていると私は考える。〜
それにしても管氏が繰り返し述べることになる「外国から侵略される」という考え方は、どのようにして想起されるに至ったのだろう☆5つ -
Posted by ブクログ
ネタバレたまには政治家が書いたものも。っていうか今まであんまり読んだことないけど。エネルギー政策や、原発の今後に非常に興味があるので読みました。
私自身は旧民主党や立憲民主党を支持したことはないけど、原発推進の政策に反対という点では菅直人氏に賛同する。しかし菅直人元首相が、反原発の活動にこんなに熱心に取り組んでいることは、この本を読むまで知らなかった。本書では、講演や著作、ブログ、インタビューに答えるなどして熱心に発信していると書いていたが、マスメディアではあまり取り上げられていないように思う。それも政治圧力なのかなぁ。だとしたら怖いなー。
とにかく、この後に及んで原発を推進すること(廃炉にする、原発ゼロを目指すと決断しないこと)のおかしさ、矛盾を訴える内容。理論上は、原発ゼロは実現しうるということを、多角的に検証している。チェルノブイリや廃炉作業の現場を訪れ、原発が事故を起こした際にどれほどのリスクがあるのかを具体的に示し、絶対の安全はあり得ないし、もしそれを目指して原発を運用し続けるならとんでもないコストがかかるということも訴えている。
私自身は、25年ほど前に九州の玄海原子力発電所を見学したことがある。原発で働く社員の家族を安心させるためのツアーで、安全性をものすごく強調されたのだが、安全性を強調されればされるほど、「おかしい」と思った。どんなに安全性を強調しても、それは「今現在こんなに厳重に管理しているから」という前提であり、それが100年後も200年後も絶対安全とは言い切れないことくらい、当時学生の私でもわかった。しかも放射性廃棄物が完全に無害化するまでには何万年もかかる。
大人ってばかなのかな、と当時から思っていた。
そして実際に、震災で事故が起こった後でも、責任ある大人が(特に、原発を推進してきた人達が)間違いを改めることをせずに今にいたる。
本当に、ばかなのかな。
我が家は15年前に自宅を新築した際、太陽光発電とエネファームという発電システムを導入し、電力を42円(だったっけ?)で売ることで電気料金を実質0円にすることに成功していた。それでも料金が差し引きでゼロになっただけの話なので、昨年、電力の買取価格が4分の1程度になってしまうことを受けて、蓄電池も導入した。蓄電池はまだあまり普及しておらず、価格が高いので迷ったが、原子力で発電された電力を買わないための方法として選択した。
我が家はごく一般的な勤め人の家庭だ。特に年収が高いわけでもない。そういう家でも、工夫すれば自家発電だけで電力をまかなえる。原発が必要ないことは実感としてわかる。
ちょっと本のレビューではなく自分の考えになってしまったのでレビューに戻ろう。
菅直人氏が、どのように原発ゼロに向けて取り組んできたか、というアピールや、原子力ムラや族議員の批判の側面もあるが、一時期は政権を担って原子力を推進する立場だったことを「間違いだった」と真摯に反省し、「早く間違いを正さなければ」という考えで行動していることが伝わってくる。本書の最後の方で訴えている通り、この意志を継ぐ次の世代の(しがらみのない)議員や経産省・農林水産省などの官僚がまとまって、原発ゼロに向かって動いてもらいたいものだ、と思った。
ただ、菅氏が「この方法がある!」と具体例としてあげている”ソーラーシェアリング”に興味を持って私なりに調べてみたのだが、そんなに簡単ではなさそうだ。原発ゼロへの道は遠い・・・。 -
Posted by ブクログ
2020/12/28
コロナ戦争の2020年
振り返ると、安倍・菅自民党政権は管政権以下だった
危機に直面して初めて真価がわかる
逃げずに、国民を守る管直人首相が遙かに偉大
最長政権の安倍首相は現地に全く顔を見せず
自分の意見も表さず
途中で逃げた
2020/12/17菅直人
福島原発事故 総理大臣として
最悪のシナリオ メルトダウン
半径250キロの避難 5千万人日本沈没
覚悟
時間が解決はない
撤退の選択肢はあり得ない
もはや戦争
原発の本当のコストは?
ダメ総理の烙印を押されてしまった
理系総理として一定の基礎知識はあるが、
組織能力が不十分だった -
Posted by ブクログ
管元首相の回顧録。
3.11からの動きを当事者目線で語る。
当時の様子がとても良くわかる書き方だった。
もちろん、かなりのフィルターとバイアスを通した意見と味方だろうが、管さんとしても最大限の努力は払っていたことがわかった。
特に、東電撤退、注水、ベント開放あたりはよく決断したと思う。
SPEEDIEの使用、爆発的事象という言い方、避難区域の順次拡大等、かなりの批判もあるがその裏でも政府の考えも存在していたことも理解できた。
同時にやはり、初動対応の遅れは情報系統を早くに確立できなかったこと、信頼出来るブレーンを集結させれなかったことに尽きるのかな、と思った。 -
Posted by ブクログ
東日本大震災発生当時、総理大臣だった菅直人さんの著作。民主党政権、取り分け菅さんは大災害の最中に感情的になり現場を混乱させたというようなイメージがあった。映画Fukushima50でも酷い描かれようだったし、菅さん視点で見た震災に興味があり本書を手に取った。
原子力事故が起きることはもともと想定されていない(政府が事故を想定しているという話になれば原発建設に障害となるため)。未曾有の事態を収束するための組織も整備されていない、政府が一民間企業に指示できることも法的に限られている。また現場の状況が目まぐるしく変化するが、その正しい情報がなかなか総理に入ってこないという中で、出来る限りの努力があったという誠実さが伝わった。
東電上層部の説明者が技術的な内容を殆ど理解しておらず苛立ったという記述があるが、それは分かる…と思った。
菅さんは、チェルノブイリ規模の放射能汚染にならずに済んだのは「運」だと振り返る。そうなのかもしれない。
これが別の総理だったら…自民党政権だったら…もっと上手くやれたのか?結果は誰でもさほど変わらないのでは無いかと感じた。
菅さんは震災以降、これまでの考えを改め「脱原発」へと方針変換したそう。事故当時の日本を背負っていた当事者だからこそ出来ることや強い思いがあるのだと思う。菅さんのイメージが少し変わった。
ひとつの物事を色々な視点から捉えることはこれからも続けていきたい、読後改めてそんな風に感じた。
-
Posted by ブクログ
ネタバレ安倍前首相は民主党政権は悪夢だったと言い続けたが、実際はどうだったのか、菅直人氏が、民主党政権時代の施策を検証するとともに、その後の安部、スガ内閣の対応についても触れたした本。
個人的には、民主党政権がよかったか悪かったかというよりも、最近の自民党の対応を振り返る意味でも、読む甲斐があると思う。
本書では、民主党政権で実現できたこと、できなかったこと、その背景や理由などが整理されている。
できなかったことについていえば、政権を取っても、衆参の勢力が違うねじれ国会となってしまったことが足枷となった部分もあるだろうが、なんといっても、第一の不運は東日本大震災とその後の原発事故など、民主党政権には未曾有の緊急事態への対応が求められたことではないか。
それでも、私などから見れば、誰も予測していなかった手探りな中で政府と東電で統合対策本部を作り、その時にできるベストを尽くしていたように思える。アベ・スガ政権だったら、もっと悲惨なことになっていたのではないか。
一方、民主党政権で掲げていたこととして、("官僚主導"から)"政治主導の実現"があった。これは、政策決定過程において、官僚ではなく選挙で選ばれた政治家が主体となるというもので、各省に従前の大臣、副大臣に加え、政務官という役職が置かれることになったのもその一つだが、正直、省内で説明しなければいけない人が増えるなど、職員の仕事の増にも繋がっている。
そして、民主党政権自体も、政治主導に失敗したと言われているが、国民からすれば、今の政治家に政治主導で重要施策を決定されるなんて怖すぎる。
たとえば、検察庁法改正案や大学入試における英語のテスト改革など、さんざん振り回して、立場が悪くなると投げ出すといったことを繰り返しているし、コロナ対応だって、国民は振り回されるどころか、今や罹患しても入院できずに自宅待機させられ、命の危機にさらされている人もいる。
政治主導なんてことは、政治家がもっと信頼できる存在になってから言ってほしい。 -
Posted by ブクログ
「政治家の行動についての評価は最終的には歴史に委ねるしかない」
という菅直人。
地震、津波、そして原発のメルトダウンの時の総理大臣。
その行動を、詳細に書いている。
多分、自民党の総理では、書けないだろうなと思う。
そういう意味では立派だが、「総理大臣」としてどうあるべきか?
という視点で見ていると、ふーむ。表層的すぎるような気がする。
どこが、一番大切なところか?
という戦略的な思考が、全くない。
市民運動家出身であるがゆえに「現場主義」をいうが、
どこが、クリチカルポイントなのかが見えていないような気がする。
「メルトダウン」している現実を、いいごまかしている。
安全神話。「心配しないで」という姿勢を崩していない。
まぁ。どうしたらいいのか、全くわからないのだろうね。
情報が来ないので、セカンドオピニオンとして、
出身校の原子力研究者を集めるなんて、本筋が違う。
確かに、「戦争状態」であるが、深い決断ができない。
明らかに、戦争に負けているのだろう。
何が問題だったのか、きちんと総括する必要があるが、
総括しきれていない。整理能力がなく、叙述がダラダラしている。
それに、言い訳がましい。
そして、脱原発に舵をとるのが、またしても表層的。
困ったもんだ。
平成の日本の劣化を考える上で、いい題材である。 -
Posted by ブクログ
批判もあるけれど、復興はともかくとして、事故対応は、他の総理大臣だったらもっとまずかったのでは、と思うときもあった。しかしそれも、みな何らかの「情報」によるもので、たとえば斑目元原子力安全委員長の「証言」という「情報」にあたれば、菅氏は完全に悪者である。一方、ヘリからの放水を無駄だ、無知だ、という声もあったけど、あれを持って決意が高まった、という言い方もできる。というわけで、一面的にだけものをみてはいけない、という気持ちで読む。
あちこちに配慮しながら、という面も見え隠れするけれど、それはよしとして。最後に、野田政権が原発ゼロ政策を決定したことに触れ、1年以内にあるであろう衆院選挙は大事だ、と述べていた。結果として菅氏の脱原発はまったくの白紙になったのだけど、その前に、同じ民主党政権が引っ込めたこともわすれてはならない。
あらためて、民主党という党の実態のなさを証明してしまった一冊なのかも。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ細野さんの本と比べると、感情が伝わってこないというか原発事故の表面だけをなぞったような薄い内容のように感じました。
この本を読んで、その場その場での菅元総理の対応は間違ってなかったように見えました。しかし、ことさらその正しさを強調するわけでも、苦悩を語るわけでもないためこの本を読んでも菅さんという人がどういう人なのか結局ピンときませんでした。淡々としすぎていて、息づかいが感じられない感じ。自分で文章を書かれてるのでしょうか? 感想文でもレポートでもないような……半端な印象。もっと、あのとき何をどう感じて判断したのか、菅さんの心の内を知りたかったです。
記者会見を見てもわかることですが、あまり言葉が巧みでない、言葉が足りない方のようなので文章で気持ちを伝えるのもあまり得意ではなかったのかもしれません。