坪井ひろみのレビュー一覧
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第三世界の女性「開発」のために現在最も主流とされている(たぶん)、潜在能力アプローチ、について書かれた本。潜在能力(ケイパビリティ)アプローチについて学ぶためには、まず最初に読むべき本である。第三世界の貧しい女性達を開発していくために、彼女らの所得や効用(主観的な幸福度)ではなく、彼女は「何ができるか」「どんな状態になれるか」という、潜在性を、アプローチの評価変数として取り入れる方法である。著者は哲学が専門らしく、政治哲学的な内容となっている。もちろん、根源的に何が基準とされるかというと、評価者(西欧先進国)の「直観の定点」ではある。が、本書のあげるケイパビリティのリストは、より広範囲に人々
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大学生協で衝動買い。講義中にずっと読んでいました。グラミン銀行はマイクロ・クレジット(貧しい人に少額融資を行い、彼らの生活が成り立つように促す仕組み)を行ってバングラディッシュ貧困を緩和し、総裁のムハマド・ユヌス氏はノーベル平和賞を受賞しています。「クレジットは、基本的な人権である。」「貧困は外部から規定され、人工的・社会的につくり出されたものである。」「貧しい人々が信用に値しないのではなく、既存の銀行が人々に値しないのである。」というグラミン銀行の哲学に感動しました。バングラディッシュには「娘を育てることは隣の家の木に水をやるようなもの」ということわざがあるくらい、女性の教育水準が極端に低い
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ネタバレ1974年にバングラデシュで誕生した、貧困層向けに小額融資(マイクロクレジット)を行うグラミン銀行に関して書かれた一冊。
マイクロクレジットとは、貧しい人々を対象に、フォーマルな小額融資を行う仕組みのこと。貧しい人しか借りられず、たいていはグループを作って連帯責任で返済をする。
この仕組みは途上国で始まったが、先進国にも普及して、アメリカやイギリス、カナダ、ノルウェー、フランスでも利用されている。
バングラデシュのグラミン銀行はマイクロクレジット機関の中で先駆け的な存在として有名になった。
本書は、グラミン銀行の会員の農村女性たちにインタビューをしたフィールド調査結果がまとめられている。
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「グラミン銀行を知っていますか?」
聞いたことはある。バングラデシュにある対貧困層への画期的なシステムだと何かで目にしたけれど、正直なところよくわからない。
気になって手に取って、貧困の解消が人の尊厳にこんなにも結びつくものかと、感動しました。
融資をきっかけに、自分で何かを選び取ることができるようになる、未来に向けて考えることができるようになる、ということは非常に大きなことですね。
そのために毎週集会があり視野を広げ、物事を考える機会を持つことだったり、グループを作って信用力を高める仕組みが確立されていることだったり、つくづく画期的なシステムですね。
施しは命を繋ぐけれど、自尊心を高める役 -
Posted by ブクログ
バングラデシュにある銀行で、通常の銀行では相手にされないような、貧困層や生活困難者に少額から無担保で融資するマイクロクレジットを行う、グラミン銀行を紹介した一冊。
税所篤快さんの『前へ!前へ!前へ!』を拝読して興味をもったので、読んでみた。
グラミン銀行では、貧困層の支援という大きな目的に加えて、女性が一人の人間らしく生活し、社会生活を自分の意思で送れるように支援するという目的ももっている。
バングラデシュでは、古くからの習慣で、お金を稼ぐのも使うのも使い道を決めるのも、女性用品を買うことも男性の役目で、女性はといえば、外出することもなく、親戚が住む家に囲まれた庭?の中で家事をし、子ども -
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グラミン銀行の概要ではなく,人々への影響についてのまとめ.
・彼女たちは加増や地域社会の中で,妻や母として,ときには娘としての役割を担っているが,それ以外の体験はとても乏しい.「公的」行動は男性がするものだと考えられている.「公的」な活動は,女性に自信を与えている.
・バングラディシュの貧しい女性は,簡単に離婚を言い渡されたり,夫から捨てられたり,殴られたりと,不安定な立場におかれる場合が多い.さらに,成人した子供が責任を持って親を扶養するということがあいまいなため,女性は夫に先立たれたら,完全に子供に頼ることはできない.このような女性にとって,住む場所は深刻な問題である.グラミン銀行は住宅