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山口組・田岡組長を陰で支え、天才・宮崎駿を育て上げた夢の大プロデューサー、徳間康快。徳間書店を興し、『アサヒ芸能』編集長として部下を育て、難破船の『東京タイムズ』社長に就任、倒産寸前の『大映』の再建を請け負い、ダイアナ妃に出演交渉する。黒幕か?フィクサーか? それともメディアの怪人か? "濁々"併せ呑んだ傑物の見果てぬ夢を見よ!
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Posted by ブクログ
昔っから徳間書店という出版社が放つ、なにか猥雑なパワーに不思議な気持ちを抱いていました。「黄金の犬」みたいなベストセラーもマッチョだし、「敦煌」みたいな映画も異常にダイナミックだし、「アニメージュ」みたいな雑誌も先駆け過ぎだし…。それが徳間康快という社長のキャラクターそのものだと知りました。昭和の男...続きを読む、いや男という漢字じゃ収まらない漢の夢の砦が徳間グループなのでした。そのそんな漢の周りには、さらに漢祭りというような右も左も硬も軟も関係ない輩が上から下から後ろから前から集まってくるのです。それを著者は「濁々併せ飲む」と表現しているのでしょう。いろんなことが清浄化された今、その濁々はどこに流れているのでしょうか?
昭和史と並行して進む徳間康快という人の起業家人生といったところだろうか。主眼として描かれているのは昭和の戦後史と、財をなしたあとの徳間氏の力強い活動といった感じかなぁ。徳間康快という人が読売新聞を放逐されたあと、いかにして徳間書店という出版社を立ち上げ、映画なども含めた活発な活動をするに至ったのか、...続きを読むその経過については正直よくわかんなかった。気がついたら、アサヒ芸能を買い取って、とかそんな感じになっていたような。あまり描かれてないところに、清濁ならぬ濁々のよりコアな部分が含まれているということだろうか。いや、まぁ濁の部分もそこそこ書かれていたのだろうけど。 徳間書店を作った徳間康快氏という人がどういう人だったのか、俺は知らない。ただ先日読み終えた鈴木敏夫氏の本とか、映画監督の押井守氏のネットのコラムとかで名前をみかけてね。傑物だったとか、濁々あわせのむ、なんて毀誉褒貶あるようで、ちょっと感心を持って読んでみたんだよね。 徳間グループの立ち上げは、日本の戦後史と一体だったのかもしれないなぁ、なんて思った。石橋湛山とか、昭和史で読んだ人物もあれこれ出てくる。今、歴史というよりまだ報道とかに出てくる範囲の人も名前が出てきたりして、現代は過去とつながって形成されるという部分にあれこれ思いが至るね。
潜入ルポルタージュの名著だと思っている鎌田慧『自動車絶望 工場』。私は講談社文庫版しか知らなかったのだが、初版は徳間 康快が経営していた出版社(徳間書店ではない)から出ていたんだ。 しかも当初のタイトルは『トヨタ絶望工場』だったらしいが、当然この タイトルでは出版出来ずに『自動車絶望工場』...続きを読むに変更になったそうだ。 何度も読み返している作品だけれど、出版当初の話は本書で初めて 知った。まぁ、読んでいればトヨタがと分かるんだけどね。 徳間書店の創業者である徳間氏は本当に面白い人なのだ。徳間書店 設立後はグループ会社は10を超えるまでになっていた。 でも、徳間氏が一番やりたかったのは、やはり新聞だったのではない かと思う。それも日本にはなかなか定着が難しいクオリティ・ペーパー。 記者として読売新聞に入社したが読売葬儀で退職を余儀なくされ、 新聞への執着があったのだろうと感じた。同じ共産党細胞で後輩 のナベツネなんかが社に残ったばかりがトップになってるのだもの。 あ、本書にはナベツネの悪口もいっぱいなので、ナベツネ嫌いの私に は爽快なんだけどね。 徳間氏のメディア人としての軌跡を読むと、自ら困難な局面に挑んで いく、飽くなき挑戦者のようだ。買収した映画会社「大映」は倒産寸前 だったし、グループ会社にした「東京タイムズ」だって赤字続きだった。 今では「天才」と冠して呼ばれるようになった宮崎駿の才能をいち早く 見抜いて、惜しみない製作費を捻出したのも徳間氏だった。 挑み続け、失敗した事業もあるけれどそれで挑戦を止めるようなことは なかったというのは、他の経営者では真似が出来ないのではないだろ うか。 徳間氏のエピソード満載なのだけれど、徳間氏が影響を受けた人物や 周辺の人々のことを盛り込み過ぎて若干まとまりがないのが気になる。 そうして、徳間氏が晩年口にしていたという「騙された、裏切られた」と の言葉が、一体、誰を、何を指しているのかも不明のまま。ここは消化 不良だったな。
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メディアの怪人 徳間康快
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