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すごい経営者がいた! 日本オリジナルの合成繊維の事業化、そして国交回復前の中国へ――。敗戦後の日本人の誇りを取り戻させた大原總一郎の激動の人生を描いたノンフィクションノベル。松下幸之助に「美しい経済人」と評された稀代の経営者・大原總一郎――。数々の分野でシェアNo.1を誇る企業=現在のクラレを創り上げた男の生涯は、波乱に満ちたものだった。国産第一号の合成繊維「ビニロン」の事業化や、国交回復前の中国へのプラント輸出……。激動の昭和史を背景に、“百年先が見えた経営者”と言われた男の生涯を描く感動の企業小説。『天あり、命あり』を改題。
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Posted by ブクログ
高機能樹脂メーカーとして有名なクラレ。創業一族の大原總一郎がクラレの前身である倉敷絹繊の社長として会社の礎を築いていく課程を追ったノンフィクションです。
物語は戦後まもなくからスタート。戦時中、航空機生産などの戦時産業への協力を進めたため、空襲で工場は壊滅的な被害を受け、従業員も多くが死傷しました。
その反省を受け、總一郎は平和に貢献できる産業に立ち返り、日本で原材料から調達ができる合成繊維ビニロンの開発を決断します。これは昨今注目されている経済安全保障の考え方に近いものです。
ビニロンの生産が軌道に乗った次に總一郎が取り組んだのが中国へのビニロンプラントの輸出。当時はまだ正式に中国との国交が回復しておらず、日本は親台湾の姿勢が強かったため、輸出の承認はなかなかおりませんでした。それでも当時の実力者、池田勇人、吉田茂などとの度重なる折衝を経て、プラント輸出を成功させます。政治家の大半がアメリカの顔色を窺い尻込みする中で、親中国とも取れるプラント輸出にまい進する總一郎。その熱意の源泉は利益追求ではなく、戦中に日本が中国で犯した罪の贖罪でした。また「企業の社会的責任は株主のために利益をあげるだけではなく、社会的責任を果たさなければならない」と、昨今急激に広まったSGDSとほぼ一致する見解を述べています。
1950~60年代に、経済安全保障、SGDSなど最近になって声高に言われる概念に言及していた總一郎を「百年先が…」という枕詞で表現するのは決して大げさではない印象を受けました。ちなみに倉敷にある大原美術館は、總一郎の生家、大原家が設立に関わっています(本書では詳しくは触れられていませんが)。
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