反歴史論

反歴史論

ビジネス・実用
1,100円 (税込)

5pt

4.0

「証言」の真偽という問題は、今も世間の感情を刺激し、「歴史」をめぐる激しい闘争を生み出し続けている。誰一人として歴史から逃れることができない人間が、歴史の支配から自由になることはできるのか。数々の著作を送り出してきた著者が、哲学、文学、映画、精神分析、民俗学など、多彩な分野を縦横無尽に駆け抜けながら、繊細かつ大胆に思考する。今こそ読まれるべき名著が、書き下ろしの新稿を加えて、学術文庫に登場。

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    Posted by ブクログ

    小林秀雄には人が歴史に翻弄されることへのペシミズムがある。歴史とは純粋な魂を襲う残酷な暴力である。詩人や芸術家との交感を演ずることで反歴史を実行した。
    啓蒙主義、民族主義という二つの歴史観がある。ヨーロッパの社会思想はこの二つの間を揺らめいている。
    レヴィ=ストロースは差異化された不均衡状態が必要とした。差異は戦乱を招くが一方で創造的な交通や交換を生み出す。進化とはルーレットの目が揃うようなものとし、進化と停滞の概念を拒否した。
    思考の歴史は歴史哲学を生み出す一方反歴史思考をも増殖させる。小林秀雄にとって思考を脅かすのは公的、歴史的思考であった。
    ハイデガーは存在、フロイトは無意識について思考しつつ歴史の外部を問題とした。
    国家理性の思想家としてのヘーゲルは一方で死と闇という否定性に直面しながら思考した。死と闇から逃れるのが労働であり、ヘーゲルの弁証法はそこからスタートしている。他方バタイユは労働による隷属を破壊しようとした。労働に依拠するヘーゲル哲学そのものに労働の終焉を見た。
    歴史とは、書かれたこと、書かれなかったこと、あっこと、あり得たことの間にまたがるあいまいな霧のようなものである。歴史は拒むことも表象することもできない。歴史を構成するものだけでなく、構成過程を思考する必要がある。

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    2022年08月24日

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