Posted by ブクログ
2018年07月07日
一年ぶりの新刊・・・・・・一年ぶり?
あんまり待たされたって気はしないな、不思議なもんで
あくまで、私個人の印象だけど、一巻の厚み、ストーリーの、が結構、あるから、その感動が最新刊が出るまで、地味に長続きしているんだ、と思う
他の良い作品に負けず、この『亜人ちゃんは語りたい』も、巻を増すごとに良さが...続きを読む増していくタイプだ。素人の無知な我儘かもしれないが、漫画ってのは全て、そうであってほしいもんだ
個人的に、この『亜人ちゃんは語りたい』が面白い、と感じる理由は、真面目な内容が固すぎないトコだ
シリアスってほどではないにしろ、おちゃらけた、と言える内容でないストーリーを、ペトス先生は絶妙な柔らかさにして、読み手の心を芯まで響くように打って来られる。(1)から、既に体重が乗ったパンチだったが、ここ最近は、腰の回転と肩が入っている事もあってか、より、威力が増している
オカルト、心理学、哲学、物理学などの知識を詰め込んだストーリーに、友情や恋愛、また、進路などのエッセンスもトッピングしながらも、決して、破綻した味になっていないのは、登場人物らに「亜人」って個性があるから
「亜人」らの能力や特性は、単なる特徴だ
けれど、普通の人だって、その自分だけの特徴がコンプレックスになって悩むのだから、「亜人」らだって、葛藤する
そんな「亜人」に道標の在り処を示しているのが、人間と亜人の両方ってのが、良い意味で現実的
同じだから解かる、違うから解かろうとする、立場が違う者から異なる助言を貰って目的地が見える事、そこを目指す道に付ける最初の一歩もある
学校が舞台だけあって、教育ドラマも、十分に骨太だ
有体に言って、『GTO』にも負けてないんじゃないだろうか
また、そこと同じくらい、恋愛ドラマも手抜きされておらず、今後、どうなってしまうのか、とハラハラする。これは、『亜人ちゃんは語りたい』が名作になっている証拠だ
この(6)そのものに文句はないのだけど、そろそろ、再び、公式アンソロジーが出ないかな、と期待している。最も描いて欲しい漫画家は、『小林少年と不逞の怪人』の上条明峰先生
上条先生の絵柄だと、少しばかり艶が増してしまうような気もするが、ペトス先生の絵柄には、ちょい色気が足りないので、丁度いいか?
いや、色気が無い、と断言しちゃうと、ペトス先生が凹んでしまうかもしれないな。けど、色気が出ているシーンが、ちょいマニアックっつーか、ペトス先生のこだわりが強すぎて、共感しにくい・・・
どの回も、(7)が楽しみになるだけの内容。その中で、私が何気に力を込めて推したいのは、第43話「サキュバスは宿直室にいる」だ
第42話「果報は寝て待て」と、ラストの台詞をあえて同じにしている事で、教育者が積み重ねてきた、これまでの努力が報われる感動または達成感、もしくは、恍惚を上手く表現できているように思えた
生徒が教師の道を目指し、その夢を持つキッカケはアナタだった、と言ってくれるのは教師冥利に尽きるだろうな
どの職業にしても、こういう「なって良かった」と思える瞬間を迎えられるのは、最高だ
私も「先生の作品よりも、面白い小説を書いてみせます」と言って貰えるよう、なる早でデビューを決めなきゃな
この台詞を引用に選んだのは、意外に正しい、と感じたので
人生で直面する驚きに対する受け止め方ってのは、案外、これくらい緩めでいいのかもしれない
悪くない、つまり、これから、自分次第で、もっと良く出来るって事だ