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歳末の慌しさを呈す江戸の街に辻斬りが現れた。目撃した男らによると、その下手人は抜刀する姿を見せずに殺したのだという……。公儀武芸帖編纂所頭取の新宮鷹之介は剣友・大沢要之助の頼みを受け、事件の鍵を握る居合の達人を捜すことに。やがて鷹之介たちは余命いくばくもない練達の剣士と出会い、辻斬りの正体に迫っていく――。滅びゆく武術を追う大人気シリーズ第六弾!
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Posted by ブクログ 2020年08月26日
岡本さとる 著「黄昏の決闘」、若鷹武芸帖シリーズ№6、2020.6発行。そこそこ面白いのですが、岡本さとるさんの作品だけに読む前から期待感が高まります。今回の作品は、もう少し躍動感が欲しいです。失礼しました。
抜刀術とは
新宮鷹之助は、火付盗賊改方同心の大沢要之助から江戸、神楽坂付近で起きた辻斬り事件の話しを耳にした。 目撃者の話しでは刀を抜いた様子がないというので、居合いによる一瞬の間で斬り殺されたと判断された。 鷹之助の武芸帖編纂所は今回、この事件で遣われた抜刀術を調査し始めるのである。 大奥で薙刀を指南し...続きを読むている鈴姫よって、抜刀術の達人、中倉田之助の存在が分かる。彼は、出羽守・船津家の江戸屋敷で剣術指南役を務めている。中倉家は、父・平右衛門から羽州七万石、船津家に仕える家柄であった。平右衛門も水鷗流を遣い、腕の立つ抜刀術の武芸者であった。ある時、平右衛門は上司の命令で同家の家来を居合いで倒したのだが、殺すことまでは考えていなく、抜刀術の未熟さ故、過剰に対応したことを大いに反省し、その行為を非常に悔いたのであった。その為、自ら出羽を離れて遠方の地、楢葉で百姓をして暮らしてきた。 平右衛門はそこで息子の田之助に自らの抜刀術、大地流を伝授したのだが、田舎暮らしに飽き足りぬ田之助は江戸に出て、父と同じ船津家に剣術指南役として仕えることになった。 その田之助が、奇しくも国表の目付役を斬った作田嘉兵の殺害を国家老から命じられるが、長く肺病を患っていた彼は使命を果たすことなく亡くなってしまった。 こうした不遇の武芸者に鷹之助はお節介を焼いて、田之助の代わりに父・平右衛門がその役目を果たすのを助太刀するのである。 鷹之助の細やかな配慮と機微があってこの事件が大事にならないで、平右衛門がそのまま編纂所に留まり、抜刀術が武芸帳に詳しく記述されるのだった。非常に痛快で面白い物語である。
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