砂原庸介のレビュー一覧

  • 領域を超えない民主主義 地方政治における競争と民意

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    地域政府内の競争(首長と議会で利害が一致しにくい政治・選挙制度)や地域間競争(大阪府vs大阪市に象徴される)が各地域の長期的・超党的な課題解決を困難なものにしている、という指摘。
    切り札的に論じられる合併や住民投票も、結局はそのときどきの政治ゲームの道具にとどまり本質的な解決策足り得ない現状が示される。地方政治において民主主義は「領域を超えない」ものであり続けてきたのである。

    それらを打破する寸前まで近づいたのが、大阪維新の会による大阪都構想であった。曰く『政治手法についてさまざまな批判はあるが、政治制度によって生み出される困難を乗り越えて、関係する地方政府での意思を統一したことは、日本の地

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    2025年10月28日
  • 民主主義の条件

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    多数派をいかに形成するかという視点から、政治の基礎について論じた入門書。
    構成は、現在の選挙制度について概観し、その問題点を洗い出し、ついで政党組織が組織化が徹底されていないことを指摘、続いて他の機関との権力分立について一瞥したあと、選挙管理について触れ、最後に選挙制度改革について必要だと論じている。
    現在の選挙制度の問題点は、多数派の形成が行われないことであり、多数派の形成のためには、政党組織を強化し、そのためには、選挙制度改革が必要だとの主張がされている。多数派の形成は民主主義において必須なので、この観点から制度について明確に論じられている点が良かった。
    加えて、触れづらいとされてきた選挙

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    2015年04月25日
  • 民主主義の条件

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    関心領域の初学者向けは読むべきか問題。良い入門書でしたのでぜひ。
    民主主義をいかに実現していくか、という上で、選挙制度はもちろん選挙事務にも相当左右されるので、決定に少しでもノイズが入ったりするものにしてはならないが、どのような点でノイズが入りうるか、といった話。

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    2015年04月08日
  • 大阪―大都市は国家を超えるか

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    連綿と続く、国家と大都市(大阪)の抗争を、近代から現代に至る歴史の中にプロットし、大都市の抱える問題と打開への道程をレクチャーしてくれます。
    いわゆる「大阪都構想」なるものが、歴史の中でいく度となく、浮かんでは消えてきたことを知りました。また、このような構想が出てくる必然性もよくわかりました。頭が整理できた感じです。
    明晰な人が語ると、錯綜する物事も見通しが良くなり、理解しやすくなるというお手本ですね。論者の若さに驚きました。更に研鑽を積まれ、ご活躍されるよう期待します。(^-^)/

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    2013年01月15日
  • 領域を超えない民主主義 地方政治における競争と民意

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    社会経済的なまとまりである都市圏と政治的なまとまりである地方政府の領域の不一致により分裂した意思決定が行われることによる問題を考察。都市の中心をめぐる競争、分裂した意思決定の中での住民投票という2つの大きなテーマでの複数の論考を収録。
    分裂した意思決定の克服に向けて、都市圏レベルの問題意識で結合する政党を育むような選挙制度を創設すべきという著者の処方箋については完全には納得できなかった(政党化していないからこその地方政治の良さがあるのではないか)が、政治制度が分裂した意思決定を生み出すことによる都市の発展が阻害されるという本書の問題意識はよく理解できた。
    住民投票について類型化して、人々の住民

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    2023年02月28日
  • 民主主義の条件

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    よりよい民主主義のために選挙制度や政党などの問題を提出していた一冊、初めてこのような本を読んだから、僕の政治入門書ともいえる

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    2021年12月01日
  • 大阪―大都市は国家を超えるか

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    首都東京以外の大都市が直面する問題が、明確に整理されている。東京の後背地となるのか、それとも地方中核都市の自律的発展を後押しするのか、という選択肢を提示しているが、そこにあるのは現行システム上弱体化せざるを得ない都市の不満である。

    ところで都市と農村との関係は、金とリーダーシップの流れだけで整理できるものではない。食糧その他の供給地として、人の供給地として、地方の大都市以外の場所との関係性をこれからどのように考えていくのかが一つの課題となるだろう。

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    2018年11月23日
  • 民主主義の条件

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    現代日本の民主主義の問題点を選挙制度と政党制の面から分かり易く説明している。
    著者の主張する政党の情報公開は必要性は賛同できる。
    政党補助金を受けているなら当然、政党内の議論も公開し有権者に示すべきだ。

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    2017年03月09日
  • 民主主義の条件

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    選挙制度、政党組織、権力分立、選挙管理に焦点を当て、政治に対して「納得」できる仕組みとはいかなるものかを考察している。特に、政党の役割を重視しているのが本書の特色である。
    本書を読んで、制度によって政治の帰結がいろいろ変ってくるということがよく理解でき、制度の可能性を感じた。特に、「架空転入」の問題など、選挙管理への着目は目から鱗だった。
    地方政治における政党の要素を強くするべきといった著者の主張に賛同できない部分もあったが、本書でされているような議論は今後の選挙制度改革や政党制度改革の基盤となるべきものであると思う。

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    2015年06月27日
  • 大阪―大都市は国家を超えるか

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    「大阪都構想」が注目される「大阪」を題材に、近代以降の大都市行政の歴史を丁寧にたどりながら、日本における大都市の問題を論じている。
    大都市をめぐっては、戦前から現代に通じる3つの対立軸―市長VS地方議会、東京VSその他の大都市、大都市VS全国(あるいは農村)―があるとし、それにそって分析を進めている。また、大都市行政に普遍的なものとして「都市官僚制の論理」と「納税者の論理」というトレードオフの関係をもつ2つの論理の存在を指摘し、「大阪都構想」にもその2つの論理が内在していると指摘する。そして、それらをいかにバランスさせるかが重要であると主張している。
    本書は、大阪の都市行政(市政・府政)の歴史

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    2014年08月21日
  • 大阪―大都市は国家を超えるか

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    国内第二の都市であり、最大の地方都市である大阪が
    その制度上持つ矛盾とそこから生じる問題、
    そしてそれに対する解決案を
    橋下市長の大阪都構想をもとに解説する一冊。
    歴史を振り返りつつ体型的に説明されるため
    内容を細かく理解できずとも方向性はわかりやすい。
    大阪都構想をよりよく理解するのに適していると感じる。

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    2013年02月26日
  • 大阪―大都市は国家を超えるか

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    良書。巻末の参考文献、注記を見るだけで、筆者が本書の執筆のために過去の大都市研究の膨大な蓄積を踏まえて、大都市の歴史を整理、今後の大都市のあり方を書いたことが伝わってくる。大都市について論じる人は必ず読むべき書。

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    2013年02月10日
  • 大阪―大都市は国家を超えるか

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    大阪を事例として、大都市制度の変遷についてまとめられている。
    筆者によると、大阪都構想などの大都市制度改革は、二つの論理を内包しているとする。一つは、都市経営の観点からすると、二重行政の撤廃などの効率化を目指し、国際競争力を高めるというものである。いまひとつは、住民に密着した行政サービスを遂行するというものである。このように、部分と全体に関する二つの論理が内包されているため、二つの論理が、衝突してしまうケースもありうる。そのために、いかにして二つの論理のバランスをとるかがポイントになる、と筆者は論じている。
    大都市制度の在り方は、地味なテーマではある。しかしながら、近年、大都市制度は各都市で提

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    2013年02月07日