浜井浩一のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ本書の指摘で興味深く思ったのは、厳罰主義の加速をはじめとする「ポピュリズム刑事政策」の浸透と二大政党制が密接に関わっている、ということ。
英米系の対立型民主主義では野党がマスメディアと共謀して体感治安の悪化を煽り、厳罰主義を掲げて政権復帰を狙う、という構図が成立しやすいという論旨に説得力を感じる。
またそれらの国々が90年代以降新自由主義的政策を採用したことで、圧倒的な格差に晒された人々が、「犯罪者」を社会の底辺に位置づける対象として「発見」した、という指摘も、何か自分たちとは異なる生物であるかのように報じる昨今の犯罪報道を見るにつけ、深く頷かされる。
本文中、著者が太字で強調しているの -
Posted by ブクログ
[ 内容 ]
おかしいぞ日本の司法と犯罪対策。
さまざまな“犯罪神話”を解体し、事実に即した犯罪対策・刑事政策を提案する。
[ 目次 ]
第1編 犯罪と犯罪予防(減る少年犯罪、増える高齢者の犯罪 間違いだらけの犯罪対策 エビデンスに基づいた犯罪対策-キャンベル共同計画)
第2編 刑事政策(刑罰)(すべては検察官のさじ加減ひとつ 人はなぜ犯罪を犯すのか-犯罪理論について 法律と科学 ポピュリズムと厳罰化 貧困と犯罪 「刑務所太郎」はなぜ生まれるのか?)
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッ -
Posted by ブクログ
タイトルに1本釣りされて(この文章を書くのは何回目だろうか・・・・・・)読んでみた1冊。
てっきりタイトル通り、2円で刑務所にいれられてしまって5億で執行猶予っていう他人の不幸話だと勘違いしていた。だが実際は犯罪学をテーマにしたお堅い本であった。目次を見て、読むのをやめようとすら思ったくらいだ。
だが、1つのテーマを読み進めていくうちに本書に対するイメージがすっかり変わった。著者の主張を伝えるために統計や引用がうまく使われているし、話のつかみにしているネタも万人の興味を引くものがチョイスされている。これはレポート作成にも活用できるではなかろうか。
食わず嫌いはよくないね、と改めて感じたので -
Posted by ブクログ
ネタバレ犯罪についての情報というのは、ほとんどの人は「ニュース」に頼っているのが現状。しかし、ニュースでは、一つの事件は伝えるが、定量的なデータを定期的に伝えることは少ない。少年事件が報じられれば、犯罪の低年齢化を心配し、虐待が報じられれば幼児虐待の増加を懸念します。
が、果たして、実際に日本全体としては、どうなのか?
それに回答してくれるのがこの本です。
犯罪者の性別、年齢、犯罪者と被害者の関係、それらの統計を解説しています。
加えて、全ての犯罪が裁判になるわけではなく、それどころか、かなりの割合の犯罪は、和解や示談、身元引受人などの条件で裁判には持ち込まれません。持ち込まれたとしても、執 -
Posted by ブクログ
先輩に勧められて。
犯罪を取り巻く色々について、やさしく真実が書かれています。
犯罪について考える上で、知っておいたほうが良いことがたくさん。
刑事裁判や刑務所について、知ったような気分でいますが、考えてみれば実際に見たことはないんですよね。
(大学時代の宿題で、裁判見にいけってのはあったけど、ものの5分で終わるような裁判だった。)
私たちのイメージは、マスコミによって作られたものだということを自覚しなければなりません。
そして、裁判でどのような人が実刑判決をうけるのか。
やっぱり人間は感情の生き物だから、表現力の高い人は実刑判決が下りにくい。まぁそうだよなぁ。
(ネタバレ)ちゃんとした -
Posted by ブクログ
「ある刑罰が残虐であるかどうかの判断は国民感情によって定まる問題である」
そして国民感情は、マスコミによる影響を強く受けている。
治安はほんとうに悪化しているのか、
少年犯罪はほんとうに増加しているのか、
その再犯防止策は功を奏しているのか、
などなど、テレビを見ていて不安に思うことに対して、データをもとにわかりやすく示されています。
なぜマスコミがそのように報道するのかにも言及されています。
さらに、法律家の役割についても自分の中の誤解に気付かされました。
犯罪について、犯罪者について、再犯について、法廷で扱われることについて、興味のある方におすすめです。 -
Posted by ブクログ
タイトルが俗っぽいけど,内容はしっかりしてた。ポピュリズムに翻弄される刑事政策を憂慮する犯罪学者の著者。特に刑の執行段階に視点を置き,社会がどう犯罪に対応すべきか探る。
「ポピュリズムの基本的手法は、わかりやすさと情緒の味付け」(p.12)と著者は言う。確かに。マスコミのアジェンダセッティング力は大きい。そしてなるたけ叩かれないようにとの行政の事なかれ主義が火に油を注ぐ。
本書は,各章冒頭に常識的で分かりやすい「犯罪神話」を政治家の仮想演説として示し,本文でそれについて犯罪学の見地から論駁する形式。以前読んだ『陰謀論はどこまで真実か』も似たような形式だったな。陰謀論を提示し,それを論駁す