健康的で清潔で、道徳的な秩序ある社会の不自由さについて

健康的で清潔で、道徳的な秩序ある社会の不自由さについて

1,980円 (税込)

9pt

現代人が課せられる「まともな人間の条件」の背後にあるもの。

生活を快適にし、高度に発展した都市を成り立たせ、
前時代の不自由から解放した社会通念は、同時に私たちを疎外しつつある。
メンタルヘルス・健康・少子化・清潔・空間設計・コミュニケーションを軸に、
令和時代ならではの「生きづらさ」を読み解く。

社会の進歩により当然のものとなった通念は私たちに「自由」を与えた一方で、
個人の認識や行動を紋切型にはめこみ、「束縛」をもたらしているのではないだろうか。
あらゆる領域における資本主義・個人主義・社会契約思想の浸透とともにうつろう秩序の軌跡と、私たちの背負う課題を描き出す。

かつてないほど清潔で、健康で、不道徳の少ない秩序が実現したなかで、
その清潔や健康や道徳に私たちは囚われるようにもなった。
昭和時代の人々が気にも留めなかったことにまで私たちは神経をつかうようになり、
羞恥心や罪悪感、劣等感を覚えるようにもなっている。
そうした結果、私たちはより敏感に、より不安に、より不寛容になってしまったのではないだろうか?
清潔で、健康で、安心できる街並みを実現させると同時に、
そうした秩序にふさわしくない振る舞いや人物に眉をひそめ、
厳しい視線を向けるようになったのが私たちのもうひとつの側面ではなかったか?(「はじめに」より)

【著者略歴】
熊代亨(くましろ・とおる)
1975年生まれ。信州大学医学部卒業。精神科医。
ブログ『シロクマの屑籠』にて現代人の社会適応やサブカルチャーについて発信し続けている。
著書に『ロスジェネ心理学』『融解するオタク・サブカル・ヤンキー』(ともに花伝社)、
『「若作りうつ」社会』(講談社現代新書)、『認められたい』(ヴィレッジブックス)、
『「若者」をやめて、「大人」を始める』(イースト・プレス)がある。


【目次】
第一章 快適な社会の新たな不自由
第二章 精神医療とマネジメントを望む社会
第三章 健康という“普遍的価値”
第四章 リスクとしての子育て、少子化という帰結
第五章 秩序としての清潔
第六章 アーキテクチャとコミュニケーション
第七章 資本主義、個人主義、社会契約

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健康的で清潔で、道徳的な秩序ある社会の不自由さについて のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    現代日本社会におけるモヤモヤを、はっきりと文章化したこの書籍は、「繰り返しの部分いらないんじゃ...」「このロジックは本当かなあ」と思った部分を差し引いてもなお、もう一度読み返したいと思える良著だと感じた。

    0
    2021年11月06日

    Posted by ブクログ

    タイトル通りのことが何回も繰り返して書かれていました。引用を多用しているので仕方ないのかもしれないですが、頑張れば1/3の厚さにできると思いました。

    内容に関しては、他の方がおっしゃっているようにレイヤーが一層上がる視点をくれる良書だと思います。
    日々、便利だし他者から見たら幸せな環境なのに生きに

    0
    2021年08月09日

    Posted by ブクログ

    現代において当たり前のものとされ、もはや個々人に内面化されてしまった様々な通念が、果たして本当に所与のものであり、逃れられないものなのか。
    読後は価値観がアップデートされる感覚があった。

    0
    2021年07月10日

    Posted by ブクログ

     今の日本人は世の中の秩序を重んじるばかり、子供を産み育てるということを、究極のリスクファクターと捉えるようになってしまった。

     子供は社会のマナーや常識を身につけるまでは、人様に迷惑をかけるというリスクを持つ。怪我をしたり病気になるリスクをもつ。落伍者や犯罪者に育つというリスクを持つ。最も秩序か

    0
    2020年12月19日

    Posted by ブクログ

    普段の生活の中で、子育てを通じて、ここ15年くらい息苦しさを感じていたものの正体を、ハッキリと体系的に自覚させてくれた。
    マイノリティの視点で、今の社会への気付きを与えてくれるが、では自分はこれからどう生きていきたいと考えているのか、あらためて考える機会となった。違和感に蓋をして秩序ある社会の恩恵に

    0
    2020年12月01日

    Posted by ブクログ

    分析は鋭いが,著者も認めるようにスケッチに留まり,結論がぼやっとしている。まぁ,「ディスカッション」のとっかかりと言うことだろう。
    資本主義・社会契約・個人主義が根本にあるが,社会契約というのが何を意味するのかがイマイチクリアではないように思う。
    現代日本における自由を考えるテーマを与えてくれる。

    0
    2024年10月21日

    Posted by ブクログ

    本書では、日本社会を「健康的で清潔で、道徳的な秩序ある社会」とし、その社会の在り方を肯定はしつつも、人のあり様が社会に規定されていること、そして、その社会の枠に入ることのハードルが時代とともに高くなっていること、枠に入ることが難しい人が増えていることを指摘しています。

    私は日本以外の先進国と後進国

    0
    2024年07月10日

    Posted by ブクログ

    この方向の議論をまとめてくださっている本。空間を使って人の行動を統制するところ、福祉とも関係が深い。結局、自由な選択が不自由を感じさせ、一見寛容な社会の中で、苛立ちが亢進する。選択や契約に関係のないものは、雑音であり、迷惑であるとなってしまう。

    0
    2023年03月14日

    Posted by ブクログ

    秩序が最適化された日本でどのような振る舞い、行動で生活しなくてはならないのか。昭和の時代と令和の時代(平成)と比較して描かれていた。

    行き過ぎた取り締まりは、反感を生むだろうし、行き過ぎた清潔は、不潔とする人がターゲットにならざるを得ない。

    しかし個人主義を尊重する余り、それが返って不自由になっ

    0
    2023年02月01日

    Posted by ブクログ

    『健康的で清潔で、道徳的な秩序ある社会の不自由さについて』というタイトル通りの内容。

    現役の精神科医である筆者が、現代社会の生きにくさについて語った本である。

    いまの日本は昭和の時代から比べれば、医療福祉、都市設計に至るまで、キッチリと整理の行き届いた社会となっている。
    発達障害など、現代の日本

    0
    2022年11月25日

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