【感想・ネタバレ】健康的で清潔で、道徳的な秩序ある社会の不自由さについてのレビュー

ユーザーレビュー

Posted by ブクログ 2020年09月27日

今の生活に感じる違和感を、歴史、社会史などを交えながら詳細に紐解いていく内容。感覚的に感じていた事に光が当たり、ハッキリとしていくような感覚。

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Posted by ブクログ 2020年09月13日

・元々ブログをよく読んでおり賛同できる意見が多かったのと参考文献の多さと面白さに興味が出たので購入。最近読んだ学術系の本よりもより共感しやすい。
・社会が健康や正しいとする価値観に向かってあらゆる行動が環境、規則の両面から方向付けされ、そこから外れた生活ができなくなっている、閉塞感について書いた本。...続きを読む
医療や行政が現代の価値観に沿った生活ができることを目指しているのは単純にあるべきサービスで歓迎していたけれど、そうした価値観の再生産に寄与している、いうのは納得。ここは筆者の専門領域なのでもっと掘り下げて読んでみたかった。健康が純粋な自然科学の世界を超えて今では社会的に優越した個人を顕示する手段となっている、というのも、健康でマウンティングしてくる人種をよく見ているので実感できる。あれは快活さを善とする価値観とも相まって社会でのランク付けや出世に効いてきてると思う。現代の価値観を突き詰めれば出産育児は選択できないというのも深い実感がある。
・一方で昭和を美化しすぎているように見える。昭和が多様な生き方を許容していたのかは三十代で年配者層の営業ノリで疲弊した自分としてはどうにも実感しがたい。個人主義が欧米と比べて社会に根付く前に社会制度だけ出来上がってしまった事を一因としているが、そこも欧米との比較待ち。
・これに何か対策を示しているわけではないけれど、生きづらさを個人の問題に矮小化せず社会に対して問題提起をしていく必要があるのでは、という最終章のまとめには前半の観点から深く納得できた。
・『いかにして民主主義は失われていくのか』を大きく参考にした、と紹介されていたので、そちらを読んでから本書を読んでみたのだが、考察の射程を新自由主義から社会の多様な秩序に広げておりかつ生活で実感できるさまざまな事例が散りばめられており(*)、視野の広さと落とし込み具合に感嘆した。前述の参考書籍を読んだ時には自分にはこんなに違う観点からは考えられなかった。中身の是非は置いておいてもそれだけで発見だった。
(*)政治思想の学術書とブロガーとしての社会学的な意見、という大きな違いがあり勿論どちらの本が良いとかいう話では無い(前者が個人的につまらなかったのは事実だが)
・ただこのラノベみたいなタイトルはどうにかならんかったのか、、妻にそんなタイトルの本買って恥ずかしくならない?とか言われた泣。いえ、内容に沿っている時点でタイトル詐欺の本よりはましです。

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Posted by ブクログ 2020年08月20日

適応できない者を枠外に追いやる住みやすい社会、病的な健康志向、子育ての全責任を親だけに押し付ける社会…なるほどと思わせることばかり。
うまく適応できている人にとっては今は気にならないのかもしれないが、ある日突然枠外へ放り出されるかもしれない社会であることを自覚することの大切さ。
解決策はこれからの課...続きを読む題だがこういう問題提起は大事。

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Posted by ブクログ 2020年09月22日

現代では、社会に参加して活躍するために必要なコミュニケーション力などのスペックが、数10年前に比べても急激に高度になってきており、そのために、生得的にスペックの低い人は、社会に参加できず、また、日本の、特に東京などの都会では、社会構造や物理的な空間設計などにより、かつてのように、社会からドロップ・ア...続きを読むウトして生きる余地も狭まってきており、社会福祉に組み込まれる以外の選択肢は極めて限られている。というのが、主な主張。
直感的には、そうかな、とも思わせるのだが、肝心な根拠があまり確かではない。
数値的な分析が難しい内容なので、新規の研究に基づくデータの提出が困難なのは、致し方ないかもしれないが、もうちょっと客観的なエビデンスがほしいと思った。特に、SNSの影響に関しては、著者の思い込みに基づく記述が目立つように思われる。

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Posted by ブクログ 2020年07月05日

本書の長いタイトルにある通り、著者は現代日本を、健康的で、清潔で、秩序維持も図られている、そのような社会が相当程度実現した時代と捉えている。

 著者は、昭和の時代と令和の時代の対比をラフスケッチで描きながら、何が、どのように変わってきたかを説いていく。

 はみ出しっ子がADHDやASDと診断され...続きを読む、医療や福祉のサポートの対象となってくる、喫煙がかつては格好良かったのに、今では忌み嫌われるようになってしまうなど、健康が何よりもの価値とされる、子育ては地域の中で行われていたし、なにより子供に寛容だったのに、今では子供が悪いことや迷惑をかけないかに心配で、子育てがリスクに感じられるようになってきたことなどなど、私たちは一見快適な社会に暮らしていると思っているが、それは、誰にとっての、どのような条件の下でのものなのかを、著者は具体的に明らかにしていく。

 かつてソフトな管理ということが言われた時代があったが、今やインターネットやSNSで、私たちはいつ、誰とでもつながれる自由を得たように思える一方、プラットフォームに制約されている。

 橋の下で寝る自由が無くなってしまったことを、どう考えるべきなのか、具体的な方向性が示されている訳ではないが、現代社会を考える上で、示唆に富む一冊だと思う。

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