神山裕右のレビュー一覧
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『もう同じ過ちは繰り返さない』
ケイブダイバー・東馬 亮(とうま りょう)は、強い決意を胸に秘め、行動を開始した。
洞窟内の救助をテーマにした迫真のミステリー。
5年前、自らのミスで、恩師とも言える大事な人物・水無月 健一郎を死に至らしめた東馬は、深い悔恨の情を抱き生きてきた。
そして、新たに発見された洞窟調査で、恩師の娘・弥生が遭難したと聞き、彼は単身救助に向かう...
しかし、大きな闇に包まれた洞窟の中には、10年前の事件の真相と、新たな犯罪の予感が隠されていた。
作品の半分以上は、暗い洞窟の中...
ただでさえ、暗闇で恐怖感が高まる中、落石や鉄砲水など自然の驚異が、これでもかと襲 -
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全体的にはスピード感重視の荒削りな作品、という印象で、読後感が重くないし適度にワクワクできるので簡単な読書にオススメです。
ケイブダイバーを題材としたミステリーで、情景描写が巧い。鍾乳洞に入ったことのない人でも、文章から風景(真っ暗のはずなのだが)を想像することができるのではないだろうか。
視点は三人称多視点で、その切り替えがスムーズで違和感なく読み進められる。誰の視点か明かされないキーとなる場面がところどころ出てくるが、それによって緊迫感が強まり早く続きを読みたくなる。
水無月弥生、東馬、霧崎、梶本、柳原、、など、キャラクターの名前に何か意味が込められていそうなので、もう一回読んでよく考え -
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南極の昭和基地が舞台の、クローズド・サークル・ミステリー。
まず最初に、知人に何人か南極観測隊員として南極に行っていた人がいるので、人も資源も予備はあっても余剰のない南極で、これほど人が死んで物が破壊されるのはないなーと思いました。
欲に駆られようが証拠隠ぺいを図ろうが、自分の命を喪う可能性を自ら高めていく行為は、普通あり得ないよなー。
でも、それを別として見ると、面白かったです。
限られた人間関係の中で、誰が敵で誰が味方なのかわからない。
というか、主人公自身が、自分の立ち位置をわかっていない。
何があっても怪しいし、なにを言われても怪しい。
動けば動くほど何者かにからめとられていくよ -
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面白かった!
ケービングというジャンルを全く知らなったけど、細かい描写があったので洞窟の中の様子がよくわかったし、スピード感もあった。
ミステリーとしては、「ああ、やっぱりね」っていう展開であることは否めないけれど、各登場人物の心の動きとか、理由とか、背景とか、ちゃんと収まるところにおさまって納得感はあった。「サスツルギの亡霊」を読んでからこの本を読んだけど、どちらの主人公も「その道を進むことを心に決めている」っていう点では共通しているところがあるね。
自分自身への信頼、仲間との約束、託された命。
そういうものの上に、私達は生かされているんだな。 -
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本屋大賞の発掘部門で注目されたということで購入。
南極を舞台にしたサスペンス。途中までは、兄の死の真相を軸に様々な事件が起きて、楽しませてくれますが、段々と真相に関わる人物が多くなってきて、複雑になりすぎている気がきました。
時間の経過が小説の中では長く経っているのに、読むとサラッとしていてあまり実感がわかないように感じました。
犯人の動機もそこまでする?と思うところがありますが、当時の南極のリアルな描写が描かれていて面白かったですし、南極ならではの犯罪が魅力的でした。
ミステリー小説としては、意外な展開になるということはなく、ちょっと物足りない印象でした。 -
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『人間ってのは厄介な生き物でさ。長いこと生きていると、自分の存在理由を知りたくなるときがあるんだ。
どうして自分はここにいるのか、何のために生まれてきたのか。
世間では、そんなことを考えるのは思春期のガキだけだと思われているけど、実はそうじゃないと思う。どれだけ歳をとっても、その疑問を抱えていると思うんだ。消えたわけじゃない。日頃は胸の奥底に隠しているだけでね。
それで、ふとその疑問が顔を覗かせると無性に焦ってしまう。俺はこんなところで何をやっているんだろう、って。だから何か形に残るようなことをしたくなる。』
ミステリと言うより、冒険活劇だな。映画『サンクタム』を彷彿させる躍動感あるスリリン -
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ミステリーというより、パニック&アドベンチャー!
第50回江戸川乱歩賞受賞作品
洞窟の中からの大脱出劇で、ハリウッド系の映画になりそうな物語り
ストーリーとしては、洞窟調査中、落盤により閉じ込められた調査隊を主人公が救助に向かう。洞窟が水没するまでに助けることが出来るのか?また、調査隊の中に拳銃を所持している人の正体は?5年前の事件の真相は?
などなどとハラハラドキドキする展開で楽しめます。
ミステリーとして楽しむより、パニック&アドベンチャーで楽しむべき小説です。
前半、登場人物がごちゃごちゃっとしてわかりにくいところもあったり、ミステリー?っていうところもあったり、ちょっと都合よくない