石川文康のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
「哲学は難しい」というイメージを絵に描いたようなカント。
わたしの経験では、「永久平和のために」は、あっさりと読めてしまったのだけど、主著とされる「純粋理性批判」は、全く歯が立たない。1ページも読めない感じですね。
カント自身による入門書ということになっている「プロレゴメナ」も数ページでギブアップ。
「日本語への翻訳が難しくしているだけで、日常的なドイツ語としてはそんなに難しくない」とか、「インドーヨーロッパ系の言語である英訳で読むと、意味が通じる」みたいなことをいう人もいた気がするが、アメリカで政治思想のコースを取ったときの先生も、「正直言って、カントは何言っているか、わからない」と言 -
Posted by ブクログ
[ 内容 ]
真理の最高決定機関であるはずの理性が人間を欺く二枚舌をもつとしたら、一大事ではないだろうか。
この理性の欺瞞性というショッキングな事実の発見こそが、カント哲学の出発点であった。
規則正しい日課である午後の散歩をするカントの孤独の影は、あらゆる見かけやまやかしを許さず、そのような理性の欺瞞的本性に果敢に挑む孤高の哲学者の勇姿でもあったのだ。
彼の生涯を貫いた「内面のドラマ」に光をあて、哲学史上不朽の遺産である『純粋理性批判』を中心に、その哲学の核心を明快に読み解き、現代に甦る生き生きとした新たなカント像を描く。
[ 目次 ]
第1章 純粋理性のアイデンティティー
第2章 カント哲 -
Posted by ブクログ
この薄さで『純粋理性批判』、『実践理性批判』、『判断力批判』さらには宗教論まで取り上げてくれています。
扱う内容は広いですが、これらに通底する「仮象批判」をテーマにしたことで、うまくまとめられています。
頻繁に参照すべきページが明示されて、復習しやすいのも好感が持てます。
ただ、それでも難しいです。
例えば、まずピンとこないのが用語ですが、「知性」「純粋理性」「理論理性」「実践理性」の違いは何だろうとか、引っかかるところがたくさん出てきます。
著者も「悟性」(P106)や「格律」(p163)といった語を排するなど気を配っていますが、それでも…
あと、個人的には直前に読んだのが戸田山和久『哲 -
Posted by ブクログ
大学1年だったか浪人生の頃、カント哲学(倫理学的な意味においての)を知った。
功利的な利益衡量に陥らない、頑として厳格な義務論を貫く姿勢(勿論万能ではないし「使い所」があるのは承知している)、何よりも、「人間への尊敬」、「汝の人格および他のすべての人格の内に存する人間性を、つねに同時に目的として扱い、決して単に手段として扱わないように行為せよ」という定言命法の異常な格好良さに圧倒的衝撃を受けて以来大好きに。
卒論もカントで書きました。
※例えば殺人事件があったとき、殺された人間がいかに人格の好い人物であったか、いかに周囲の人が悲しんでいるか、という報道があったりする。でも、それ(周囲の感情)