村井章介のレビュー一覧

  • 古琉球 海洋アジアの輝ける王国

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    「古琉球」は、慶長14年に薩摩の島津氏に征服される以前の琉球をさす言葉。 
    古琉球の時代、琉球は大和政権やその後を承継した政権のコントロールの埒外にあり、むしろ中国王朝の柵封体制の元にあった。
    それ故に、その歴史を再現する史料、古文書類がたくさん残されている。
    琉球王朝の話は、燃えてしまった首里城や県立博物館でさらえたが、復習も兼ねて面白く読ませて頂いた。
    琉球とアイヌは日本という国を考えるに当たって勉強しておかねばならないのである。

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    2024年08月21日
  • 古琉球 海洋アジアの輝ける王国

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    【世界をつなぐ海の王国】
    「古琉球史はなんてったっておもしろい」で始まるこの本は前近代の琉球について、各国に残るありとあらゆる史料と人種論・言語などから分析したもので、日本とは異なる独自の文化があったことがよくわかる。琉球人の起源(確かなことはわかっていないが)、その後中国文化が流入。王国が誕生して東南アジアと明とをつなぐ「中継貿易」で栄える。世界に開かれた繁栄の時代を経て島津氏の琉球征服。1冊に収まっているのが嘘のような圧巻の内容だ。

    沖縄の歴史というと近代以降の琉球併合や第二次世界大戦前後についてばかりだが、古琉球の時代を知り日本史とも並行してみてみたい。たとえば遣唐使のころ奄美からの貢

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    2023年05月01日
  • 世界史のなかの戦国日本

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    16世紀にアジアとヨーロッパが繋がり、世界史の中に日本が大きく登場する事となったきっかけ、明との関係、銀山の発見採掘を述べ、如何に16世紀が流動的な社会だったのかが分かる。

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    2023年11月04日
  • 北条時宗と安達泰盛 異国合戦と鎌倉政治史

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    時宗の誕生から霜月騒動までを対象に、幕府が構造的に抱えていた限界を改革しようとした状況が書かれています。
    絵巻や彫刻、宗教など多様な視点を取り入れてるのは興味深かったです。

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    2023年07月09日
  • 北条時宗と安達泰盛 異国合戦と鎌倉政治史

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    2001年刊行本の文庫版。時宗の誕生から霜月騒動までを対象に、蒙古襲来前後の権力構造の変質と政治改革の挫折の過程を描く内容。禅宗系史料から見る時宗の人物像や、泰盛の目指した体制の考察など興味深い内容だった。

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    2023年04月17日
  • 古琉球 海洋アジアの輝ける王国

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    海洋アジアに足跡を残す、古琉球の成り立ちから終焉までを、
    多彩な史料を読み、検証して、明らかにする。
    序論  古琉球から世界史へ
    第一章 王国誕生前夜
    第二章 冊封体制下の国家形成
    第三章 冊封関係と海域交流
    第四章 和/琉/漢の文化複合
    第五章 王国は滅びたのか
    文書、碑文、書簡等の画像豊富。各種地図有り。家譜有り。
    引用文献・参考文献有り。
    かつては、ヨーロッパの古地図にも記されていた、琉球。
    ヤマト(日本)のみならず、中国や朝鮮とも関わりを持ち、
    シャムやマラッカ等の東南アジアとも取引をする貿易の中継基地
    として、発展しました。
    その歴史、かな文字や漢字、異なる宗教をも取り入れる柔軟さ。

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    2019年09月09日
  • 世界史のなかの戦国日本

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    第1章は総論。教科書を読んでいるようで、なかなかスピードに乗れなかったが、2章以降の各論は楽しめた。日本の辺縁部と世界との繋がりは興味深い。しかも、中央集権が完成前夜の地方の大名・豪族の動きや、海を越えて密貿易するしたたかな人々。古琉球の章では『テンペスト』を思い出した。鉄砲伝来も教科書では説明されない密貿易者との関連が面白い。日本銀(石見銀山産)が朝鮮や明国に与えた影響に思いをはせると、世界が繋がっていることが改めて実感される。

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    2018年09月15日
  • 世界史のなかの戦国日本

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    きちんとした歴史学者の著作なのでやや堅苦しいが、面白い。日本中世から近世への移行期を、東アジアをはじめ、世界史の中の広い視野で位置付けて考えるために、大いに参考となる本である。
    こういう本を読むと、まだまだ知らないことは多いし、分からないことも多い、と痛感させられる。統一的な整合性ある理論で歴史を語るには、余りにもこの社会は複雑、多様で、多くの人々の動きで成り立っているのだと考えさせられる。

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    2014年03月20日
  • 増補 中世日本の内と外

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    中世日本史を専門とする村井章介先生の一般向け書籍。

    東アジア諸国との関係が不安定になり市井の日本人や韓国人、中国人の相互の感情が悪化していく今において、改めて東アジアにおける日本とは何かを考えるにあたってよい材料となる本でした。

    大学生向けの入門授業のノートをもとに構成したという本書は、現代とは異なる中世日本をを素人にもわかりやすく展開しています。
    この本のテーマは日本中世の国際交流や交易について。
    元寇・日宋貿易・日明貿易といった高校の授業で出てきたキーワードについて、貴族や幕府などの中央権力だけでなく相手国の状況や実際に交易に携わっていた人々についてもその実態を明らかにすることで、中世

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    2013年04月14日
  • 北条時宗と安達泰盛 異国合戦と鎌倉政治史

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    学術書。最近でた学術好きは ほう となるような発見があったりするもの。この本は大河ドラマの時期に出版され、最近の発見をふまえ少し改稿されたもの。わかるのは権力の継承はスムーズになされなかったことぐらいか。

    ※評価はすべて3にしています

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    2022年07月14日
  • 北条時宗と安達泰盛 異国合戦と鎌倉政治史

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     元寇の際の鎌倉幕府執権の座にあったことで有名な北条時宗であるが、実はそのひととなりを物語る史料が極端に少なく、具体的な人物像を描くことは難しいとのことである。
     そのような中ではあるが、様々な史料を博捜して時宗の人物像に迫ろうとしたのが本書の特徴である。あわせて、時宗を支えたものの時宗死後、いわゆる霜月騒動で落命した安達泰盛にも焦点を当てて、将軍権力と北条得宗体制との桎梏、元寇後の政治改革の在り様等が論じられる。

     元寇については関係書籍も読みある程度の知識は持っていたが、霜月騒動のことは御内人と安達氏の争いといったことくらいしか知らなかったので、本書を読んで、背景にある対立の所在について

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    2022年06月30日
  • 古琉球 海洋アジアの輝ける王国

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    世界のネットワークに繋がってた、琉球。大航海時代のヨーロッパから見ると、鎖国を敷いた日本より、琉球国の方が、大きな存在だった。それを現してか、ヨーロッパで作成された世界地図の中で、日本よりも琉球の方がかなり大きく描かれていた。

    様々な地域と繋がり、交易をすることで生き延びる戦略は、弱者の闘い方として参考になる。小さなベンチャー企業が生き延びるには、ネットワークを張り巡らさなければいけない。

    開かれた繋がりという点では、琉球はインターネット的なのかもしれない。さらに、交易を促進するために内部に華人を取り込むなど、多様性やフラットな関係という考え方もある。非常に先進的な考え方を持っていた。

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    2019年07月26日
  • 増補 中世日本の内と外

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    全て理解できていない。理解を進めるには、朝鮮史や中国史も知る必要がある。中世の境界に対する意識にせまるという視点が興味深い。国境や一つの国家という概念が生じたからこそ、国際化は難航しているのかもしれない。多少脇道にそれるが、外国人労働者の劣悪な労働環境や、インドネシア?などからの看護師?の受入がその例。異文化を「異」文化と感じなくなったとき、本当国際化にボーダーレス化がなされたといえるのだろう。外国に対する意識が中世日本に逆行しているという指摘が新鮮だった。江戸時代においても、知識層にとっては鎖国は鎖国でなかったことを踏まえると現在の国際化の進度は、単に本来日本は開かれたものであるという意識が

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    2014年12月12日
  • 増補 中世日本の内と外

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    中世史概観、特に孤立主義と国際化を試みたリーダーという構図や、9世紀から16(17?)世紀までの長い中世像は一種の古典的価値か。
     ただ、足利義満に関する評価が今では異なっている、など、統一感を優先して議論をアップデートしなかったのはどうなんだろう。お弟子さんによる解題も必読というのは古典ならでは、か。

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    2013年04月04日