毛利敏彦のレビュー一覧
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大久保利通という題の書を読んで思うことは、大久保の足跡がまさに維新期の薩摩藩の事績そのものだということだ。薩摩藩を代表する動きの中でも、とりわけ王政復古の号令を発する際に意外にも複雑な経緯を辿ったことは興味深かった。行動が現実主義的で手堅いイメージを大久保に持っていたが、この点については薄氷を踏む思いで強硬路線を貫いたことだろう。
また大久保その人とは直接関係ないが、読んでいて思いがけなかったこととして薩摩藩が幕末期に一貫して開国を許容していたことがあげられる。生麦事件と薩英戦争はあくまで偶発的なことであり、長州の四国艦隊砲撃事件のような攘夷を前提とした出来事ではなかったとは知らなかった。その -
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ネタバレ[ 内容 ]
明治維新の原動力となった「薩長土肥」の雄藩だが、肥前=佐賀藩の影は薄い。
しかし西洋の先進技術を最も蓄積した佐賀藩は、英明な藩主・鍋島閑叟のもと鉄製大砲を製造。
幕末期、技術力で幕府や他藩を圧倒し、閑叟は新政府のトップに躍り出る。
また開明的な藩士が多数輩出し、江藤新平は教育・司法に「西洋丸写し」とまで称される大胆な制度を導入する。
佐賀の乱以降、薩長政権下、活躍が軽視された同藩の真の価値を描く。
[ 目次 ]
序章 長崎御番
第1章 鍋島閑叟の登場
第2章 日本開国
第3章 尊王攘夷と佐賀藩
第4章 江戸幕府瓦解
第5章 明治新政
第6章 国民教育への道
第7章 初代司法卿―