小田亮のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
レヴィ=ストロースは、「悲しき熱帯」や「野生の思考」、インタビュー集などを読んだ事がある。私は、これらの本からにじみ出てくる人柄と知性のありようみたいなものが、とても好きなんだけど、結局のところ、何をいっているのかはよく分からない。というか、「分かる」ということに何がインプリケートされているかというと、哲学的な意味とか現代社会へのインプリケーションとかなんだけど、彼の本は、当然、人類学の本なので、神話だとか、親族だとかの構造がどうなっているという話がメインで、そこから性急にそういうことを直ちに読み取れないのは当然なんだけどね。
さて、「なぜ今、レヴィ=ストロースなのか」というと、個人的に、 -
Posted by ブクログ
ネタバレ人間はおせっかいなサル。頼まれもしないのに相手のために尽くす。
この人間特有の利他的な行動について実験結果もまじえ面白くまとめてあります。
ギブ&テイクの気持ちから行う互恵的利他行為は、自分にとって徳になるからという視点から見てもわかりやすいが、人は直接自分にとって利益につながらないような利他行為も行います。これは逆行的利他行為といいます。
逆行的利他行為は、感謝の気持が根底にあり親切の連鎖を惹き起します。
利他的であるかないかは、親しみやすそう、親切そう、外交的で笑顔があるなどの点で人は見た目で判断できると実験結果でわかるそうです。
また自己の信念を明確に持った者にとっては利他的な行為自体が -
Posted by ブクログ
レヴィ=ストロースの思想についての入門解説書。レヴィ=ストロースのキーとなる概念を幾つか紹介し、それに対する批判を紹介し、さらに筆者によって反批判が繰り広げられる。
レヴィ=ストロースの思想に絞って述べられており、筆者の解釈で書くというスタンスが明確になっていて、それに沿って明瞭な構成をとっているので、非常にわかりやすい。
私個人の考えでは、レヴィ=ストロースは近代の通奏低音であるドイツ観念論を初めてまともに乗り越えた思想家である。彼はまだ死後間もなく、これから研究も進んでいくものと思われるが、その思想史的意義はこれからますます認められていくだろう。
その入門に最適な一書としてこの本をお勧めし -
Posted by ブクログ
構造主義の祖であり、一昨年100歳という長寿の末亡くなった文化人類学者レヴィ=ストロースの入門書。筆者はレヴィ=ストロースへの共感をもって書いているため、そちら側からの一方的な主張のように感じたが、読後感としてはその方向性はよかったように思う。
これを読んで、レヴィ=ストロースとは確かに構造主義の原点であり、本質的なものを取り出している、だから現在でも全くその価値は色褪せていない、そのように思えた。
入門書であるので『親族の基本構造』や『野生の思考』『神話論理』などレヴィ=ストロースの主著を取り上げて解説をしているが、本書のほんとうの主題となるのは「真正な社会」というテーマだ。
「真正な社会 -
Posted by ブクログ
[ 内容 ]
若きレヴィ=ストロースに哲学の道を放棄させ、ブラジルの奥地へと駆り立てたものは何だったのか?
彼の構造主義を中心とする思考は、現代思想にも深い影響を与え、西洋の自文化中心主義への反省と主体の解体をうながす大きな役割を果たした。
本書は、レヴィ=ストロースの代表作『親族の基本構造』『野生の思考』『神話論理』をとりあげ、彼が未開社会の親族構造や神話研究から汲みあげた豊かな思考の可能性の核心を読み解く。
しばしば誤解されがちな「構造主義」をホントに理解し、ポストコロニアル論にも活かすための新しいレヴィ=ストロース入門。
[ 目次 ]
第1章 人類学者になるということ―哲学の放棄
第2 -
Posted by ブクログ
メモ)
(西洋の共同体観 固い統一性をもち、固定的で閉じられた社会←→遊動する集団=ノマド)23
「閉じられた共同体」からの開放という物語は、 1.≪近代社会が自らを開かれた進歩した社会とみなすことを可能にする≫ とともに、 2.≪共同体に縛られている非西洋社会や西洋内部の周縁を文明化するという観念≫をつくり、≪植民地支配を正当化する働きをしてきた≫25
「閉じられた共同体」(閉鎖的/均質/抑圧的)の観念は、近代以前にあった共同体間の交通や、雑種性を見えないものにする 25
社会の真正さの水準 26
1.非真正な社会 間接的コミュニケーション(書物、新聞、テレビ)によって結ばれる大規模な共同 -
Posted by ブクログ
自然淘汰という観点で、人の利他性を分析した本。こういう形で、心理学的な行動を捉えることが出来るとは目からウロコだった。
[private]以下注目点
・自然淘汰理論の反証は、自分の適応度を下げてしまうような行動。たとえば、自分の子供を食べてしまう行動。病的な場合をのぞく。
・心も進化の産物と考えられる。
・進化と進歩は違う。
・進化心理学 心の仕組みについて一貫した説明を与えてくれる。
・利他主義に報酬を与えるとコストがかかり過ぎるので、適応度が上がらない。
・直接互恵性が進化し、その後、親切の連鎖が進化した。
・作り笑いは、左側の口角が上がらない。意識的な笑いは、左半球で作りだされる。
・