坪井ひろみのレビュー一覧
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第三世界の女性「開発」のために現在最も主流とされている(たぶん)、潜在能力アプローチ、について書かれた本。潜在能力(ケイパビリティ)アプローチについて学ぶためには、まず最初に読むべき本である。第三世界の貧しい女性達を開発していくために、彼女らの所得や効用(主観的な幸福度)ではなく、彼女は「何ができるか」「どんな状態になれるか」という、潜在性を、アプローチの評価変数として取り入れる方法である。著者は哲学が専門らしく、政治哲学的な内容となっている。もちろん、根源的に何が基準とされるかというと、評価者(西欧先進国)の「直観の定点」ではある。が、本書のあげるケイパビリティのリストは、より広範囲に人々を繋げる規範としては、普遍的に妥当とするに値するように思われる。「伝統」や「西欧の押しつけ」などの批判に対する反駁や、「宗教」「家族」との衝突についても書かれていて、非常によくできた書物である。原著2000年、翻訳2005年。新しい本である。2008.5.22-26(5d).
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大学生協で衝動買い。講義中にずっと読んでいました。グラミン銀行はマイクロ・クレジット(貧しい人に少額融資を行い、彼らの生活が成り立つように促す仕組み)を行ってバングラディッシュ貧困を緩和し、総裁のムハマド・ユヌス氏はノーベル平和賞を受賞しています。「クレジットは、基本的な人権である。」「貧困は外部から規定され、人工的・社会的につくり出されたものである。」「貧しい人々が信用に値しないのではなく、既存の銀行が人々に値しないのである。」というグラミン銀行の哲学に感動しました。バングラディッシュには「娘を育てることは隣の家の木に水をやるようなもの」ということわざがあるくらい、女性の教育水準が極端に低いそうです。そのためグラミン銀行の行員が教育指導までして経済的独立を支援していきます。「『自分の名前が書ける』ということは、女性にとって大きな喜びとなり、それが自信につながる。他の誰でもない『私』を自覚するのである。」という記述には複雑な心境にさせられました。
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ネタバレ1974年にバングラデシュで誕生した、貧困層向けに小額融資(マイクロクレジット)を行うグラミン銀行に関して書かれた一冊。
マイクロクレジットとは、貧しい人々を対象に、フォーマルな小額融資を行う仕組みのこと。貧しい人しか借りられず、たいていはグループを作って連帯責任で返済をする。
この仕組みは途上国で始まったが、先進国にも普及して、アメリカやイギリス、カナダ、ノルウェー、フランスでも利用されている。
バングラデシュのグラミン銀行はマイクロクレジット機関の中で先駆け的な存在として有名になった。
本書は、グラミン銀行の会員の農村女性たちにインタビューをしたフィールド調査結果がまとめられている。
バングラデシュには、「娘を育てることは隣の家の木に水をやるようなもの」という古いことわざがある。
都会の中間層・富裕層は別として、バングラデシュの女性の多くは外出をしない。買物は食料品・日用品・女性用品(下着も!)等々、全て男性(夫)が行う。
貧しくて小さい頃から働かなければいけなかったので教育を受けられず、字が読めないため職につけず、収入がないため家庭内での発言権もない、という女性は非常に多く、そのような女性たちは父親が決めた相手と10代のうちに結婚させられ、その後は夫に捨てられないようにと、ただただ夫に依存した生活を送らざるを得ない状況に置かれている。
そんな女性の自立を助けたのがグラミン銀行。
グラミン銀行の会員として融資を受けるようになったことで、経済的なことももちろん、「知識が増えた」「自信がついた」「友だちができた」といった重要な変化が起こる。
バングラデシュの女性をめぐる環境にはまだまだ課題があるが、マイクロクレジットを利用したことで貧困から抜け出し自立していくバングラデシュの農村女性が増えていくことはとても喜ばしいこと。 -
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「グラミン銀行を知っていますか?」
聞いたことはある。バングラデシュにある対貧困層への画期的なシステムだと何かで目にしたけれど、正直なところよくわからない。
気になって手に取って、貧困の解消が人の尊厳にこんなにも結びつくものかと、感動しました。
融資をきっかけに、自分で何かを選び取ることができるようになる、未来に向けて考えることができるようになる、ということは非常に大きなことですね。
そのために毎週集会があり視野を広げ、物事を考える機会を持つことだったり、グループを作って信用力を高める仕組みが確立されていることだったり、つくづく画期的なシステムですね。
施しは命を繋ぐけれど、自尊心を高める役には立たないですものね。
シンプルなグラミン銀行の哲学というのも必見です。
・クレジットは、基本的な人権である。
・人はだれでも、機会さえ与えられれば、よりよい生活をしようとする能力と意欲をもって。いる。
・貧困は外から規定され、人工的・社会的につくり出されたものである。
・貧しい人びとが信用に値しないのではなく、既存の銀行が人びとに値しないのである。
以下、略。
加えて、バングラデシュは男性の権力が著しく高い文化があるようです。貧困層への融資という1点だけでも高いハードルだろうに、女性が外出や買い物をするのすら支障があるような文化圏でよくもこれだけの事業を進めてこれたものだと、容易に「不可能」だと決めつけてしまってはいけないと自戒の念を抱きました。
もちろん、ここには書かれていない課題もあるでしょうし、何より本書自体執筆されたのが10年近く前なのです。状況は当時とは違うかもしれません。
それでも、貧困というレッテルを跳ね除け、いきいきと暮らす女性が世界にいることを知れて、非常に勇気づけられました。 -
Posted by ブクログ
バングラデシュにある銀行で、通常の銀行では相手にされないような、貧困層や生活困難者に少額から無担保で融資するマイクロクレジットを行う、グラミン銀行を紹介した一冊。
税所篤快さんの『前へ!前へ!前へ!』を拝読して興味をもったので、読んでみた。
グラミン銀行では、貧困層の支援という大きな目的に加えて、女性が一人の人間らしく生活し、社会生活を自分の意思で送れるように支援するという目的ももっている。
バングラデシュでは、古くからの習慣で、お金を稼ぐのも使うのも使い道を決めるのも、女性用品を買うことも男性の役目で、女性はといえば、外出することもなく、親戚が住む家に囲まれた庭?の中で家事をし、子どもを産み育てることが仕事、何をするにも家長である夫の許可が必要な生活を送っている。
グラミン銀行では、土地をもっていない人を対象に融資されることから、ほとんどが女性に対する融資となっており、山羊や鶏のような家畜を飼って乳や卵を売る資金にしたり、ミシンを買って仕立てをしたりと、事業を始める資金を融資し、定期的に貯蓄をする習慣を根付かせている。
無担保であることから、融資を受ける女性は5人のグループを作り、連帯保証ではないが、お互いに助け合い相談できる関係をつくらせている。
また、週に一度の銀行主催の集会を開き、女性が外出できる場面をつくり、時間に遅れず出席する大切さや、親族以外に友人をつくる場として、銀行員も身なりを整えて参加することから、進学すると選べる職業の幅が増えることを示し、子どもへの教育の大切さを教え、清潔にすることで疫病を防ぐ必要性や、みんなで助け合うことで家族を繁栄させることに繋げることなど、貧困層の人々が生活することに追われて、今まで意識していなかったようなことを含めて改革してきた。
豊かな日本に生まれ育ち、人間らしく生活することが当たり前であることへの感謝も生まれたし、海外の貧困層と呼ばれる人たちの生活や意識、習慣は想像を越えていると感じた。
私たちの孫やひ孫の生きる時代、『貧困』という言葉が過去の言葉となるような世界であってほしいが、そこに至るには、貧困層と呼ばれる人たちの意識だけでなく、富裕層と呼ばれる人たち、先進国に住む人たちの意識を変えていく必要があると思う。 -
Posted by ブクログ
グラミン銀行の概要ではなく,人々への影響についてのまとめ.
・彼女たちは加増や地域社会の中で,妻や母として,ときには娘としての役割を担っているが,それ以外の体験はとても乏しい.「公的」行動は男性がするものだと考えられている.「公的」な活動は,女性に自信を与えている.
・バングラディシュの貧しい女性は,簡単に離婚を言い渡されたり,夫から捨てられたり,殴られたりと,不安定な立場におかれる場合が多い.さらに,成人した子供が責任を持って親を扶養するということがあいまいなため,女性は夫に先立たれたら,完全に子供に頼ることはできない.このような女性にとって,住む場所は深刻な問題である.グラミン銀行は住宅ローンを始めた.このローンを利用した女性は,ほとんどが夫から宅地を譲り受けている.相続放棄をすることが美徳だと考えられているバングラディシュで,なぜ女性は夫から宅地を譲り受けたのか?夫は,一般の金融機関が要求する担保を持っていない.土地に執着心はあるが,グラミン銀行のローンを使って家を建てるために妻に土地を譲るのだ.