Posted by ブクログ
2014年03月18日
この先生ほど、一本の線、それだけをエロく描ける漫画家は、私は『うどんの女』のえすとえむ先生以外には知らない
しかも、えすとえむ先生はストーリーにもよるが、ヤマシタ先生の漫画は、内容にエロの欠片がなくても、画をエロく感じてしまう時があるのだから、冗談にならない
その上、ストーリーにまで咀嚼のし甲斐があ...続きを読むるのだから、好きにならない理由がない
食欲と性欲が同時に湧き上がらない、と考えている人は、これを読んだら、そんな考えなんて呆気なく噛み砕かれる
肉を噛む様、魚の骨を抜く箸使い、野菜を丸齧りする瞬間、ビールを一気飲みする様子、「食べる」行為全てに、エロは宿るのだ。極端な言い方をすれば、料理も前戯だ、とすら解釈できてしまう
ぶっちゃけ、腹が減っては戦(セックス)なんて出来ない!! 腹が満ちているからこそ、欲情できるし、作られた血液が股間にも向かえるのだ。しかし、逆に腹が減っている時に、異性もしくは同性に対して、食指が動く時もある。そう言う意味では、やはり、食欲と性欲は同時に成り立つ、と断言できる
食事は好きな人と食べる方が美味しい、それは正しい。だが、ムラムラするくらいに好きな人と食べる方が美味しいし、好きな人も美味しくいただける、と言い替えられる
実際問題、あるでしょう、気になっている人が凄い美人で性格も良くて憧れだったけど、食事を一緒にした途端、自分の中の『何か』が一気に冷める瞬間。素人でも一目瞭然のマナー違反を犯している訳でもなく、味の好みが合わない訳でもない。なのに、理由なく、恋愛感情が消失するんです。多分、それは食欲と性欲が両立しなかったからなんです
食事作法をエロい、と感じる相手とは体の相性もイイ、そんな自論をブチ上げたくなりました、これを読んで
ストーリーは、そんな深くありません。いや、悪い意味じゃなくて、小難しくなくて、「このシーンでは、こういう事を伝えたいんだろうな」とかゴチャゴチャ考えずに読めます。身も蓋もない言い方をすると、好印象のあるアホ丸出しのストーリーで、ヤマシタイズム炸裂
最初に、一本の線からしてエロい、と絶賛したものの、個人的には、ヤマシタ先生の一番の武器は、この深くないのに、踏み込む過ぎると抜け出しなくなりそうな底のないストーリーだ、と固く信じている。あと、先生の妙にブラックな一面が垣間見える、っつーか、わざと見せてません?! ヤマシタ先生、とツッコミを入れたくなるトコも好きだ
どの話もグッと来て、ケラケラと笑いたくなり、「はへぇ~」と感嘆したくなるような肉厚なものばかりだったが、あえて一番を決めるのなら、『dish10』
恋に落とすキッカケってのは、何になるか、それは誰にも判らない
最後まで迷ったのが、『dish5』と『dish6』
質の高いオマケ漫画で、本編で感じられたモノが壊れないってのも、「さすが」と思える
あと、他の人のレビューを読むまで気付かなかったのだが、帯がベーコンってのも斬新し良い。ベーコンを帯に使ってる事より、そのベーコンの帯で表紙の一部を隠しているトコを私は勝手に高く評価している
あー、美味い肉を、嫁さんと一緒に食いたくなったぞ!! そんで、腹が一杯になったら、大急ぎで家に帰って、寝室に突入する!! で、思う存分、食ってもらう!!