1.この本を一言で表すと?
・西郷隆盛が残した名言・遺訓集。明治という時代を築いた浮かれている同士たちへの苦言。
2.よかった点を3〜5つ
・徳さかんなるは官をさかんにし、功さかんなるは賞をさかんにする(p16)
→職位は人徳がない人がやってはいけない、人徳がない人が功績あげた場合は賞で報いる、
...続きを読むという考えは初めて聞いた。非常に納得感がある考え方だと思う。
・文明とは道の普く行はるるを賛称せる言(p48)
→西洋文明を鵜呑みすることなく、文明を本質が何かを西郷なりに理解した言葉。制度などの相違に関わらず一貫している道義があるかどうか、という考えはその通りだと思う。
・敬天愛人(p107)
→達観した考え方。この考え方が西郷は偉大とされる所以だと思う。
・道を踏むには上手下手も無く、出来ざる人も無し(p153)
→生きているうちには色々な事があり、苦しいことも数多くあるが、あまり関係なく、天から与えられた道をまっすぐ歩けばいい、と言ってくれるのはとても前向きで明るい。
・官位も金もいらぬ人は、仕抹に困るもの也。仕抹に困る人ならでは、国家の大業は成し得られぬ(p158)
→今の政治家にこのような考えを持っている人は少数だと思う。
・平生道を踏み居る者に非ざれば、事に臨みて策は出来ぬもの也(p169)
→ボーイスカウトのモットー「そなえよつねに」と同じ考えで面白い。
・南洲翁遺訓の成立事情(p208〜)
→なぜ戊辰戦争で敵対した、「庄内藩」の有志らによって編集されたのかがわかって面白い。本書は西郷の人間性によって生まれたといっていい。
3.参考にならなかった所(つっこみ所)
・似た内容の遺訓が多く、また解説も同じことを何度も言っている箇所が多く気になった。
4.全体の感想・その他
・為政者のあるべき姿を考え、政府の仕事を離れて客観的にみることができたから出来た本だと思う。
・若い時の苦労はしておくべきだと感じた。