Posted by ブクログ
2019年07月24日
第24・25話はちょっと趣向の変わった面白い回。
これまで鉄男は教師として、そして生物学を専攻した者として亜人の生態に関して助言してきた。それがこの回では京子の要望もあり別分野の物理学を専攻する相馬によってデュラハンの生態が解き明かされていく
と言っても、ここで交わされる会話はその場の思いつき的な自...続きを読む由な発想に基づいたもの。デュラハンの生態がしっかりと解明されるわけではない。
けれど、相馬が発した別分野からのアプローチによって京子は影響を受ける。
勉強が得意でクイズに応えるような感覚でテストを受けてきた京子。それが自分の身体には無限の謎や世の中を変える可能性が秘められていることに気づき、自分がデュラハンを研究すれば良いんじゃないかと思い至る。学生だからこそ、これから様々な進路を選ぶことが出来て、自分の未来を夢見ることだって出来る
京子が新たな一歩を踏み出し始めたことを感じさせるエピソードだった
第29・30話はまるで最終回のようなエピソード。本当にここで終わるわけではなくて、一学期の総括として用意されたものかな
本作はこれまで鉄男と亜人達の会話劇を中心として描いてきた。その中では亜人特有の悩みを解決することも有ったし、彼女らの仲を深めるような手助けも有った。
でも、それって逆を言えば学校内での亜人とそれ以外の関係が鉄男とのものだけで完結していた、と見ることも出来るんだよね。そういった意味では教頭の発言ってある程度的を射たものではある。一方的に押し付けてくる言葉がちょっと鼻につく部分はあるけど
でも、教師である鉄男は教頭の発言が正しいと認めることが出来てしまう。だから悩み始める
ここですぐに第30話のビデオレターのような展開に繋げても問題解決は出来たかもしれないけど、教頭の発言を聞いた佐竹が友人たちと亜人と自分たちの関わりについての話し始める展開が入ることで佐竹たちに新たな気付きが生まれる
「亜人は普通の人間とは殆ど変わらない」の「殆ど」に込められた意味を佐竹達が自分たちの力で再考する展開は良いね。亜人を普通の人間とは違うなんて考えるのは少し差別的な意味合いを含んだ考え方であるからどうしたってその部分については思考停止しがち。
だけど、まずは違いを認めなければ相手の悩みに気付くことは出来ない。そして相手の悩みや事情に気付くことがより近しく信頼有る関係性を築く第一歩となるの
個人的には、こういった話が以前雪に対して陰口を叩いていた井森が口火を切る形で始まるのは印象的だった。
亜人に興味を持っていた鉄男だから亜人特有の悩みに気付くことが出来て亜人達は鉄男を信頼した。そして佐竹達はそういった亜人達の姿を見ていたから気付き踏み出すことが出来た。その気付きはひかりに持ち込まれ、ビデオレターの形で鉄男に返ってくる。
相手に寄り添おうとする気持ちが回り回って鉄男を立ち直らせるきっかけとなる
鉄男のしてきたことが無駄ではなく意味有るものだったと判りやすい形で示されたエピソード。これからの亜人達の日常が更に彩豊なものになると予想されるようなものだったね