Posted by ブクログ
2016年03月31日
タイトルの通りコーヒーのおいしさはどこで生まれるのか、といったことからコーヒーに関する雑学を満遍なくカバーしている。さすがブルーバックスシリーズ、素人でもわかりやすく科学に触れられる。
著者の本職はバイオ系の研究者。大学でガンに関わる遺伝子を研究したり、微生物学の講義を行ったりしているとある。どう...続きを読むやらかなりのコーヒーオタクで、本職でのスキルもフル活用してコーヒーの科学を追求しているようだ。参考文献を見てみると、沢山の学術論文が記載されている。
私たちがコーヒーを口にするまでには、
1.コーヒーノキの栽培、収穫
2.精製して生豆にする
3.生豆を焙煎する
4.焙煎した豆を粉砕する
5.粉砕したコーヒー粉からコーヒーを抽出する
といった工程があるが、それぞれで驚くほど沢山の要素があり、おいしさに影響する。この本はそれらの要素を科学的に説明しているわけだが、コーヒーから様々な分野の科学につながっていく。それが面白い。
更に言うと、
6.コーヒーを抽出して口に含んでからどのようにおいしさを感じるのか?
7.コーヒーを飲んだ後に体にどんな変化があるのか?(覚醒作用とか)
8.毎日コーヒーを飲んでいたら、体にいいのか悪いのか?
といったことまで扱っている。コーヒーに関する全てを満遍なく網羅していると思う。
個人的には、第4章の『コーヒーの「おいしさ」』がよかった。そもそもどういうものが「おいしい」のかは人によって違う。そんな難しい問題に対して、「味ことば」から「おいしいコーヒー」とはどんなものかを考えたり、人が味を感じる仕組みから考えたりしている。
「おいしい」というのは、突き詰めるととても奥深い。人によっても違うし、同じ人でも年齢と共に変化したり、精神状態によっても変わる。そんな風に、身近なコーヒーから広い概念を再認識できたというのが収穫かもしれない。