シモーヌ・ヴェイユのレビュー一覧

  • 重力と恩寵

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    凄まじい。彼女がノートに書き綴った箴言の数々を死後編纂して出版された本書は、どれも信仰への確信と悲痛なまでに苦しみを受け入れようとする決意に満ちている。その余りにも高尚なストイックさに最初は距離を感じたが、著者の人生を知って納得がいった。ユダヤ人の家系に生まれ哲学科の教師になるも、病弱で偏頭痛に悩まされる自己を顧みず農場や工場で働き出す。貧民の救済のために革命運動に身を投じ、世界大戦への抗議として行ったハンストで餓死するという生涯。逃れられない心身の痛み、そんな痛みと向き合う時に本書は最高の鎮静剤となる。

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    2013年03月08日
  • 重力と恩寵

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    ネタバレ

    重力が、愛と感じるか、それとも単なる重みでしかないと感じるかはその人によるだろう。ヴェイユは重力を逃れられない運命であると認識しているようだ。そして恩寵はその重力から開放されるものだという。
    重力を違う言葉で読み替えると関係ということになる。私達がいま生きて、重力を感じているのも、星同士の関係にあるだろう。ヴェイユは関係の働きかけが一方に傾くと違う方はおろそかになるという。
    そして、関係というのは主に思考のことなのだ。ヴェイユがのべたいのは思考と、それ以外のものの関係につきる。それ以外のものとは光のことだと。
    難解だがよみすすめてゆきたい。

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    2012年06月15日
  • 重力と恩寵

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    ネタバレ

     ヴェイユが思索の断片をつづった『カイエ』による箴言集。猛烈に毒があり、長く続けて読むのはつらいが、ときどき手に取りたくなる。強く励まされる言葉があるかと思えば、あまりの厳しい指摘に暗澹となることもある。

     「人に哀願するのは、自分だけの価値体系を他人の精神の中に力ずくででもはいりこませようとする絶望的なこころみである」
     「同じひとつの行いでも、動機が高いときよりも、動機が低いときの方が、ずっとやりやすい。低い動機には、高い動機よりも多くのエネルギーが含まれている。問題はここだ。低い動機に属しているエネルギーを、どうやって高い動機に移しかえるか」

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    2012年01月18日
  • 重力と恩寵

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    生きることはひとつの思想である。そして、死もまたひとつの思想である。神によりよく遣えるものは、必ず神の裏切りに逢う。なぜならば、神は人が神の力にすがって生きることを望んでいないから。そう信じて、無神論者こそがよりよく神の教えに遵う者だと言い切った、異端の人。貧困のものが自分の糧をたよって、その財を盗むならばそれは構わないと信じて、家のテーブルの上に財布を投げ置いたという、そんなエピソードを持つ。ヴェイユは生きることが思想であることを知っていた人なのだろう。そして、嘘か真かはさておき、民衆のために命を投げ打つ思想を生きて見せてキリストのならいを忘れずに、自分もまた神の手をまたずに、自らに鞭打ちな

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    2009年10月04日
  • 重力と恩寵

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    -服従は、最高の徳である。必然を愛すること-

    フランスの女性思想家で、1943年34歳のとき、食物を拒否し、死去したシモーヌ・ヴェイユ。論理的で、鋭く、激しいまでに厳しい言葉の数々は魂を揺らします。世事にキュウキュウとして弱弱しくなっている自分に喝!

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    2009年10月07日
  • 工場日記

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    同じ頭痛持ちとして、頻出する頭痛の訴えがとにかく胸に迫り、痛ましかった。私には無理だ…。
    他者という人間を人間扱いする、こんなシンプルなことが実は非常に難しく、私たちは誰一人としてできていないことを日々痛感している。せいぜい、半径1mの手が届く人間のことしか本当に「人間」としては考えられない。コミュニティを形成して生きる人間のそうした致命的な欠陥に、机上の哲学ではなく全身全霊の愛をもってぶつかり、当事者意識という言葉を超えた実践を行った人だ。

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    2023年04月17日
  • 根をもつこと 上

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    まだ上巻だけしか読んでないんで、読んでいる最中にとったメモを書いておく。

    ・ヴェイユは「キリスト教的世界」と「宗教」をいかにしてつかいわけているか、いないか。

    ・労働に詩情が生まれると、それが同じ労働同じ結果ならば、より純度の高い服従(=隷属的な)になるのではないか。

    ・「思想」というものの硬さに慣れない。

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    2013年03月21日
  • 根をもつこと 下

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    ヴェイユには特に関心を持っていないが、観念論に走ることなく、実際に工場で労働するなど誠実な行動と、その生活実感に基づいた言説には好感が持てる。
    この「根をもつこと」はヴェイユの晩年、第2次大戦下に、ナチス=ドイツに敗北した故国フランスからのがれ、亡命先で故国のための活動を志願したところ、戦後のフランスのために精神的支柱となるような本を書け、と言われて書いた本。ということらしい。
    上巻の第1部では、人間の義務や集団に関して、短い倫理的な考察が並ぶ。その後の章では、歴史における「力」の推移などが考察され、とりわけヒトラーをめぐる記述に興味ひかれる。
    「われわれのいだく偉大さの(誤った)構想は、まさ

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    2012年01月04日
  • 重力と恩寵

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    エックハルトに続いて再読。文庫派なので、カイエは買わない。認識のレベルでなく、現実の苛烈な生活の中で魂の真空化=自己の蒸発を実践して行く様は壮観だけど、コワイよこの姉さん。高野悦子の「二十歳の原点」思い出してしまった僕はダメ男ですか。そうですか。ふと想像したんだけど、この徹底的に下降してゆくことで一発逆転して天上へ離脱していこうとする女性の、日々の生活のメモ群が、現在の日本のweb日記文化の中で展開していたらどうなったろう?故・南條あやのメールサイト(町田あかね時代の方ね)を超えるサイトになったんではなかろうか。おっと、妄想が過ぎたね。

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    2009年10月04日