佐高信のレビュー一覧

  • 原発文化人50人斬り

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    今度の原発事故というのは何よりもメディアの敗北の結果 
    世論がメディアを通じて国と電力会社に買い占められていた

    朝日ブックcomでも《特集 原発神話のまやかしを問う》と題して、取り返しのつかない未曾有の大惨事になった福島原発事故について、いつ収束するかもわからない現在、間近に迫る死の恐怖を原発と放射線のとてつもない危険性を終日終夜ひしひしと実感すると同時に、私たちと私たちの子孫が生きるこの国に、安全だと言い続けて日本列島にちょうど時限爆弾を巻くように原発を作り続けてきた人たちを告発・弾劾する本を紹介しています。

    もちろんその中では、30年以上前から全存在をかけて鋭く警告・糾弾してきたわが広瀬隆と明石昇二郎の『原発の闇を暴く』がもっとも本質的に辛辣に断罪しているのはいうまでもありませんが、佐高信のこの本は、より殺気立って、天に代わって成敗するぞという熱意のこもったもので、思わず私もそれにほだされて密偵の役を演じたくなりました。

    【本書で原発戦犯として名前を挙げられた人】

    アントニオ猪木、浅草キッド、梅原猛、江波杏子、小沢遼子、小沢一郎、大宅映子、大前研一、大坪弘道(検事)、大林宣彦、王貞治、大熊由紀子、岡江久美子、荻野アンナ、奥村喜和男(官僚7)、 勝間和代、蟹瀬誠一、菅直人、ビートたけし、北野大、北村晴男、金美齢、木場弘子、木村剛、草野仁、小泉純一郎、小宮山宏、小佐古敏荘、幸田真音、近藤駿介(原子力委員長)、堺屋太一、さかなクン、佐賀元明(検事)、杉山元、鈴木篤之、鈴木京香、鈴木光司、住田裕子(タレント弁護士)、正力松太郎、関村直人、田原総一郎、竹中平蔵、寺田農、豊田有恒、東京電力、中島健、中曽根康弘、中畑清、長島一茂、西山英彦、野口健、平岩外四、福沢朗、星野仙一、弘兼憲史、福島敦子、藤沢久美、藤原銀次郎、古舘伊知郎、マスメデイア、前田恒彦(検事)、班目春樹、舞の海、松本零士、みのもんた、三宅久之、民主党、茂木健一郎、森本宏(検事)、薬丸裕英、山折哲雄、与謝野馨、養老孟司、吉村作治、吉本隆明、労働組合、渡瀬恒彦、渡部恒三


    【本書で誠実さを讃えて名前を挙げられた人】

    井深大、忌野清志郎、池田成彬、今中哲二、宇井純、河合栄冶郎、木川田一隆、小出裕章、郷誠之助、佐藤栄佐久(前福島県知事)、ゾルゲ、高木仁三郎、高橋是清、原田正純、広瀬隆、松下龍一、松永安佐衛門、松村健三、矢次一夫

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    2012年07月31日
  • 電力と国家

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    去年の大震災が、『人災』であるなら、『空き管』をはじめとする政治家だけではなく、『東京電力』という会社のことも知らねばならない。と思う。マスコミ(ニュース、テレビ番組、新聞など)は原子力という技術を『専門家』が、わかりにくく紹介するばかりで、さっぱりわからない。(自明です、人類史上最高級の部類の技術なのですから)だから、わかりやすい人間の話から、理解を始めるのが、寛容かと思います。本書は良きナビゲーターとなるでしょう。

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    2012年04月05日
  • 新装版 逆命利君

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    異色の商社マン鈴木郎夫の反逆人生を描くノンフィクション。日本人の社畜根性を真っ向から否定しながらも、誰よりも仕事に生きた男の生き方とは—— ルパンが読んだらイチコロやな。

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    2012年02月05日
  • 難局の思想

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    外国の方の話は私には少し難しかったけれど、司馬遼太郎については、私が今までに思っていた通りのお話で、溜飲が下がる思いで読みました。この章を読めただけでも この本を読んで良かった!皆さんにもぜひ読んでほしい。

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    2011年12月10日
  • 城山三郎の昭和

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    人を突き動かす一番の原動力は怒り、不条理への憤り。
    へたれた現代人に足りてない。私にも足りてない。

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    2009年10月07日
  • 石橋湛山を語る いまよみがえる保守本流の真髄

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    戦後、敗戦国の一員でありながらGHQと対立し、政界追放までされながら見事に返り咲き首相まで務めた石橋湛山。小日本主義をその理念とし、軍備縮小、平和国家、国民皆保険などの福祉国家の礎を築いた人物である。小日本というと聴こえはあまり良くないが、戦前の大東亜主義に対立し、軍事によるアジアへの拡大を目指すのではなく、あくまで軍事は小さく、外交•通商により世界を目指す考え方である。だから、戦後は中国との友好関係を築くために力を注ぎ、その後の日中国交正常化に繋がる流れを作った一人と言える。
    石橋湛山は言わずと知れた東洋経済新報社の主筆を務めた人物であり、戦時中も帝国主義、軍国主義、ファシズムを強烈に批判し、ヒューマニズム、自由主義を掲げ続けた。戦争終結直後にも戦後の日本を憂うのではなく、新しい社会が開ける機会ととらえた石橋。一時はライバル吉田茂が裏で手を引いたとも言われる、GHQの公職追放を受けたが、第一次鳩山内閣では通商産業大臣に就任、アメリカとの対立がありながらも、共産圏のソ連との国交正常化や中国との通商の重要性を訴え続けた。その後、保守合同により鳩山の民主党と緒方竹虎の自由党の合同により、現在の自由民主党が設立されている。勿論、石橋も結党時からのメンバーである。
    一言で石橋を表すなら闘う政治家であり、自身の主張、主義を変えず一心に国のために身を投じた政治家である。それは戦時中の帝国主義批判などからも垣間見えるが、自らが首相として内閣を率いた際にも、病気により早期に退陣を決意し、あっさり次の岸信介に譲り渡すなど、その潔さには「政治家はかくありたい」と評された人物である。首相在籍期間は短かったが、その後も政治に関わり続け、亡くなった後も石橋湛山派と呼ばれる様な信奉者を多く集める存在であった。
    本書はその孫弟子である元衆議院議員の田中秀征氏と評論家佐高信氏との対談形式による石橋湛山を語る内容となっている。戦後政治の流れを湛山中心になぞっていく内容であるが、それはそのまま現在の自民党に続く紆余曲折の歴史の背景を理解する事につながる。対談する二人の言葉から湛山が日本の未来をどの様に予測し、国家のあるべき姿をどう描いていたのかを理解することができる。「いまよみがえる保守本流の真髄」という副題が示す通り、上辺だけではない、信念を貫いて真の保守主義を貫いた大人物の生き方、考え方を現代の政治家と比較しながら見ていくと非常に面白い。「政治家かくありき」を知る良い機会になる。

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    2026年09月27日
  • 昭和に挑んだ作家たち

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    ■はじめに
    著者の本を読むのは久しぶりで、住友商事元常務・鈴木朗夫氏の反骨の人生を描いた『逆名利君』以来の筈。

    本書は、冒頭の〈はじめに〉から実に面白い。著者の司馬遼太郎批判は筋金入りで、本書ものっけからその話題で幕を開ける。

    司馬遼太郎をめぐって井上ひさしと交わした議論を紹介し、「司馬もいいし、藤沢周平もいい」という井上ひさし。それに対し、「両者は本質的にまったく違う」と異を唱える。その理由は、「司馬遼太郎には、この国の無責任なリーダーに致死量の毒がない」という一点に集約される。

    本書で取り上げられるのは、司馬遼太郎とは対極にある」と見なす20人の作家たち。もちろん、その括り自体が著者の独断であるのは言うまでもない。

    僕は〈エッセイや随筆は"適度な偏見"が最高の調味料〉だと思っている。だから本書も、クスッと笑い、時に苦笑しながら、最後まで存分に楽しめた。

    ■感想
    著者は人物に対する好き嫌いが明快な人で、作家評もまた同じだろうと思って読み始めた。そして、その評価軸も"左派の論客"らしく、イデオロギーが色濃く反映されているのではないか…そんな先入観を抱いていた。ところが、その見立てはあっさり覆された。

    著者が見続けているのは、思想や立ち位置以上に、「その人がどう生きたか」。権力に迎合しなかったか。時流に流されなかったか。自分の言葉を最後まで引き受けたか。その1点に人物を見る物差しが置かれているように思えた。

    ゆえに本書は作品論というより、人間論に近い。作品の紹介以上に、著者自身が交流した作家たちの逸話が数多く綴られ、その筆致には敬意や親愛の情が滲んでいる。歯に衣着せぬ佐高信らしさは健在だが、読み終える頃には、どこか温かな人物評を読んだような余韻が残った。

    そして改めて表題の『昭和に挑んだ作家たち』を眺める。

    ここで取り上げられる20人は、いずれも戦前生まれである。国家が個人より優先された時代に少年期を過ごし、敗戦によって民主主義と個人尊重という、それまでとは真逆の価値観の中を生きることになった世代。

    戦争も、敗戦も、高度経済成長も、昭和という時代の激変を身体で受け止めてきた人たちである。それだけに彼らの文学には、権力への警戒も、人間への眼差しも、単なる思想ではなく「体験」から滲み出る重みがある。

    そんな時代の荒波をくぐり抜けた作家たちは、何を疑い、何を信じ、何を拠り所に文章を紡ぎ続けたのか。ページを繰りながら、そんなことを何度も考えさせられた。

    ■最後に
    著者が司馬遼太郎を評価しない理由も、本書を読めばそれとはなく理解できる。司馬遼太郎は高度経済成長期を代表する国民的作家だった一方で、昭和という時代の“暗部”を正面から描かなかった。そこに物足りなく映るのだろう。

    ただ、僕は少し違う見方をしている。司馬遼太郎は昭和を書かなかったのではない。明治を書くことで昭和を問い続けた作家だったのではないか。

    満洲で終戦を迎え、戦争という時代を自ら体験した司馬遼太郎にとって、昭和はあまりにも近く、生々しく、容易く文学へ昇華できる対象ではらなかった。

    『明治という国家』にも描かれるように、鎖国から目覚めた日本は、わずかな期間で近代国家を築き上げた。その原動力となった政治家や官僚、軍人たちの志と力量に、司馬は惜しみない賛辞を送っている。

    だからこそ、わずか半世紀後、同じ日本が日本人が無謀な戦争へ突き進み、敗戦を迎えた現実を、司馬は誰よりも痛切に受け止めていたのではないか。「なぜ、この国は道を誤ったのか。」

    その答えを探すために司馬は明治を書き続けた。そう考えると、司馬遼太郎もまた、昭和という時代に深く翻弄された作家のひとりだったように思えてならない。

    本書は「昭和に挑んだ作家たち」を描く一冊であると同時に、その作家たちを通して、昭和という時代そのものを改めて考えさせてくれる一冊でもあった。

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    2026年06月29日
  • 反戦川柳人 鶴彬の獄死

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    きな臭くなってきた2026年。
    権力の腐敗と、暴走の世の中で、如何に個人の尊厳を持ちつ生きるか。
    鬼卵風月の小説に触発されて、その表現として、狂歌や川柳に関心を持つ。そして、吉川英治が、一時、井上剣花坊に師事していたということもあり、井上剣花坊の本を探しているなかで、この書に出会う。

    話があっちこっちに飛び、出てくる人が多く、句の紹介が少なく、前提知識がないと読みづらい。

    ただ、そこで演繹された内容は、知らぬことが多く、俳句や短歌の戦争責任などもあることを知り、目からウロコだ。

    メインテーマの鶴彬については、かなりの鮮烈さ、衝撃を受けた。真っ向から、勝負を挑んだ、川柳人がいたことはすごいと思う。
    ただ、少し真っ向すぎて、自分が狂歌や川柳に求める鬼卵風月で見たような、ユーモア精神の功徳は感じられなかった。
    むしろ、最後に紹介された、渡邊白泉に強く惹かれた。
    激情のままではなく、ホットハート、クールヘッドで、この時代に流されず、独立不羈、自由、痛快に生きて、少しでも抜苦与楽で一隅を照らせたら幸い。
    明るさ、痛快さがないとしんどいよねという、自身に一番足りてないものを希求していることに気が付かされました。

    そのために、力を入れて力まず。

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    2026年04月25日
  • 青春読書ノート 大学時代に何を読んだか

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    著者が大学四年間で読んできた本の感想を、ノートにまとめたものが本書である。左派、リベラル知識人の本が大半を占めており、実際、著者は思想としては左寄りである。このように、若いころに大量の本を読みこんで、地盤を形成することが、のちの人生に良い影響を与える。

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    2026年02月08日
  • だまされない力

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    佐高信の方が聞き役で、前川喜平の方がしゃべってたことにちょっとびっくりした。

    尊敬する先生が以前「教育の目的は『だまされないで世の中を生きていくこと』」と明言しておられた。そして、別の先生はこの前の参院選での参政党などの躍進を見て「教育の敗北」と言っていた。

    この本が出版されたときもたいがい危うい世の中だったが、短い間に急激に「日に日に世界が悪くなる~♪」の状況になっている。読みながら暗澹とした気持ちになったことが何度もあった。

    ほんと、日本、どうなるよ?

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    2026年01月13日
  • だまされない力

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    評論家の佐高さんと元文科省事務次官の前川さんとの教育や学びについての対談。

    前半は、歴史や宗教、政治家から文学者まで、お二人の知識の幅の広さに圧倒されるばかりだったが、後半は、夜間中学が学生の頃に学び損ねた人たちの重要な学びの場になっていること、道徳の教科化の話など、自分にも少し取っ付きやすい話題だった。

    戦争の時もそうだが、国民は政治家や新興宗教、そして最近はSNSのインフルエンサーなどに知らないうちに騙されている場面が多そうだと改めて感じた。

    まずは自分で疑問に感じ、知ろうとすることが大事で、それこそが真の学びなのだと思う。

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    2025年12月02日
  • 西山太吉 最後の告白

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    沖縄密約の西山太吉記者と、ノンフィクション作家佐高信さんの対談本。2022年12月に発刊されているが、西山太吉さんはその後2023年2月に亡くなられており、まさに最後の告白である。
    沖縄密約についての告白というよりは、自民党政権や宏池会、清和研の考え方についての西山さんの考察といった趣だった。

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    2024年11月26日
  • なぜ日本のジャーナリズムは崩壊したのか

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    ほんの少し前に
    若い友達(40代前半?)から
    ーボクの周りでも
     国(のお役人)が言っていることだから
     それに 間違いはないと思う
     なんて人が 結構いる
    という 会話から

    それは ないよね
    という話から 立ち話で一時間ほど
    その「情けなさ」を散々語り合いました

    それにしても
    この国は どこに向かって いくのだろう…
    と 思っている方と
    語り合いたい一冊であります

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    2024年07月01日
  • だまされることの責任

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    まだ小泉政権の頃に危惧していたことが現実になる。安倍晋三の長期政権である。彼自身の私欲だけでなく、彼に取り巻く為政者や宗教家や財界の人びとのはかりごとが、民の生活を虐げていく。そんなことをすれば経済力は低下していき財政は行き詰ることは容易く予測できるのに、現在さえ自分さえ良けりゃいいんだという浅はかな結論でおさまっていいのか。これは自己責任論にも通底しており、弱者を切り捨ててしまう社会の崩壊へと向かってしまう。そこに皆気付くべきであり、気付かなかった、だまされていた、という言い訳はあまりに無責任、私たちは共同体としての人道的行動を実践しよう。

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    2023年11月29日
  • 反戦川柳人 鶴彬の獄死

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    小林多喜二は小説を書いて、警察という国家権力によって
    虐殺された。そして、反戦の思いを込めた川柳を発表して、
    多喜二と同様に国家権力によって命を奪われた人がいた。

    鶴彬。その人の短い生涯は映画になったり、幾人かの作家が
    作品として発表している。そして、いくつかの作品集もある。

    私が初めて鶴彬の名前と作品を知ったのは、田辺聖子の
    作品だったと思う。澤地久枝が、全集の復刻に尽力して
    いたのは本書で初めて知った。

    澤地久枝が手掛けた復刻版の原本を作り、鶴彬を後世へ伝えよう
    とした一叩人にも多くのページを割いており、この人にも
    興味を惹かれる。

    著者は鶴彬の川柳とその生涯に触れながら、鶴の周辺の人々、
    当時の川柳界の流れ、戦争賛美者への批判を綴っている。

    鶴彬の評伝だと思って読むと肩透かしを食らう可能性が高いが、
    「反戦」を主題として読むとなかなかに面白い。勿論、鶴彬の
    川柳はずしんと重く、腹の底に響く。

    特に興味をひかれたのは藤沢周平による、戦争賛美をした高村
    光太郎と斎藤茂吉の、敗戦後の比較だ。

    自身が戦争に協力したことを深く恥じた生き方をした人は、
    どれくらいいたのだろうかね。敗戦と同時に朝日新聞社を辞し
    た新聞記者むの・たけじについても触れている。

    17文字で反戦を強く訴えた鶴彬は、1937年12月3日に悪名高い
    治安維持法違反で検挙され、東京都中野区野方署に留置された。

    過酷な拷問と赤痢によって、1938年9月14日に29歳で殺された。
    尚、ベッドに手錠で繋がれた状態であったと言う。

    万歳とあげて行った手を大陸へおいて来た
    手と足をもいだ丸太にしてかへし
    さん壕で読む妹を売る手紙
    タマ除けを産めよ殖やせよ勲章やろう

    鶴彬の作品の一部である。反戦以外にも過酷な労働を強いられた
    紡績工場の女工さんたちの哀しみを詠んだ作品もある。

    国家に反旗を翻したことで、命を奪われる時代が再度、来ません
    ように。

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    2023年11月21日
  • だまされることの責任

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    面白く読めるが、深読みし始めると止めがつかない。上がっている本だけでも少しずつ読んでいこうと思いつつ本を置いていたが、内容を読みきったという感触には程遠い。これは、と思い、本を知人に委ねることにした。何人かでよめば、視点が増えるので気がつくことがもっと増えるかも知れない。つまるところ、分かるまで信じるな、というのは、キャッチフレーズ的に伝播力をもち、威力もあるが、はたして、それでも物事を軽信する傾向は、拍車がかかりこそすれ、変わらない。事実が突きつけられない限り人は信じるのだ。欲しいのは何が事実なのか、そうではない事実をどう見分けるか、方法なり、手段なりを持つにはどうするか、なのだろう。この本はきっかけの本だ。

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    2023年06月26日
  • 西山太吉 最後の告白

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     ずっと歴史上の出来事のように思っていたが、通読して、その本質が何だったのかを理解できた。
     前半の政治家評が、はっとする。今の政治家の力量の無さを確認できる。
     明らかにする。ジャーナリストの意地が伝わる。

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    2023年04月17日
  • この国の会社のDNA

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    ブラック企業のものの買い控えを確実に遂行したいけど、なかなかそれぞれの実態に迫るのは難しい、というのが実際のところ。そのあたりを取りまとめを、誰か信の置ける人がしてくれないかな、とか思っていたんだけど、本書はまさに打ってつけ。何となく感じていた胡散臭さも含め、やっと腑に落ちたこと数多。就活マニュアルとしても価値の高い一冊だけど、消費者(即ちほぼ皆)としてマストの知識が満載。色んな場面でいちいち紐解きたい一冊。

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    2022年12月12日
  • 時代を撃つノンフィクション100

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    ここに取り上げられたノンフィクション小説(一部事実に基づいた内容)は概ね、政治家と金・権力、そこに貪る利権企業群、メディアとの利害関係からくる権力と私物化、それと、戦争とその背景に携わる政治家・軍部関係者、損得の利害関係である。 昭和の初期から指摘しているのは近代も腐敗した政治とその利害関係が存続していることだ。今の菅政権もそうだが、それ以前から政治は政治家の為(権力と金)だけのものであって決して国民を守ることでは無いことがはっきりしていることだ。その理由は文中にもある「政治家が非能力であっても国民が優秀であれば経済は動く」ということだ。これはコロナ禍で確証していると思う。

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    2021年07月13日
  • 時代を撃つノンフィクション100

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    ノンフィクション本を開拓したくて購入。
    メディア・歴史・現代社会にカテゴライズされて紹介される100冊はほとんどが知らない本。
    それぞれ興味を惹かれるような紹介文になってるかと言えばそうでもない気もするんだけど、この本片手に一日中本屋を遊びまわることができそう。

    岩波新書なので、紹介されている本も全て岩波から出てる本なのかなと思っていたら全然そんなこともなく、大小問わない出版社の本が分け隔てなく紹介されており懐が深い。さすが岩波パイセンです。

    これ持って本屋行って自分で本を選んで買ってその本を読むまでがこの本の読書です。本屋に行こう。

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    2021年05月10日