佐滝剛弘のレビュー一覧
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観光立国と耳にするようになってから同時にオーバーツーリズム等の問題も浮き彫りになってきたように思う。本書は「観光消滅」とセンセーショナルなタイトルで目をひくが、内容としてはそこまで過激ではなく、観光業や地元の方の生活環境をうまく両立させていくためにの課題を啓発した書という方がしっくりするとも思える。
外国人観光客が増加してインバウンドが復調すると共に交通機関の渋滞やマナーの問題だけでなく、日本人観光客や地元の方々の経済格差について触れられているが、グローバル化が進む日本において、観光客とそれ以外に区別することが一つ鍵になるように思える。海外では観光客と地元住民とでは二重価格が設定されること -
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<目次>
第1部 崩壊~「観光立国」の実態を検証する
第1章 「観光立国」の現場を見る
第2章 データが語る「観光立国」
第3章 メディアが増幅する観光
第4章 海外旅行をしなくなった国でも「観光立国」なのか
第5章 「インバウンド富裕層の増加は日本を潤す」は本当か
第2部 消滅~持続不可能に導く背景
第6章 観光立国の夢を打ち砕く気候変動と情勢不安
第7章 観光どころではない深刻な人手不足
第3部 未来~観光政策は見直されるべきか
第8章 観光産業への手厚い助成の是非
第9章 世界遺産は誰のためのものか
第10章 二重価格は観光公害を救うのか
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9月「三連休」第二弾。
どこかへ出かける人も多いだろう。
観光客の受け入れ態勢が追いつかないオーバーツーリズムが問題になっている。
そう言えばコロナ禍で、なりたたなくなった観光業を盛り上げようと、「Go To トラベル」と「全国旅行支援」を行っていた。
しかし、本当に効果があったのかと思う。
「そもそも旅行業界、観光業界は、永年自民党の幹事長を務めた和歌山県出身の長老政治家の牙城(がじょう)」であり、和歌山大学には国立唯一の観光学部があるし、「紀伊山地の霊場と参詣道」の世界遺産登録にも裏で大きな働きがああったそうだ。
果たして、この政策によ -
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<目次>
はじめに
第1章 変容する千年の古都~観光客と地元住民。軋轢が生まれている京都の現実
第2章 「観光公害」とは何か~インバウンドの「数」と「質」の問題
第3章 日本各地の「オーバーツーリズム」~北海道から沖縄まで。こんなところにも観光公害が
第4章 「海外の有名観光地」の現実~「世界三大”観光公害”都市」などを現地調査
第5章 観光公害を解決するには~混雑、騒音、環境破壊…「お客様は神様」とは限らない⁉
第6章 誰のための「観光」か~「日本版DMO」に身を置いて
<内容>
近年の京都の混み具合は度が過ぎると思い、中国系のインバウンドが過ぎると感じていたが、この本はまさに -
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「ファン」の目線って大事。マニアたちはダムにおいても大きな働きをしている。
ただ本書は幅広い目線にみちていて、勉強になった。
高速道は江戸というより古代の道に沿っていることについて、伊那谷の中央道(と木曽谷の中山道)を例に記述されたのは面白かった。
ほかにも、IC付近のラブホテルがインバウンドむけに改装されてきているという話は印象にのこったし、ハイウェイオアシスやSAPAのことも記述が充実。あるいは北欧の長大橋のことなども興味をもった。
ストック効果(いたずらになんでも積み上げるなということ)やストロー効果のことも考えさせられる。
法律上の種別についても忠実に記載していたし、標識とか、ある -
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人口減少、インフラ劣化、気候変動等で日本の観光の未来は暗い。それでも観光立国化は先進国と呼ぶには怪しくなってきた日本が取らざるを得ない道だ。
にもかかわらず、目先の利益の為に観光資源を消費し尽くし、世界遺産やオリンピックを一発逆転できる客寄せイベントと認識して誘致する。失敗例として語られる富岡製糸場の現状からも分かる通り、目先の観光の為に一度形を変えられてしまった街はブームが去ったとて元には戻れない、という指摘にはぐうの音も出ない。
我が国は一事が万事これよな…自分達がどういう自分達でありたい、あり続けたいのかをもっとみんな考えてほしい -
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コロナ禍で「ちょっと一服」感もあるが、少し前までしきりに騒がれていたのが本書のタイトルにもある『観光郊外』だ。
本書は世界各地の有名観光地で起こっている観光郊外や外国人排斥運動などを取り上げている。確かに深夜まで騒がれたり、むやみやたらとカメラを向けられたりした、怒りたくもなるだろう。
観光スポットからほど近い住宅街に住んでいるので、食べ歩きのゴミのポイ捨てや、自宅敷地内への立ち入りも経験した。「インバウンドはよろしくない!」と思っていたら、コロナ禍で日本人観光客ばかりになった今でもポイ捨ては続いている。
「富士山麓では、自然環境の保護のために人の出入りを禁止したら、かえって産業廃