石川良子のレビュー一覧
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私は「ひきこもり」当事者側だ。とても良かった。こんな方が世の中に存在するのかとビックリした。もちろん沢山同じ様に活動研究されてる方は沢山いるだろうけれど、こういった本を読んだのは初めてだったので衝撃だった。
こういう人が居てくれるのだなと思うと、今この現実の世界も悪くないかもしれないと思わせてくれた。
また、石川さんという人自体もすごい人だなと思う。違和感を感じたら、考え方や物の見方を変えることができる。私には出来ないことなのでとても凄いなと素直に思った。こんなふうに考え方や見方を柔軟に変えていけたら(簡単ではないとおもうが)、生きていきやすくなるんだろうと思った。 -
Posted by ブクログ
本書の目的は、ひきこもり当事者の経験を描き出し、理解すること。ひきこもりとはどういう経験なのか、ひきこもりから回復するとは何を指すのか、という2つの問いを軸に、当事者とのインタビューや斎藤環など専門家たちの言説を素材として、ともすると第三者には理解しづらいひきこもりの「動けなさ」のリアリティをどうすれば理解できるか、考えていく。
人々のふるまいや語りを読み解くことで浮かび上がったパースペクティブを提示する本なので、実態解明ではない点は注意。ゴフマンのスティグマ理論、アーサー・フランクの物語論が面白かった。
■キーフレーズ
経験を理解する 理解≠共感 予防は不可能 長期化が問題 スティグマ -
Posted by ブクログ
元ひきこもり当事者…だと思っていたのですが
この本を読み終わった今、私は「元ひきこもり」ではなくある意味現在進行形でひきこもりなのかもしれないと感じました。
様々な論文や記事からの引用を交え、それを根拠として著者の解釈でひきこもり像を捉えておりなかなか読み応えがあります。
(当事者)本人の中の不確かさや微妙なニュアンスを取りこぼさないように丸々伝えたい、というような目的があるのかもしれませんがインタビュー形式での語りの部分は口語がそのまま使われているのでやや読みにくい。
大きく7名?の当事者の経験談が載っているが(個人の大まかな経緯の紹介はあるものの)1人1人に焦点をあてて全てが時系列になって -
Posted by ブクログ
[ 内容 ]
「仲間をつくれ」「働け」。
的はずれを含めた多くの批判にさらされ、「回復」へと駆り立てられるひきこもりの“当事者”たち。
対人関係の獲得や就労の達成という「社会参加」とそうすることの意味のはざまで、「なぜ働くのか/なぜ生きるのか」と彼/彼女らが抱いている不安や焦燥を、聞き取り調査をとおして描き出す。
そして、「自己防衛戦略」や「存在論的不安」などの視点から、“当事者”たちにとって「ひきこもる」とはどのような経験なのかを浮き彫りにする。
必要なのは“当事者”に共感することではなく、むやみに「回復」をめざさせるのでもなく、彼/彼女たちを理解することだと主張・提言する社会学の成果。
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Posted by ブクログ
現代において、引きこもりは増加している。時代の影響もあるが、住んでいる環境や場所、人間関係の影響を多分に含んでいる。
さて、本著では、「ひきこもりになってしまった」方々と向き合う良書である。2007年の本ではあるが、最新(2025)のひきこもり支援も本著の内容に重なっている。
往々にして、ひきこもりはなりたくてなるものではなく、その場所と人間関係に適応できなかったときに生ずるトリガーである。ひきこもりは私にもあなたにも起きるし起きえるものだ。
ひきこもりになってしまった方々へ向き合うには「当事者への傾聴」だと私は思うのだ。放置してはいけない。必ず「ひきこもり当事者の傾聴よりの対話」が必要である