施光恒のレビュー一覧
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内容ですが
はじめに――英語化は誰も望まない未来を連れてくる
第1章 日本を覆う「英語化」政策
第2章 グローバル化・英語化は歴史の必然なのか
第3章 「翻訳」と「土着化」がつくった近代日本
第4章 グローバル化・英語化は民主的なのか
第5章 英語偏重教育の黒幕、新自由主義者たちの思惑
第6章 英語化が破壊するに呑んの良さと強み
第7章 今後の日本の国づくりと世界秩序構想
おわりに――「エリートの反逆」の時代に
でした。
納得できるお話が論理的にまとめられていました。
まず、ヨーロッパで歴史的にあった事実ですが、ラテン語が書く民族の言葉に土着化し、中世から近代へと時代が転換したこと。
それと一 -
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自分は幸いにも語学学習が苦ではなく、英語、フランス語、ロシア語、タイ語、朝鮮語の学習はほとんど趣味の領域である。だからこそ日本語にとりわけ強い拘りがある。小学校からの英語教育には断じて反対である。そんな時間があるのなら日本語の小説や詩でも自由に読ませた方がよっぽど有益だ。その意味で著者の主張には全面的に賛成である。
ただ自説の正当性を主張したいがために、極論を前提とした反論が目立つのが残念である。政府や経済界はバイリンガルの育成を目指しているのであって、日本人が日本語を話さない環境整備を志向しているのではない(と信じたい)。そう言う極端な前提が無自覚に置かれていると、せっかくの正論が途端に怪し -
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「あとがき」にも書かれているけれど、タイトルがキツすぎて、中身をうまく表現できていないのがとても残念な良書。
まるで反アメリカ思想のナショナリストが書いた本のようだが、内容は言語が政治・文化にどのような影響を与えるかについて論じた真面目な本。
タイトルにある「英語化」とは「日本の公用語が英語になる事態」を示す。
現時点ではそこまでいっていないが、英語を公用語とする企業の出現、スーパーグローバル大学という政策、小学校から英語教育などがすでに生じており、日本国内でありながら「英語を公用語として日本語を禁止する英語特区構想」などが実際に検討されていることなどが取り上げられている。
「英語化」とは -
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ネタバレ英語化は愚民化 施光恒
母国語を捨て、外国語による近代化をはかった国で成功したものなどほとんどない。学問を英語で教えることにより、英語に時間をふんだんに割ける少数の特権階級だけが文化を独占することになってしまい、一般大衆と大きな格差と断絶が生じてしまうだろう。
モルレーは教育とは全世代までの伝統の蓄積にたって行われるべきものであり、まったく新しい基礎の上で成り立つものではない。
教育政策で変えていいものと悪いものがあるが、教育で用いる言語はもっとも変えてはならぬものと述べている。
近代化のプロセスで不可欠だったのが翻訳である。普遍と目された多様な外来の知を翻訳という作業を通じて各社会の -
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1章 中野剛志
日米同盟と自由貿易について。冷戦終結前後での意味合いの変化。米中関係の変化。
2章 関岡英之
日米構造協議、改革要望書に始まるアメリカによる日本の構造改革。
6章 施光恒
日本語による近代化の意義、明治日本の近代化における英語による近代化か日本語による近代化かの議論。
TPPによって壊される日本の良さとは
7章 柴山桂太
グローバル化の波。20世紀転換期、第一世界大戦、第二次世界大戦等。
グローバル化と国家主権の制限
などが各章のキーワードかな。3、4、5章は知識不足から少し難しかった。他の4人は他の書籍や講演などで背景知識もあり、とても読みやすかった。 -
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刺激的ではあるが、その通り。
明治維新後とか、戦後のローマ字か云々ではなく、経済界あたりが主導で今この現代で言うとること。
新自由主義だかなんか知らんが、金儲けしか考えられない一部の人間が、より効率的に自分だけが儲けるためにはどうするかを考えて、英語やろうぜと言ってる界隈。
日本の中で英語喋るやつと、喋らんやつの分断が生まれるし、英語がラテン語化することで、最先端の知識思想が独占される。
グローバルに見れば、英語圏の奴らをトップにした、無批判な文化と経済の侵略が進むってことだ。
それでいいって言う奴らは、自分たちがその側にいて、一部のエリートと、自分たちの言うことが理解できるくらいの愚民 -
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読んでる分には面白いんだけど、対談や鼎談は体系的な知識の獲得とか思考を深めるのには向いてない。話し手それぞれの認識レベルに相当な差があるので、読んでいて混乱する。この本の主題である新自由主義ですら、各人のイメージするものがバラバラで、新自由主義=積極財政みたいな「どっからそんな発想が出てくるの?」という発言まで出る始末。面と向かっては批判しにくいのか、意見の食い違いがあってもなんとなくスルーされてしまう。
なので読後感としては散漫な印象が残る。
とは言え、以前の単純な右と左の概念では人の志向が説明できなくなってきていることはよくわかった。トクビルがアメリカの教会組織で見出した中間団体が民主主義 -
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ネタバレ中間団体はグローバルと新自由主義に対抗するために必要な存在。
本来自民党はこうした中間団体を守るための政治をしていた。
聞く力は必要なこと。
しかしあらゆる意見を聞くということは、その実現が叶わなかった場合の責任が問われてしまう。
相手の意見を聞くよりも、自分の意見を通そうとする強烈な指導者としての魅力とは、関わる者の思考を止めさせ、目的に協力させることが出来る。一般人の教養を失わせしめるリスクはあるものの、分かりやすく、明確に目的を達成するためには、ある程度、意見の配慮より、実現の早さを目指す度胸も必要。
岸田総理には、有権者の意見を聴きながらも、確かに自己表明を貫く度胸を期 -
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岸田政権 新自由主義=アメリカ化 からの転換
改革(自己責任 無駄を省く 開かれた トップダウン)が下火に
新自由主義:政府の需要創出による経済けん引、所得の再配分 1970代後半
聞く力=矛盾した要望のバランス取り→わかりにくい→支持率低下
国際秩序作り:グローバル化 企業や資本家が政府に圧力 庶民の声→中間団体
日本の新自由主義 中間団体=既得権益層=隣の公務員=抵抗勢力への嫉妬心
今の若者は社会を変える から 自分を変えるに 変化 目標は 上からのミッション
成長を正しく目指す=成長ばかり(=新自由主義)にこだわらない
イノベーションは意図的に創出できない
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1970年代から上流階級のエリート層が上からの改革により、新自由主義に基づくグローバル化推進策が徐々に取られることよって、庶民層との新しい階級闘争が生じた。それに対する庶民層からの反発として、ブレグジットやトランプ大統領の誕生など、下からのポピュリストの反革命が生じている。
ニュースを見て、世の中がおかしな方向に動いているとの実感があったが、ようやく構造が理解できた気がした。解決のためには、労働組合などの様々な中間単体を再生し、庶民層の利益や見解を代弁し、政治に反映させる拮抗力か必要とのこと。
様々な物事は、振り子のように動きバランスをとるものなので、今は振り子が元に戻ろうとしている過渡期とい -
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近年の英語化、グローバル化に抱いていた違和感の正体が少しわかった気がする。確かに単純労働や介護とか、アジアの人呼んで低賃金で働かせたり、何でもかんでも欧米に迎合するのは違うと思う。ナショナリストではないけど、農産物とか、もっと自国のものを消費するようにしたい。
<メモ>
・福沢の元でも学んだ自由民権運動家・馬場辰猪(たつい)が森有礼の「英語公用語化論」に対しての批判
1)英語学習には大変な時間がかかり、若者の時間の浪費につながりかねない。学ぶことの多い若者の時間が無駄に費やされる。
2)英語を公用語化すれば、国の重要問題を論じることができるのが、一握りの特急階級に限られる。
3)社会を分断し -
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7名の方々がTPPについて反対の方向で書いているので、合意に至ってしまった現在、どうなっていくのか非常に気になる。
また、新聞・マスコミが取り上げる内容がいかに偏っているかを改めて認識。一般市民が得られる情報って限られるので、「興味を引くための内容」を掲載するのではなく、「国民が知っておくべき内容」を載せて欲しいものです。
個人的には、
・施 光恒さんの「棲み分け型の多文化共生」という考えが好き。
各国、各地域毎にそれぞれ自前のやり方があり、それらを尊重しながら、各国と交流する。良いところは積極的に学んで自国に合うように翻訳して還元する。
・やはり「日本良さって何だろう?」ともう一度考え直し