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Posted by ブクログ
人怖ホラーに分類されるのだろうか。怖いくらいに面白い。
『罪と罰』階段から突き落とされた、一見好青年の大学生が隠していた裏の顔。
『消える』弟を愛するあまり憎悪で縛りつける兄。
『ミーナ』息を吐くように平気で嘘をつく女子高生。
『虫食い』学級委員としていじめにも立ち向かう優等生の男の子が隠す「虫食い」という秘密。
彼らの「罪の名前」とは何なのだろうか。共通しているのは、自分の罪に対する意識の薄さ。
どの短編も心がざわつくのに、読む手が止まらない。何か見てはいけないものを見てしまったような、得体の知れない読後感が残る。
罪の向こう側には、私の想像も及ばないほどの幸福があるのだろうか。
そんなことさえ考えてしまう、癖になる傑作集だった。
Posted by ブクログ
初めて読む作家さんの本。シンプルにとても面白くて、あっという間に読んだ。
読み終えて、これまで知らなかった木原音瀬さんについて検索してみたら、基本はBLの作家さんらしい。今年の中頃に読んだ凪良ゆうさんも確かそうだったけれど、BL作家が書く一般作というのは、直接同性愛的な描写はなくても、BL作家という下地を感じる部分があるのだな、と(この小説は直接的な描写も少しあったけれど)。知らないまま読んで、読み終えた後に知ったので、知ってから「ああ!そういえば!」と気づく感じがとても面白かった。
カテゴリで言えばミステリ系が四編の短編集。
がっつりミステリ(殺人がある)もあるけれど、四つのうち三つは、人間の暗部を追求するのがメインで描かれている。
「ひとの見てはいけない部分」を覗き見する、ぞくぞくする感じが存分に味わえる。
一冊通して言えるのは、すべての作品に、生まれながら、もしくは育っていく過程である程度幼い頃からあった、極端な性癖や病的な部分を持つ人間が登場するということ。本人が主人公である場合もあれば、その人に触れたり巻き込まれたりする人物が主人公である場合もあり、どことなくつめたく、距離を置いた雰囲気で描かれている。
病的で近くにいたら困る…困るどころではないが…みたいな人間たちばかりなのだけど、おそらく現実にもいるのだろうと思わされる。病的な嘘つきなら、私も実際知り合ってしまったことが過去にあったし。
内容も面白かったし、文章の雰囲気も好きだった。静かで淡々としていて、だけど(だからこそ?)ぞっとする感じ。
この作品以外の既刊のものはどうやらほとんどがBLみたいだけど、読んでみたいと思った(その世界ではとても有名な方らしい。勉強不足でした)。
表紙の帯にある「この人たち、どこか変だ」というフレーズがとてもぴったりな作品。表紙もとても良い。
Posted by ブクログ
日向には秘密がある。口の中で生き物の蠢きを感じるのが楽しく、虫などを食べるのがやめられない事。気味悪がられるその秘密を知りつつ、唯一守ってくれるのが、幼馴染の隼人だった。(虫食い)
虫や小動物を食べたり、嘘をついたり。人間の罪を描く4編を収録した短編集です。
嘘や虚栄心、独占欲、まだ息のある生物を食べてみたいという欲。それだけなら、すぐに罪に直結するようなものではないかもしれない。けれど、一歩踏み外してしまった時、欲はたやすく罪に落ちてしまう。
人の本性を見せられているようで、生々しくグロテスクなのにどこか耽美で儚い。心が毛羽立つような作品集。
息を吐くように嘘をつく人間の話の、『罪と罰』『ミーナ』の2作が特に、社内などにいても不思議ではないリアリティと不気味さがあり好きでした。
ちなみに、『罪の名前』というタイトルですが、表紙に書かれている英題は『original sin』つまり原罪。道徳的な弱さや堕落なのか、人間(他人)には完全には理解することができない神秘だとか、何を思ってこの題にしたのかも気になります。
初読の作家さんで、調べてみた所、メインはボーイズラブ小説界で活躍されている方のようです。そういわれると、ほんのり(『虫食い』と『消える』に関しては割としっかり)そのような要素も感じるかも。
Posted by ブクログ
初めて読む作家さんです。
どんな話が入っているのかと、ワクワクして読んだ。
四つの作品全てがとんでもなく珍味な作品でした。
一話目と三話目は、平気で息をするように”嘘”をつく人物の恐ろしさが詰まった作品。
二話目は歪んだ弟への感情を持った兄の、細やかな感情が感じ取れて、狂気すら感じた。
四話目に関しては、もうぶっ飛びすぎて、理解不能であった。
虫を食べたり、ここには書けないようなとんでもない性癖が、下手したら吐き気を感じるほど強烈で、衝撃的だった。
自分がまだこの作家さんのインパクトについていけていない。
それだけ個性に溢れた素晴らしい作品であった。
Posted by ブクログ
人怖の短編4作
◼︎罪と罰
不憫な男性患者に同情しながら、その回復経過を見守る担当医のお話。徐々に化けの皮が剥がされていくような展開で怖かった…、人は見かけによらない。
◼︎消える
美しく生まれた「弟」のことを誰よりも愛していた「兄」が遺した手紙から始まるお話。(まるで愛したことを懺悔するかのような内容が太宰治の『駆け込み訴え』のよう。)偶然その手紙を読んでしまった他人が、好奇心から「弟」のもとを訪れる。「兄」から「弟」への伝わることのない愛情も、第三者の介入・好奇の目も痛々しい。
◼︎ミーナ
転校して間もない女子高校生と、転校して最初に親しくなった後ろの席の女の子とのお話。息をするかのように吐く嘘に、さらに嘘を重ね、妄想と現実の区別さえ不鮮明な感じが病的で怖い。
◼︎虫食い
ある男子高校生の特殊な性癖についてのお話。タイトルのまま、もう、読みながら想像して色んな意味でぞわぞわが止まらず…。どんどんエスカレートしていくのも、中盤からの猫の話もショッキングで、とにかく強烈…。
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