「本書はいつか通らなければならない道をあえて今、歩いてみようという試みをするものである」。戦後70年を経るなかで、これまで日本では数々の「戦争責任」が語られてきた。だが、そこで絶対的なタブーとして誰もが目を背けてきたテーマがある。それが、原爆投下の正当性に疑問を投げかける「アメリカの戦争責任」だ。そして、少しでもその問題に触れようとした人たちは、社会的に抹殺されてきた。しかし、その問題を直視することなくして、戦後の本質と真の平和を語ることはできない、と竹田氏は言う。なぜ、日米ともに原爆投下の正当性を疑うことは、タブーとされているのか。アメリカの教科書は原爆について、いかにそれを正当化し、子供たちに伝えているのか。そうした現状を踏まえながら著者は歴史を遡り、トルーマン大統領の目的が「原爆投下で日本を降伏させる」から「原爆投下まで日本を降伏させない」にすり替わった恐るべき史実を描き出していく。「ポツダム宣言」に仕掛けられた「日本が絶対に降伏できないような工作」とは、何だったのか。原爆を落とすのが先か、それともソ連参戦が先か……。終戦直前のドラマを知れば知るほど「原爆を落とすことで早く戦争を終わらせる」という「早期終戦・人命節約論」が、欺瞞に満ちたものかがわかるだろう。そうした「原爆神話」から目覚め、両国が先の大戦を反省してこそ、真の日米友好が築けるはず。気鋭の作家が自らの身を顧みることなく、戦後最大のタブーに挑んだ問題作。
Posted by ブクログ 2021年11月02日
戦争責任と言うと、戦争を起こした側、第二次大戦で言えば枢軸国側の責任と捉えられる。しかし本当にそれだけなのだろうか?人類の歴史の中では、往々にして戦争に勝利した側の歴史が優先される。敗者側の歴史は排除されるのだ。
第二次世界大戦で連合国が勝利した段階で、日本の目指していた理想は瓦解し、過去は全て悪...続きを読む
Posted by ブクログ 2015年11月10日
戦後70年という節目に、アメリカの戦争責任ということで、ポツダム宣言と原爆投下、ソ連参戦にかかわる真実を追求しようとした気合の入った作品であると思う。
しんまい大統領トルーマンと老練スターリンの駆け引き、天皇条項を入れるか入れないか、そこことが日本の降伏に重大な影響を及ぼすことを知りながらも、原爆投...続きを読む
Posted by ブクログ 2015年10月25日
アメリカによる原爆投下の目的と原因についてよく主張されてきた事で
①ソ連に対して優位な立場に立つため
②マンハッタン計画費用を正当化するため
③ルーズベルト政権で作られた「空気」
④人道精神の欠如
⑤人種差別意識
があります。
本書の中で著者は①~⑤のどれが正しいかというよりも、この全てもしくは一部...続きを読む
Posted by ブクログ 2015年09月04日
終戦、しかも70年目の節目に間に合わせるべく、大急ぎでかかれたであろう本です。しかし、やっつけ、ということではなく、事実を丹念に追い、原爆投下や東京大空襲の戦争責任を淡々と追求します。
やはり終戦直前の数週間の緊迫感はわかっていても行き詰るものがあります。ポツダム宣言、原爆投下、ソ連参戦…
終戦...続きを読む
Posted by ブクログ 2020年11月25日
今まで誰も論じようとしなかった第二次大戦におけるアメリカの戦争責任、特に原爆使用について書いた1冊。
今日のアメリカの政府見解では、アメリカが原爆を使用したおかげでたくさんの命が救われた。だから、原爆使用は正しかったとされている。
しかし、ルーズベルトやトルーマン、その側近たちの回顧録等から原爆...続きを読む