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「そうだ、今日は山へ行こう」・・・ある日の朝、小説家の生方(うぶかた)は目覚めと共にそう思い立つ。一切の日常を後にして、取材でもなんでもなく、ただ山に行くため、彼は自転車で出発するが・・・!? 表題作ほか、母と子を描く「春の小川」、実験的な野心作「柳の木」など、日常と非日常が混じり合う瞬間を切り取った、シリーズ“ここではないどこか”連作集・第一弾。※このコンテンツは「山へ行く」文庫版をデジタル化したものです。
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Posted by ブクログ
久々の萩尾望都さんの作品! ここではない★どこか連作集 良かった。久しぶりに萩尾ワールドに浸りました。人間関係の不思議な縁や、不可思議な現象、小さな細やかな事をとても大切にする、その人の人生の中で誰かに言われた何気ない一言を大切に覚えていたり。。 サバサバして雑然と過ぎていってしまう日々のような気が...続きを読むするけど、こーゆー事に敏感なままでいたいと思わせてくれた。 「人の縁というのは業なんだよ」 今日とてもびっくりで衝撃的で、下手したら人生ひっくり返ってたんじゃ…いやひっくり返るんじゃ?!と思った出会いがあったので…。業か…、、と思うと腑に落ちる部分も。。 「最後に会いたい人は誰ですか?」 私は母だなと思いました。何故だか視界がぼやけて涙で目が潤んでしまいました。母とは子供の頃関係がうまくいってなかったのですが、今は和解してとても大切な人になっています。それを骨身に感じる事が昨日あったばかりなので、この問に関してこの答えが出て涙ぐんだ事がとても不思議です。 今日出会う本だったんだろうなぁ。 先週の木曜日に同じ本を買おうとしたけど、そそられなくて他の本を買いました。今日たまたまこの本と再開し、同時に他の本も入れて三冊購入したのに、何故かこれを選んで読みました。不思議だなぁ……。。 不思議な力がある本なのかも。。
もどかしさにクスっと
旅に出る、山に行く事は日常から解放されのびのびと過ごす最高の時間である。この主人公は日常からの解放に失敗を繰り返し、クスッとする。その後当時より人物が色々と繋がり広がりを見せて萩尾望都ワールドが広がり読み応えがあった。
・先日「私の少女マンガ講義」新潮文庫で読んだ「柳の木」以外は初読。 ・タイトル……谷口ジローっぽかったり、藤子・F・不二雄っぽかったり。 ・誰が誰とどういう関係性で、という人物関係がセリフで執拗に説明されるのがちょっとまだるっこしいな、と近年の萩尾望都作品を読んで思っていたが、考えてみれば各編がたっ...続きを読むた数十ページ、ということは雑誌では読み切りだろう。一篇で独立させるには必要な配慮なのでは、と思い直した。 ・わちゃわちゃしているだけでなく、孤独というテーマが貫かれていることが端々に見える。 ・70年代当時に萩尾望都の熱狂的ファンになって人生ずっと追ってきた読者と、新たに出会うかもしれない若い読者と、どちらを対象にすべきかと言われたら前者だろう。 ・「月刊flowers」という雑誌は不勉強にして知らないが、読者層は比較的高めなんだろうな、と公式HPをちらっと見て感じた。 ・どういう作家性か、だけでなく、どういう掲載誌でどういう読者層なのか、まで視野に入れて把握できるようになりたいものだ。 ・発表は2006年から2011年3月……また意義深い年月だ。 ■山へ行く 16p 中年男性の孤独……判るっ。 ■宇宙船運転免許証 16p いかにも藤子・F・不二雄のヨドバ氏を思い出すが、実は失くした弟の代わりに免許を更新という、結構哀切な。 ■駅まで∞(ムゲン) 16p このへんで生方(うぶかた)先生のゆるやかな連作であることが判る。 ■あなたは誰ですか 16p と、思いきや生方先生ではなく、五十嵐さんが共通する登場人物だ、と修正。 萩尾望都もこういう人物を描くのが安心するんだろうな。 ■くろいひつじ 16p 「山へ行く」が静かな孤独とすれば、本作は表面的には静かかもしれないが内に秘める孤独はここまで至る……強烈。 作者が周囲の誰かに向けて描いた強烈な毒素なのかもと想像したりもする。 ■ビブラート 40p ドッペル→2か月のズレ。ジュブナイル。 ■柳の木 20p 涙腺刺激作。 ■青いドア 16p この「向こう側へ行きそうな人」、たとえば「メッシュ」なら強烈に行き過ぎて刃傷沙汰になりかねないところ、この程度に落ち着いてタハハ……という、すれすれの怖さ。 ■世界の終わりにたった1人で 73p 再度生方先生が視点人物になって。 狂老女、タンゴ、と来れば条件反射的に藤沢周「ブエノスアイレス午前零時」を連想してしまう。 ■ゆれる世界 16p 萩尾センセー「バタフライ・エフェクト」でも見たんかな。 ■春の小川 50p 「喪の仕事」特に母の死を扱ったものは辛い……。母と一緒の布団の温もりが忘れられないとは……辛いし、生きる糧になるし、両義的すぎて。 さらに千田雄二(生方先生の義理の弟)が出ることで、ゆるやかな連作としてのまとまり。 ◇エッセイ―ここではないどこかではなくて、ヨカッタ:石飛幸治(俳優)
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