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紀州山中で、仇敵の鎖鎌の名人宍戸梅軒を破った後、江戸に下った武蔵は、細川家家老長岡佐渡から、同家兵法師範となっていた佐々木小次郎との試合を所望され、九州へ赴く。対決はついに実現した。所は豊前長門の海門・船島。しかしその日、刻限を過ぎても武蔵は姿を現わさない。待つこと一刻、遅参に苛立つ小次郎の眼に漸く、沖合の波にもてあそばれる一艘の小舟が映った……。傑作時代長編完結編。
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Posted by ブクログ
上~中編にあったような怒濤の決闘はなく、いささか落ち着いてきた感のある下編。 武蔵だけでなく、彼を取り巻く人たちのドラマもきっちりえがかれていますが、逆に、「あの人どこ行ったの?」という放置のおかたも……。 真田幸村 猿飛佐助 夕姫 この三人はふっつりと姿を見せなくなりました。 まあ、別にいなく...続きを読むてもいいようなキャラなんですが……。 記憶がちょっと定かでないんですが、吉川英治版の「宮本武蔵」には、幸村は出ていなかったと思いますので、やはりこれは、作者のお気に入りってことで出したのでしょうかね。 幸村と佐助目当てに読み始めたのですが、いなくても、充分におもしろいんですが。 あと、喜和も後半、出ませんでしたね。 伊織は、どうしたんでしょう。 伊織といえば、彼はまことに立派な青年になって、幼い頃のやんちゃぶりなど、見る影もありません。 なんていい男なのでしょうか。 武蔵の決闘は、佐々木小次郎との立ち合いで幕を閉じますが、この武蔵の戦法というのが、作戦まできちんと含めたもので、ただ業前を競っているだけではない。 なので、純粋に「強さ」を求めて読めば、この武蔵は卑怯者に思えるかもしれません。 そこを「智慧者」と見るか「卑怯者」と見るかは、読み手次第なのではないかと……。 わたしは、その意表を突く作戦も、面白く読めました。
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