山口昌男のレビュー一覧
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山口昌男
1931-2013年。東京大学文学部国史学科卒業後、東京都立大学大学院で文化人類学を専攻。東京外国語大学、静岡県立大学、札幌大学の教授を歴任。「中心と周縁」「スケープゴート」「道化」などの概念を駆使して独自の文化理論を展開した。『天皇制の文化人類学』 『文化と両義性』 『文化の詩学(I・II)』 『知の遠近法』 『「挫折」の昭和史(上・下)』 『「敗者」の精神史(上・下)』 『いじめの記号論』 『道化の民俗学』 『内田魯庵山脈(上・下)』(以上岩波現代文庫)、『アフリカの神話的世界』 『知の旅への誘い』 『文化人類学への招待』(以上岩波新書、『知の旅』は共著)など著書多数。 -
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ネタバレアフリカの神話における「いたずら者(トリックスター)」を題材として、彼らの神話の構造と意義を解説した書。著者がフィールドワークで収集したものも含めた様々な部族の「いたずら者」の物語を紹介しつつ、それらを構造主義の視点から比較・分析する。
本書は、アフリカ大陸で語り継がれる神話――その中でも最も大きなウェイトを占める「いたずら者」の神話を扱ったものである。東はエチオピアのアニュアック族から西のコードジボワールのアニー族まで、アフリカの諸部族で語られる「いたずら者」の神話を文字通り東西横断して収集し、構造主義的分析を行っている。なお、本書の内容は著者の過去論文「道化と民俗学」中「(六)アフリカ文化 -
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ユング派の臨床心理学者である河合隼雄さんの著作にはトリックスターという言葉が頻繁に出てくる。トリックスターという考え方はユングが発案者だからだ。
しかし、河合さんは山口昌男さんがトリックスターという言葉を使いはじめたのを知って自分も使い出したと告白している。
具体的にはここ、
p19「妖怪に策略で立ち向うという構造においてはヤマトタヶルの場合も、スサノオノミコトの場合も、基本的にはトリックスター「いたずら者」の英雄のパターンの上に成立しているということができるのである」
河合隼雄さんの「ブックガイド心理療法」の「アフリカの神話的世界」の紹介に、この文章をみて、自分が封印していた日本神話というテ -
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あの山口さんが、歴史シリーズの一冊として ”アフリカの歴史に関する本” を書いていたとは全く知らなかった。元版刊行は1977年なので50年近く前のこと。今でも日本ではアフリカ史に関する本はあまり刊行されていないが、この当時ではなおさらだっただろう。
著者は、「はじめに」でアフリカの歴史について次のように言う。「アフリカの歴史は、かりに、それがユニークな位置を、人類史の中で持つことができるとしたら、アニムスで固められた、他の諸大陸の文明史に対して、アニマの位置、つまり深層の歴史を垣間みせるところにある。いわば、論理とか、実証とか理性とか、機械的時間で固めて、人間の意識の真の土壌から切り離され -
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アフリカは暗黒大陸で近年まで未開のエリアというようなイメージを描きがちではあるが、ヨーロッパやアジア諸国同様、いろんな王国、帝国が興亡を繰り返し、地域独特の文化を育んできたことがわかる本である。
黒人奴隷というのも、単純にヨーロッパ敵国がアフリカの人々を浚って行ったのではなく、アフリカの列強が商品として奴隷を輸出していたと言う事もよく判る。
著者独特の語り口で読み物として面白い本だが、たんなる読み物ではなく、著者自身が描いたスケッチや詳細な図版が随所に挿入されており、本格的な歴史書になっている。フィールドワークで何度も現地を踏査している文化人類学者だから書けたものであろう。
また、ヨーロッ -
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[ 内容 ]
アフリカ各地での実地調査をもとに、文化人類学の神話研究の成果をとり入れて描き出されたアフリカの神話的世界。
異なった地域の原住民に伝わる神話を比較・分析し、神話の「伝播」と「変身」、さらに、その「構造」を考察する。
原住民の世界を内側から理解することを通して、私たちの世界との関係、「第三世界」の真の意味を明らかにする。
[ 目次 ]
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った -
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著者の論文やエッセイなどをまとめた本です。なお『山口昌男著作集』全5巻(筑摩書房)に収録されている論文も、一部含まれています。
チャップリンとならぶ喜劇王バスター・キートンに対する著者の偏愛が語られているいくつかの論考は、興味深く読みました。著者は、自身の道化にかんする思想にもとづいてキートンの演技を解釈しており、彼の身振りが日常生活からの逸脱であるとともに、新たに形成されるコスモロジカルなリズムに観客を巻き込んでいくと論じられています。
著者は、こうしたキートンの喜劇を、チャップリンのそれと比較し、チャップリンのばあいには「作品のなかで事物の世界がアニメートされることはほとんどない」と辛 -
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多摩市の市民講座で開講された「文化人類学入門」という連続講演をまとめた本です。巻末には、講座に出席していた大江健三郎の感想も収録されています。
本書ではまず、トロブリアンド諸島の「クラ」について調査をおこなったマリノフスキーについての解説がなされています。つづいて、モースの贈与論やレヴィ=ストロースの構造人類学などへと話が展開して、交易と互酬性が社会の基礎をかたちづくっており、文化のなかにおける家族・親族関係の基礎に通じるしくみをそこに見てとることができるということが説明されます。
さらに、レヴィ=ストロースの『親族の基本構造』における女性の交換の議論を手がかりにしながら、著者自身が研究・ -
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[ 内容 ]
ポーランドの知的風土に始まり、交換という経済行為の背後に見えがくれする宇宙論的構図、女性が開示する文化のルーツ、政治の演劇的解釈など、現実の多義性を読みとき文化の全体像を回復しようとする試み。
文化人類学が内包する知の挑発的部分のありかを示し、学問の形式を使って知の深層にふみこもうとする人のための入門書。
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