P+D BOOKS 北の河

高井有一

戦争ですべてを失った母の絶望と孤独。

昭和20年、すでに夫を喪い、家も戦火に焼かれてしまった母子が、遠縁を頼って東北の寒村に身を寄せる。だが、そこは安住の地ではなかった。
頼るべき知己もおらず、終戦後は都会に戻るという希望も断ち切られ、迫りくる厳しい冬を前に、母は自ら死を選ぶ……。ノンフィクション作品のような感情を抑えた筆致が、かえって読む人の想像を掻き立てる。
第54回芥川賞に輝いた表題作のほか、やはり身近な人の死をテーマにした「夏の日の影」「霧の湧く谷」、大学の二部に通う学生たちの葛藤を描いた「浅い眠りの夜」の三篇を収録。

• カテゴリ: 小説・文芸
• ジャンル: 小説 / 国内小説
• 出版社: 小学館
• 掲載誌・レーベル: P+D BOOKS
• ページ数: 224ページ
• 電子版発売日: 2020年06月11日
• コンテンツ形式: EPUB
• サイズ(目安): 1MB

[ブクログ · ★★★★☆]

朝日新聞の文学紀行での１冊である。北の河のなかでは、東北地方のどこかが全くわからない。他の短編でも自分の父親、叔父の死がテーマである。最後の浅い眠りの夜では、死ではなく、自分が二部の授業を受けている大学で警官に殴られて入院しているという状況が説明されている。
　大学生が読んで共感を受けるかどうかは不明である。