ネイト・シルバーのレビュー一覧
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500頁超の大作ながら、何とかGW中に読み終えた。名著「マネー・ボール」に登場する野球データ分析アルゴリズムの開発者が、シグナルとノイズを見分けながら如何にしてより精度の高い予測を行うか、についての方法論と考え方を解くもの。
不確実性が高い世の中を生き抜く上でとても知的で楽しい内容だった。原著2012年、日本語版2013年発行、と年数は経っているものの、不朽の名作と言えるのではないだろうか。
本書全編を通じて、「ベイズの定理」に対する信頼が非常に高く、あらゆる可能性を検討した上で、新たな事象が起きるたびに見積情報を絶えず更新していくことで、真実に近付くことができる、という点が主張の骨子。
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Posted by ブクログ
邦訳されたすぐ後に買っていたのだが1/3くらい読んだところで放りだしていた。分厚いながらも別に読みにくい本ではないのに。このたび、家ですごす連休のお供として引っぱり出したのだが、これがまたコロナの時代にピッタリの内容であった。いま世界中が、きわめて不確実な状況に置かれながら少しずつ明らかになるウイルス/疾病の情報をもとに今後の見通しを更新していく、まさにベイズ的な過程のただなかにいる。私たちが「知っていること」と「知っていると思っていること」の違いを識別しなければならないと教えてくれる本だ。
ネイト・シルバーの文章には論理的な明晰さがあって読みやすい。少し斜に構えたユーモアとあわせて、なんと -
Posted by ブクログ
自分が興味ある分野だけに、500ページのボリュームでしたが、かなり興味深く読みました。
リーマンショックや巨大地震、インフルエンザなどの予測に関する失敗のエピソードは、参考になりました。
著者は、最近のビックデータ分析で用いられているベイズ統計の重要性と推奨をしてます。
ある事象を分析する上で、その事象が起こる前の事前確率を見積もり、現実の事実を組み合わせて、確率的に予測する理論です。
ベイズ的アプローチは、問題解決のための観察・仮説形成・検証というアプローチと、概ね同じプロセス・思考法であるという切り口は、圧巻でした。
また、ベイズ統計が批判されている部分である、事前確率に主観性が入ることに -
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大リーグの弱小チーム オークランド・アスレティックスを低予算でも統計を駆使することで割安なプレイヤーを集めることでプレーオフの常連にした『マネーボール』で有名になった野球データを分析したセイバーメトリクスPECOTAを開発。大統領予選について統計的に予測をしてWebサイトに発表した結果がほぼ的中したことでも有名。
著者は一時期、オンラインポーカーゲームにもかなり熱中していたらしい。第10章に詳しいが、カモがいると勝てる理論は納得。自分の経験でも、フリー麻雀で点5の東南では余裕を持って勝っていたけど、点10の東風では勝てなかった。この結果は、おそらくはカモがいるかどうかに依存していたんだと思う -
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■予測
A.予測する際は、もっと確率と不確実性を受け入れねばならない。この点において役立つのが、条件付き確率を導き出す「ベイズの定理」だ。1 つのアイデアを違う角度から考える必要性を理解し、検証する方法を得る手がかりとなる。
B.ある心理学者によれば、専門家は「ハリネズミ」と「キツネ」の2 つのグループに分類できる。
・ハリネズミ:大きな考えを信じ、社会には基本原則があると信じている。大胆な予測をするのでよくメディアに登場するが、予測する能力はキツネより劣る。
・キツネ:これといった原則を持たず、問題に向けて様々なアプローチを試みる。より良い予測を行うが、メディアにはなじまない。彼らは多く -
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未来を予想するための理論としてペイズ定理というのがある。過去の情報に基づいて未来を予想する。しかし、過去の情報には、重要な情報であるシグナルと、誤情報であるノイズとがある。ノイズによってバイアスがかかり、誤った予想がなされてしまう。そこで、結果と照らし合わせて、確率論的に次の予想を行う。これを何度も繰り返すことで、より正確な予想が行えるようになる。これは、気象予想やチェスでは威力を発揮する。正確なフィードバックが得られ、コンピュータの力、特に生成AIの力を存分に発揮できるからだ。一方、地震や経済のように、システムが複雑で、予想が正しかったか否かの検証が難しい場合には、コンピュータでは対応出来な
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統計というシロモノは門外漢からすると、たいていいかがわしく見える。
それは、本質的には確率論でしか語りえない予測が、あたかもそれが絶対的なことように提示されるからだ。統計に100%がないことは、素人でも皮膚感覚で十分にわかる。
著名な統計家である著者ネイト・シルバーの会いに行く「優れた統計家」たちは、いずれも予測があくまで確率論であることを真摯に語り、フィードバックを用いしてモデルを修正し精度を高めることにこそ心血を注いでいる。
著者自身も自信を「ベイジアンである」と語り、人間を完全に合理的なホモ・エコノミクスとして想定するフィッシャー学派と対置させ、不確実性の存在を隠そうとせず、むしろ -
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予測についてのデータサイエンティストの本。政治の選挙予測、経済から野球、テロの発生確率、天気予報、地震予知、オンラインポーカー、人工知能によるチェスのプログラム等、扱う範囲が広く、事例が多いので面白い。
◼︎予測には向いている分野とそうではない分野がある(現時点では)
過去の観測から天気予報の精度は非常に向上しているといえるが、未だに天気予報士は予報が外れた時に怒りのメールを受け取る。
地震は発生の間隔が天気の変化より長く(予測のためのデータが圧倒的に少ない)、かつ観察対象は地中で見えづらく、複雑なため予測することは非常に難しい。確率論で「何百年に何回、どれくらいの確率論でどれくらいの規模の -
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『マネーボール』で有名になった野球データを分析し、選手の優秀さを予測するシステムを開発した著者。
2008年の大統領選の結果も予測したらしい。それがどれほどすごいことなのか実感はないが。
①ノイズとシグナルを見極め、より最適な判断ができるようになるためには?
②ベイズの定理について
①
知識としてノイズのパターンを知り、見分けられるようにする
②
ベイズの定理で使うデータは、すべて事実に基づいた数字ではなく、推測や人の主観が入る。そこにこそ、優位性を見出している、のかな?
ベースボールのスカウトはいなくならないし、データや計算だけに頼るのではなく、人の経験や判断、直感などがコンピューター