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「昭和」には生きるヒントが詰まっている!
「生きていれば、きっといつかいいことがあるはずだ」――人々が楽観的かつ貪欲で、明日へのエネルギーに満ちた「昭和」という時代は、世界の歴史の中でも特に興味深い時代だったとヤマザキマリは語る。先を見通せない不安と戦う今、明るく前向きに生きるヒントが詰まった「昭和」の光景を、様々な角度から思い出しながら丁寧に綴った考察記録。ヤマザキマリ流・生き方指南。巻末に「ヤマザキマリ年表」付き。
「私にとっての昭和がサバンナだったとすると、そこで培ったエネルギッシュな精神はその後イタリア、シリア、アメリカといったそれぞれまったく要素の違う国々に移り住んできた私の、世の中なんでもあり、という適応力につながったと言っていい。様々な不条理と向き合わされ、孤独に打ちひしがれてもなんとか頑張ってこられたのは、あの時代の人々の暮らしや漫画やテレビなどからタフに生きることの重要性を学習できていたからだろう。
移り変わる時代の中で、ときどき、過去の人々の思想や社会のあり方が現状の問題解決に対しての良いヒントとして活かされるように、昭和にもそういう要素はいくつもあるはずだ」──あとがき「昭和というサバンナ」より
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Posted by ブクログ
多様性を楽しむ生き方
「昭和」に学ぶ明日を生きるヒント
著:ヤマザキ マリ
紙版
小学館新書 S や 7
昭和の光景を、様々な角度から思い出しながら丁寧に綴られた考察記録とある
ヤマザキマリの残像、昭和は、明日へのエネルギーに満ちた、世界の歴史の中でも特に興味深い時代であった
過ぎ去った今、昭和の風景が再び脳裏によみがえってくる
本書は、「昭和」への賛歌であり、「昭和」への惜別の書である
気になったのは、以下です
・母の頑なにスナックを敵視する姿勢が反面教師となり、私が母の目を盗んでこっそりスナック菓子を買い食いするようになってしまったのも、当然というべき成り行きだった
・私にとってはお腹を満たすためだけの夕食のおかずよりも、製菓会社が様々な知恵を絞った新商品を見つけて、味見をするほうが大事だった
・母は、おまけ、が、ついているお菓子を邪道と称して嫌っていたが、私も、おまけ、には、特別興味はなく、どちらかといえば、味覚や形状に斬新なアイデアが駆使されたものに興味を刺激された
・当時のイタリアに関する知識といったら、男性は皆女性の前で跪いて手を広げながら歌を歌っているという印象と、縞シャツを着たネズミのトッポ・ジージョしかない
・家族が生きていくための商売を子供たちが手伝うのはあたりまえのことだか、先進国においては、未成年の子供に自分たちの商売を手伝わせる行為は何がしかのハラスメント、という扱いになってしまう
・彼らの前にはクレイジーキャッツという、これまたぶっとんだグループが活躍して日本中を笑いで沸かせていたが、ドリフの笑いはその進化系だ
・見てはいけない、と言われるほど、見たくなるのが、子どもたちの、いや、人間の心理である
「開かずの扉は、開けるためにある」
・昭和の時代は、そもそもアイドルは単独勝負だった
たったひとりで大勢の人を圧倒する力を容姿・仕草・歌で発揮させなければならないのである
自分の力次第で所属する事務所の景気が左右される
10代半ばで皆そんな責任感を背負って立たせていたのだ
昭和はアイドルもヒーローもたったひとりで、大きなステージに立つスタイルが民衆の気持ちを揺さぶる時代だった
・そうだ、大人になったら兼高かおるになろう
小学生の私はテレビの前でひとり宣言をし、兼高さんという女性に憧れを抱き続けた
・人生の不条理に襲われ途方に暮れていたに違いないが、頑固で弱みを見せるのが嫌いな母は当時を顧みて語ったことがない
・本当に結婚したいと思う人があらわれるまでは、結婚しなくていい
結婚すれば何かが解決するとか、幸せになるとか、経済的にも困らないとか、そんな風に考えていたら大間違いだからね
・周りの友だちは、「お嫁さんになりたい」という子がたくさんいた時代なのに、母は結婚に対して夢も希望も持つなと頑なに私たちに教示した
・島国に生きる日本人に、大陸で暮らす人々とはまた違ったメンタリティが育まれるのは自然の摂理だと思っているし、国はやたらとグローバリズムを掲げるが、文化や民族の混沌になれてない日本人にとっては簡単なことではないはずだ
・昭和の大きな特徴は、きっとそこにある
私が子供だった頃の日本人は世の中には思い通りにならないこと、見たことも聞いたこともないこと、とんでもない不条理なことが、てんこ盛りにあるのだということを身をもってわかっていた
・昭和の人間は不条理を避けようとはせず、むしろ積極的い向き合っていた
人間の社会は様々な生きづらさで満ちており、そう簡単に幸せをつかむことはできないことを子供たちも認識していた
・結局どこの時代に行っても人々は、「あの時代はよかった」と思いを馳せてしまう性格だということだ
私も昭和については喜んで思い出すけれど、別にあの時代に戻りたいなどとは思わない
目次
1 おやつに問われる想像力―ジャンクな菓子に胸が躍った時代
2 昭和的「自分の演出」―手作りで着たいものを作った昭和
3 懐かしい風景―昭和の下町商店街には人情があった
4 家に魅せられて―昭和は家に気兼ねなく人が集まった
5「おおらか」がいい―昭和は道端にエロ本が落ちていた
6 CMの創造性―昭和のCMには遊びや知的教養があった
7 昭和のオカルトブーム―童心大人から勇気をもらった
8 憧れた大人のかたち―前に進んだ昭和一桁世代の女性
9 私とエンタメの世界―昭和の点が線につながっていく
10 大気圏の中で生きる―貧しくても裕福でも、生き方は人それぞれ
11 地球人類みな兄弟―昭和は多様性社会だった
12 昭和流のいじめ―いじめっこのバックグランドが見えた時代
13 24時間、働けますか―昭和の仕事人
14 孤独を自力で支える家族―離れていてもつながっている共同体
15 幸せは待っているだけでは訪れない―人生100年時代の老後、終活
16 不条理と向き合う生き方―孤独を味方にしていた昭和漫画の主人公たち
昭和というサバンナ ―あとがきにかえて
ヤマザキマリ年表
ISBN:9784098253883
出版社:小学館
判型:新書
ページ数:256ページ
定価:840円(本体)
2020年12月01日初版第1刷
Posted by ブクログ
ヤマザキマリさんに魅せられて6冊目。
「昭和の社会がサバンナだとしたら、現代の社会はよくできたサファリパーク。動物は人間に管理され、鋭い本能や直感を発揮する機会がない。」
自分のコミュニティに同化しない者を排除し、非難し、自分に優しく脆弱になっているのが現代かもしれない。時々呼吸困難になりそうな閉塞感。
確かに遊びやゆとりのあった昭和時代には明日は今日よりよくなるみたいなエネルギーがあった。CMにそれを感じていたというヤマザキマリさん。確かにそうかもしれない。私は野坂昭如さんの「ソソソクラテスかプラトンか」のCMや「大きいことはいいことだ」の山本直純さんのCMが忘れられない。知的教養やあそび、創造性があったよなあ。
ヤマザキマリさんの本を読むと、世の中には思い通りにならなくて、不条理なことがてんこ盛りだってことを早くから経験した人の強さを感じる。そして自分にもエネルギーがチャージされる。ありがたい。
Posted by ブクログ
昭和を振り返りながら世の中を見つめるエッセイ。
お母さま含め、常識にとらわれない破天荒とも言える生き方が、私からすると興味深く面白い。
いじめの章にあった
「宗教的拘束のない日本では「倫理」は世間体であり、その戒律は厳しい。聖書のような文字として記載されているものでもないし、しかもその概念は時代によって流動する。要するに空気をしっかり読んでいないと、うっかり戒律に反してしまいかねない。人々は日々、この世間体という透明な法に従って、周囲に違和感を与えないように生きていかねばならないわけだ」
という文章にはとてもハッとした。日本社会の生き辛さの原因はこれだ!と。こうも端的に文章にされたものに初めて出会ったし、納得感がすごい。
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